評     価  

 
       
File No. 0967  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年04月24日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   イーサン・コーエン
ジョエル・コーエン
 
       
上 映 時 間   93分  
       
公開時コピー   コーエン兄弟×5大キャスト共犯!
超豪華クライム・エンタテインメント!!
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジョージ・クルーニー [as ハリー・ファラー]
ブラッド・ピット [as チャド・フェルドハイマー]
ジョン・マルコヴィッチ [as オズボーン・コックス]
フランシス・マクドーマンド [as リンダ・リツキ]
ティルダ・スウィントン [as ケイティ・コックス]
エリザベス・マーヴェル [as サンディ・ファラー]
リチャード・ジェンキンス [as テッド]
J・K・シモンズ [as CIA上官]
 
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あ ら す じ    CIA局員のオズボーン・コックスを夫にもつケイティ・コックスは、現在連邦保安官のハリー・ファラーと不倫中。彼女は、口先だけでその気はないハリーと違い、夫と離婚してハリーと結婚することを本気で考えており、離婚を裕利にするためにオズボーンのパソコンに入ったあらゆる情報をCD-ROMにコピーしていた。ところが、彼女の弁護士がとあるワシントンのフィットネスセンターで、彼女から預かったCD-ROMを紛失してしまう。
 フィットネスセンターのインストラクターのチャド・フェルドハイマーは、そのCD-ROMの持ち主を脅して大金をせしめようという計画を思いつく。そして、念願だった全身整形のための費用が稼げると考えた、同じセンターの女性従業員リンダ・リツキと手を組み、2人はデータの持ち主であるオズボーンに接触を開始する。
 一方、オズボーンの妻ケイティと不倫中のハリーは、出会い系サイトで日々女あさりをするうちに、あろうことかリンダと出会って意気投合してしまう。1枚のCD-ROMをきっかけに複雑に絡み合った糸に導かれるように、それぞれの結末に向かって進んでいく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    なまじ『ノー・カントリー』でオスカーの作品賞を取ったものだから、あの強烈なイメージを抱きがちだが、この手の作品がコーエン兄弟の本来の仕事だろう。とは言え、この作品はあまりに毒気がなさすぎて、まるで炭酸の抜けたコーラを飲まされたような気がする作品だった。そもそも、タイトルの『バーン・アフター・リーディング(=Burn after reading)』とは「読んだら燃やせ」という意味なのだが、何を読んだら燃やすというのだろうか。この作品でキーとなるのは、ブラピ扮するi-Pod中毒の筋肉バカ・チャドが手に入れた1枚のディスクであるから、タイトルはおそらくは何かを暗喩していると思われるのだが、残念ながら私の乏しい理解力ではそれが何を意味しているのかは分からなかった。
 コピーには「衝撃の結末」とあるのだが、何が一体衝撃なのかも私にはわからない。むしろ私にとって衝撃的だったのは、チャドがあんなに早い段階でお役ご免となったこと。もしかして、それが何かのトリックで実は彼は生きていた、という衝撃的な展開を期待したのだが・・・・・。何だか分からないずくめで、普通だったらもう一度劇場へ行って確かめてみたいところなのだが、この作品を再度料金を払ってまで観ようとは思えない。
 そんな作品ではあるが、豪華キャストの演技は見応え充分だ。ブラピのおバカな演技は愛嬌たっぷりで、特にクローゼットに隠れていたのをジョージ・クルーニー扮するハリーに見つかった時の照れ隠しのお茶目な笑顔。SEXのことしか頭にないようなハリーの作った、あの○○○椅子。ジョン・マルコヴィッチやフランシス・マクドーマンドらの怪演。そして、見落とせないのはリチャード・ジェンキンスが演じた、F・マクドーマンド扮するリンダに想いを寄せるフィットネスクラブの経営者テッド。彼の悲壮感漂う最期には何ともやり切れない思いを抑えることができない。
 結局は、それら登場人物のすべてがCIAの掌の上で踊らされていたとは、その点だけには非常にキツいブラック・ジョークが感じられる。そして、結局散々な目に遭う男性陣に対して、女性陣だけはちゃっかり目的を果たしてしまうとは・・・・・つくづく男性は哀しい生き物なのだなぁと感じずにいられない。