評     価  

 
       
File No. 0944  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年03月20日  
       
製  作  国   アメリカ/ ド イ ツ  
       
監      督   ブライアン・シンガー  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   ワルキューレ  それは、女神の名を冠した「作戦(ミッション)」  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   トム・クルーズ [as クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐]
ケネス・ブラナー [as ヘニング・フォン・トレスコウ少将]
ビル・ナイ [as フリードリヒ・オルブリヒト将軍]
トム・ウィルキンソン [as フリードリヒ・フロム将軍]
カリス・ファン・ハウテン [as ニーナ・フォン・シュタウフェンベルク]
トーマス・クレッチマン [as オットー・エルンスト・レーマー少佐]
テレンス・スタンプ [as ルートヴィヒ・ベック]
エディ・イザード [as エーリッヒ・フェルギーベル将軍]
ジェイミー・パーカー [as ヴェルナー・フォン・ヘフテン中尉]
クリスチャン・ベルケル [as メルツ・フォン・クヴィルンハイム]
 
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あ ら す じ    第二次世界大戦勃発後、ドイツ軍が占領地から国内へ収容した捕虜や奴隷労働者は数百万と言われる。ヒトラーは彼らが万一叛乱を起こした際の対策の立案をフロム将軍に命じ、フロム将軍からそれを一任されたオルブリヒト将軍は、1942年叛乱鎮圧計画を立案し、これを“ワルキューレ”と命名した。
 ドイツに敗色が濃厚となった1944年、ルートヴィヒ・ベックらを中心とする反ヒトラーグループ「黒いオーケストラ」は、ヒトラーを排除して米英軍と講和することを決断する。そして、ヒトラー暗殺の実行者に選ばれたのは、アフリカ戦線で左目、右手、左手の指二本を失ったクラウス・フォン・シュタウフェンベルクだった。彼らはヒトラー暗殺後、直ちに“ワルキューレ”を発動し、国内を一気に掌握する計画を立てた。
 シュタウフェンベルクは、ヒトラーのみならずゲーリング、ヒムラーといったナチス要人もまとめて暗殺することに固執していたため、何度かの機会を見送りながらも、1944年7月20日総統大本営で行われる作戦会議の場で決行に及んだ。シュタウフェンベルクはプラスチック爆弾を仕込んだ鞄をヒトラーの近くに置き、ベルリンへ電話する口実で会議場を立ち去った。間もなく爆弾は爆発し、それを見たシュタウフェンベルクはヒトラーの死を確信し、ベルリンへ飛ぶために飛行場へと急いだ。
 しかし、ヒトラーは奇跡的に爆風の直撃を逃れ軽傷を負ったのみで生き残った。一方、ベルリンの反乱派は“ワルキューレ”を発動すべきか判断に迷うも、発動権を持つフロム将軍を軟禁した上で、彼の名で“ワルキューレ”を発動する。しかし、一方ではヒトラー存命が伝えられ、秩序回復の権限を与えられたヒムラーが反乱派の一掃に動き出した・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    タイトルの“ワルキューレ”とは北欧の神話に登場する、戦死した勇士たちを天井の宮殿へと迎え入れる半神の名で、1944年7月20日に行われたヒトラー暗殺計画にその名が冠された。ちなみに、ヒトラー暗殺計画はこのワルキューレ作戦が最後となるが、それまでに少なくとも40回以上もヒトラー暗殺は企てられたという。そんなわけでこの作品、史実を描いただけに結果が失敗に終わることはほとんどの人にとっては周知の事実だ。にもかかわらず、ブライアン・シンガー監督の見事な演出のおかげでスクリーンからは終始緊張感が溢れ、トム・クルーズ扮するシュタウフェンベルク大佐らのヒトラー暗殺はもしかしたら成功するんじゃないか、などとあり得ない期待すら抱きながら手に汗握ってハラハラ、ドキドキさせられてしまう。
 実は、観る前はほとんどこの作品には期待していなかった。理由は2つ、ひとつは前にも書いた通り最初からネタバレ状態であること、もうひとつは、主役がこのところハリウッドで演技以外のところでの評判があまり芳しくないトム・クルーズであること。最初の点に関しては上に書いた通りで、結末を知っていることは少なくともこの作品に関しては価値を落とすような要素にはならなかった。そして、トム・クルーズだが、欲を言えばもう少し無骨なドイツ軍人らしさを見せて欲しかったが、それはトムに限らず登場人物全員に言えることで、どこかドイツ人らしい堅さが感じられなかった気がするのはちょっと残念。セリフがすべて英語であることはその大きな一因だろうと思われ、案の定地元ドイツでは少なからず反感を買ったとのことらしい。
 とは言うものの、時代的背景を知らなくても、ナチス・ドイツにアドルフ・ヒトラーという狂える独裁者がいたことさえ知っていれば、充分に楽しめる内容になっているのが有り難い。当時、ヒトラーのドイツ、ムッソリーニのイタリアと共に三国同盟を結んでいたプリンセス・ヒロヒトの日本には、シュタウフェンベルク大佐のように軍部の暴走を誤りだと感じ、間違いを正そうと命をかけた人間がいなかったのだろうか?