評     価  

 
       
File No. 0974  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年05月01日  
       
製  作  国   香  港  
       
監      督   イー・トンシン  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   ジャッキーが挑むドラマチック・バイオレンス  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジャッキー・チェン [as 鉄頭]
竹中 直人 [as 北野]
ダニエル・ウー [as 阿傑]
シュー・ジンレイ [as シュシュ/江口結子]
加藤 雅也 [as 江口利成]
ファン・ビンビン [as リリー]
峰岸 徹 [as 村西 弘一]
長門 裕行
 
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あ ら す じ    中国東北部の寒村でトラック整備士として働いていた誠実で働き者の鉄頭にはシュシュという幼馴染みの恋人がいた。しかし、彼女は10年以上前に叔母を頼って日本へ留学し、その叔母が亡くなった後音信不通になってしまった。そこで、鉄頭はシュシュを探し出すため日本へ向かい、密航船で若狭湾にたどり着いた。
 鉄頭は新宿・歌舞伎町へ辿り着くと、同郷の友人阿傑ら密入国者がアジトにしている大久保のアパートで暮らし始めるのだった。日々を暮らすための仕事に明け暮れる毎日は、彼に恋人を探す暇を与えなかった。そんなある日、下水道での作業中に警察の手入れがあり、溺れかけた刑事北野を助けた鉄頭は、北野に対して貸しをつくることとなった。
 ついに鉄頭は、ナイトクラブの厨房で働いていた時、念願のシュシュと再会を果たした。しかし、その時のシュシュは新宿を仕切る暴力団・三和会の幹部江口利成と結婚し、子供までもうけていた。絶望した鉄頭だったが、国外脱出の際に官憲を殺した彼には故郷へ帰ることもできなかった。彼に遺されたのはここ新宿で生きていく道のみで、覚悟を決めた鉄頭はやがて犯罪に手を染めていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    アジアの映画がハリウッドに飲み込まれることを危惧し、アジア人によるアジア映画のレベルアップを図る試みのアジアン・プロジェクトの第1弾となる作品。あのジャッキーが一切のアクションを封印して臨んだこの作品は、今までのジャッキー映画には見られないほどバイオレンス色の強い社会派作品だった。そして、ジャッキーは今回監督そしてアクション監督をも他に委ねたことが、いい意味で作品に新鮮味が感じられる。
 日本最大の歓楽街で、雑多な国籍の人々が集まる新宿・歌舞伎町。かつて実際に日本のヤクザと中国マフィアによる抗争が繰り広げられた街を舞台に、同胞を救うために犯罪に手を染めたジャッキー演じる鉄頭が、やがて力を持つことによって彼の思いとは違う方向に進んでいく仲間たちを目の当たりにして、力とは自らをも傷つける諸刃の剣である思い知る。自らが仲間のためにと作り上げた組織が、警察から犯罪組織だと見なされた時の彼の絶望は計り知れない。
 そんな鉄頭を見守る刑事北野だが、演じるのが竹中直人では・・・・・彼が演じる役柄はこのところ立て続けにミス・キャストだとしか言いようがない。すぐに頭に思い浮かぶだけでも、『まぼろしの邪馬台国』『夜の上海』と、作品を台無しにしかねない彼の演技には辟易する。この作品でも予想を裏切らない演技を見せてくれているのは、並の三文役者にはできない真似で、ある意味では凄いことだと言える。そして、そんな“凄さ”は不要で、そんな演技しかできない竹中もまた不要ということになるだろう。