評     価  

 
       
File No. 0976  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年05月01日  
       
製  作  国   韓  国  
       
監      督   ナ・ホンジン  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   本年度最大の衝撃!
漆黒の闇を疾走する 戦慄のクライム・サスペンスの傑作、誕生。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   キム・ユンソク [as ジュンホ]
ハ・ジョンウ [as ヨンミン]
ヨ・ソンヒ [as ミジン]
 
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あ ら す じ    元刑事のジュンホは、自らが経営するデリヘルの女性が次々と失踪するという事態に見舞われる。ジュンホは、彼女たちが最後に会った客の携帯の番号が同じであることに気づき、直前に送り出したミジンの客も同じ番号だったことに不安を覚える。そして彼の不安は的中し、ミジンからの連絡もまた途絶えてしまった。彼女が事件に巻き込まれることを危惧したジュンホは、その行方を追って不審な男ヨンミンと遭遇する。そして、問題の電話番号にかけたところヨンミンが持つ携帯が鳴ったために、彼が女性失踪に絡んでいると確信したジュンホは格闘の末にヨンミンを捕縛するが、2人はそのまま駆けつけた警官に署まで連行されてしまう。
 ヨンミンの取り調べが行われ、女を売り飛ばしたと詰め寄るジュンホに対し、ヨンミンは驚くべき言葉を口にした。女性を売ったのではなく、殺したと言うのだ。そしてヨンミンは、ミジンがまだ生きていることを仄めかす。ところが、彼の自供だけで物的証拠が何一つないため、拘束期限が切れる12時間以内に証拠を見つけようと警察は躍起になった。しかし、必死の捜索も虚しく、物的証拠である遺体を見つけることはできず、ヨンミンは証拠不十分で釈放になってしまう。
 一方、重傷を負いながらも生きていたミジンは、必死の思いで拘束を解いてヨンミンの隠れ家を脱出した。そして、目に付いた商店で電話を借りてジュンホに連絡するが、ジュンホからの応答はなかった。そして、運悪く釈放されたヨンミンがその店に偶然訪れる・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先日の『アンティーク』に続き、2作連続で星5個の韓流作品。本年度最大の衝撃というコピーは確かにその通りで、これほど凄惨で救いのない、何のカタルシスも存在しない作品は今年に入って観た記憶がない。それでいて、どこか夢物語のように現実感が欠如しており、全体的には実にアンバランスな作品になっているように思える。
 なぜ現実感が欠如していると感じたのか、振り返ってみると韓国警察の描写が最大の理由だと思える。そもそも、現代においてあれほど無能な警察があっていいのか?犯人のヨンミンの居所は狭い地域に限定されているのだから、周辺を徹底的に捜査すべきところを、何の根拠もない山を総動員で捜索して、当然のことながら得る物は何もなし。12時間もかけて証拠ひとつも得られないとは・・・・・あの警察のていたらくでは、どう見てもコメディにしか見えない。ハッキリ言って、江戸時代の岡っ引きと同じレベルじゃないだろうか。もしあの描写のような警察が実在するのであれば、韓国には絶対に住みたくない。
 そんな警察だから、ジュンホは当然自分でミジンを探さなければならなくなるが、そのジュンホを無能な警察が邪魔するのがさらに滑稽だ。ヨンミンの証拠固めとジュンホの邪魔と、一体どちらが大事だと思っているのか?しかも、本来は証拠を必要とする検事がヨンミンを警察から擁護するような真似をするのも理解できない。一体、韓国の司法制度はどうなっているのだろうか。そんな粗がやたらと目立つため、作品にリアリティが欠けているように感じるのも当然だろう。日本では絶対に作ることができない作品であることは間違いない。
 無能で滑稽ですらある警察に対し、犯人のヨンミンは狡猾で冷酷だ。遺されたミジンの幼い娘が痛々しくて仕方ない。既にハリウッドでのリメイクが決定しているらしいが、ハリウッドが映画の題材に窮乏している度合いは、もはや回復不能なまでに深刻な重症のようだ。