評     価  

 
       
File No. 0954  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年04月04日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジョン・ポール  
       
上 映 時 間   97分  
       
公開時コピー  
彼はいつも君を待ってる
あの場所でね。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   アントン・イェルチン [as チャーリー・バートレット]
ロバート・ダウニー・Jr [as ガーデナー校長]
カット・デニングス [as スーザン・ガーデナー]
ホープ・デイヴィス [as マリリン・バートレット]
 
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あ ら す じ    名門私立高校に通う17歳のセレブ高校生チャーリー・バートレット。美人の母マリリンと豪邸に住み成績は優秀、何一つ不満はないはずなのに、なぜか学校内でリスキーなビジネスに手を出してしまう。そして、今回もまたマリリンは校長に呼び出されて見せられたのは、チャーリーが作って売りさばいたという段ボールいっぱいの生徒たちの偽造運転免許だった。
 今回が初めてではない退学を余儀なくされたチャーリーは、ついにうだつの上がらない生徒たちが集う公立のウエスト・サミット・ハイスクールへ都落ちすることとなった。周囲から完全に浮いてしまっていて、なかなか新しい環境に溶け込むことができなかったチャーリーだったが、ある日内気な生徒から悩みの相談を受け、誰もいない場所だと男子トイレで話を聞いたことをきっかけに、新たなビジネスを思いつく。それは、生徒たちの悩みのカウンセリングをし、彼らの症状を自分の症状として医師に相談して、その結果処方された薬を生徒たちに売りさばくというものだった。
 たちまちチャーリーの元に生徒たちが集まるようになり、男子トイレには長蛇の列ができるようになった。そんな彼を要注意人物と睨み警戒するのは、かれが転校した初日に一目惚れしたスーザンの父親でもあるガーデナー校長だった。校長はチャーリーを校長室に呼び問い糾すが、彼は自分の行いは間違っていないと絶対の自信をもって聞く耳を持たなかった。しかし、彼に相談してきた生徒のひとりが薬を過剰摂取して自殺を図ったことをきっかけに、チャーリーは自分の行動が本当に生徒のためになっていたかに疑問を感じ始める。そして、薬の販売を打ち切る宣言をしたチャーリーは、自殺未遂の生徒のためにある一案を講じるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    単なるお気楽なコメディ作品だという予想を裏切って、結構中身の濃い考えさせられる作品だった。チャーリーが言う、高校生にとって人気が最も重要だという言葉は至言だろう。もちろん学業も重要であることは間違いないが、それが高校生が学校で学ぶべき最重要事項だとは思わない。学業が最も重要ならば、学校など行かずに家で家庭教師からマンツーマンで教わった方がよっぽど勉強になる。それを敢えて学校に通うのは、家庭教師からは得ることができない、同年齢の種々雑多な生徒との触れ合いから得られる人間関係の構築を学ぶことが必要不可欠だからだ。既にかなり昔だったとは言え、私自身が高校生活を経験して今そう断言できる。
 この作品でのチャーリーが優秀なのは、次々とスクール・イン・ビジネスを考案して人気を獲得するからではなく、そこから一歩進んでその手段として彼が選択した方法に疑問を持ち、独力でそれに対して回答を導き出した点に他ならない。ドラッグでハッピーになったとしてもそれは一時的なもので、現状は変わっていないからドラッグが切れれば再び気分は落ち込む。結局、ガーデナー校長の言う通り、何の解決にもなっていないのだ。それに気づいていたとしても、薬の処方で得た莫大な人気をかなぐり捨てるのは、高校生のチャーリーにとっては実に苦渋に満ちた選択だったことだろう。そして、ただ薬を売りさばくのを止めるのにとどまらず、自殺を図った一人の生徒のために労を惜しまず、結果的にさらなる人気を獲得してしまうそのしたたかさは、感嘆を通り越して羨ましくさえ思える。その反面、父親のことを語る際の悲しみと苦しみの入り混ざったような様子からは、単なるノー天気なお気楽高校生ではなく彼もまた思春期特有の悩みを抱える少年であることが感じ取れ、さらに彼への好感度を増すことに成功している。
 チャーリー役のアントン・イェルチンは、その軽いノリからジム・キャリーを思わせる演技達者で、対するチャーリーが一目惚れした相手スーザンを演じたちょっと太めのカット・デニングスは、将来はケイト・ウィンスレットのような女優になるのではないかという期待を抱かせてくれ、共に将来どう成長するのか楽しみな俳優だ。