評     価  

 
       
File No. 0956  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年03月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   中村 義洋  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   きっと、つながる  

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   伊藤 淳史
高良 健吾
多部 未華子
濱田 岳
森山 未來
大森 南朋
渋川 清彦
大川内 利充
眞島 秀和
江口 のりこ
山中 崇
波岡 一喜
高橋 真唯
石丸 謙二郎
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ   1975年。プロデビューしたものの全く売れないパンクバンド“逆鱗”は、3枚目のアルバムのレコーディングを最後にレコード会社からクビを宣告されてしまう。彼らが最後にレコーディングした曲「Fish Story」は最高の演奏となるが、後からその歌詞のモチーフとなった小説が実はデタラメに和訳されたものであることを知らされる。
1982年。気の弱い大学生の雅史は、合コンで出会った女性から「いつか世界を救う」と予言される。そして、その帰り道「Fish Story」の無音部分で女性の悲鳴を耳にする。車を降りてみると、女性が男性に襲われており、雅史は勇気を振り絞って女性を助けようとした。
2009年。女子高生の麻美は、修学旅行のフェリーで眠り込んでしまいひとり取り残されてしまう。泣きじゃくる麻美に、ひとりの若いコックが優しく“笑える話”と称して「自分は正義の味方になりたかった」という話を語り始める。ところがその後間もなく、船が拳銃を所持した数名の男たちにシージャックされてしまう。正義の味方になりたかったというコックは、単身犯人グループに戦いを挑んでいった。
2012年。巨大彗星が地球に衝突して世界が終わるまであと5時間。人ひとり見あたらない街で、いつも通りに営業するレコード店があった。店内では、70年代に全く売れなかったバンド“逆鱗”の曲「Fish Story」が流れていた。そこへ一人の中年男が訪れ、店長と客に詰問する。「世界は終わるのに、なぜ店を開いているのか?避難しようとしないのか?」と。空には彗星が今や太陽よりも大きく見えるほど地球に接近しつつあった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    1975年、1982年、2009年、そして2012年の4つの時代を描きつつ、それが最後には繋がってひとつの物語になる、というのがこの作品のミソなのだが、「なるほど、そう繋がってくるのかぁ」と感嘆させられるよりは、なんだか無理矢理つなげたという感の方が強かった。しかも、その繋がりというのがストーリーの展開の中で自然に解ってくるわけではなく、ラストにフラッシュバックでまるで種明かしのように見せられるものだから、余計に無理矢理という印象を強く受けてしまう。特に、濱田岳が主役的な立場の1982年や、多部未華子と森山未來が主役の2009年などは、作品中では繋がりらしきモノすら全く見られない。また、全体的なテンポの悪さ、映像の安っぽさは目に余る。表現が難しいならばなおさら、それを巧みに作品中に盛り込むことこそ脚本の妙であり構成の妙であるはず。その拙さが原作を大きく損ねるほど致命的でないことを祈りたい。
 そうは言うものの、決して退屈するような内容ではなく、最後まで退屈させない作品であることは認める。ただ、私個人に限って言えば、4つの時代が一体どう繋がるのか、その疑問が解明されないために、いつ解るのかという期待をさせられたままに最後まで引っ張られたというのが正直なところだ。1975年の描写が占める割合が極端に大きいし、唯一カタルシスを感じるのは森山未來が登場する2009年のみで、1982年などは濱田岳扮する雅史のあまりりの弱気には(あそこまで情けない奴、少なくとも私は今までお目にかかったためしがない)、イライラを通り越して腹立ちすら覚えるほどでストレスが溜まる一方。また、今まで結構期待して観ていた多部未華子も、演技の底がの浅さがあっさりと露見してしまい、残念ながらもうこれ以上期待しても無駄なように思えた。伊藤敦史は素顔でも猪八戒にしか見えない。
 どうも作品をけなすような事ばかり書いてしまったが、ここに書いた以外はそれほど悪くない、というので勘弁してもらえないものだろうか(笑)。