評     価  

 
       
File No. 0977  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2008年05月08日  
       
製  作  国   中  国 / 香  港  
       
監      督   ピーター・チャン  
       
上 映 時 間   113分  
       
公開時コピー   それは命を懸けた義兄弟の契り。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジェットー・リー [as パン・チンユン]
アンディ・ラウ [as ツァオ・アルフ]
金城 武 [as チャン・ウーヤン]
シュー・ジンレイ [as リィエン]
グオ・シャオドン [as 蘇州城主ホアン]
 
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あ ら す じ    19世紀末。イギリスとのアヘン戦争で疲弊した清朝で太平天国の乱が勃発する。味方である魁軍の裏切りによって自分の仲間を全滅させてしまった将軍パン・チンユンは、失意の中彷徨っていたところを一人の女性リィエンに助けられ、彼女と一夜を共にする。しかし、翌朝目が覚めてみると彼女は姿を消してしまっていた。さらに当てもなく彷徨うチンユンは、とある盗賊の一団と遭遇する。そして、彼らのリーダー格だったチャン・ウーヤンに腕を見込まれたチンユンは、彼らの村へと導かれる。
 チンユンは村で偶然リィエンに再会するが、彼女は盗賊団のリーダーでウーヤンと義兄弟の契りを交わしたツァオ・アルフの妻だった。官軍の将だったチンユンを仲間にすることをアルフが認めなかったため、おとなしく村を出ようとしたチンユンだったが、たまたま村を通りかかった官軍が村人に狼藉を働くのを見て怒りが再燃する。その軍こそは、チンユンの軍を裏切って全滅に追い込んだ魁軍だったのだ。チンユンはアルフに、今後このような蹂躙を受けないためにも、朝廷に仕える軍隊になり、公然と武装すべきだと持ちかけたところ、アルフはこの申し出を受け入れた。かくしてチンユン、アルフ、ウーヤンの3人は義兄弟の契り“投名状”を結ぶのだった。
 以来、鉄壁の拘束力で結ばれた3人が率いる山軍は太平天国軍を次々と打ち破り、西太后からも信頼を得るまでに至った。そして、山軍が力を持つにつれて、それまではただ戦を終わらせて国が平和になるためだけに戦ってきたチンユンはある感情を抱くようになる。それは、自らが想いを寄せるリィエンの夫であり、仲間からの信望も厚いアルフに対する羨望と嫉妬だった。やがてそれは義兄弟という強い絆で結ばれたはずのチンユンとアルフの間に、埋めることのできない亀裂を生じていくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ジェット・リーに『墨攻』のアンディ・ラウ、そして金城武というビッグ3が初の共演を果たした作品。最近は中国の史実を描いた作品が立て続けに公開されており、この作品も実際に中国で起きた太平天国の乱を舞台に活躍した、実在する山軍の3人の義兄弟を描いている。ちなみに、作品中に登場し原題にもなっている“投名状”とは、戦乱の中国において忠誠を誓う証のことであって、投名状を結んだ者は互いに生死を賭して助け合い、義兄弟を傷つけた者にはたとえそれが義兄弟であっても死の制裁をもって報いるというもの。
 ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武の3人がそれぞれ特徴のあるキャラクターを演じ分けており、特にいつもは冷静沈着な役柄が多い金城武が(『レッドクリフ』の孔明はその最たる例だろう)、珍しく感情の激しい役柄を演じているのは見物だ。策略に富んだチンユイに、木訥な男アルフ、そしてそんな2人の板挟みになるウーヤン、そんな3人の義兄弟がたどり着く先は・・・・・それは観てのお楽しみだ。あまりに長い時間の流れを詰め込んだためか、チンユイとアルフが次第に対立していく経緯が描き切れていないのはちょっと残念。ただ、2人に亀裂を生じさせた原因のひとつがアルフの妻リィエンにあることは確かで、そのリィエンを演じたシュー・ジンレイが“傾国の美女”とはいかないまでも、2人の男を惹き付けたというのが頷ける女性であり、チンユイの邪な横恋慕にも現実味が感じられていい(何が言いたいかというと、『レッドクリフ』で絶世の美女と称されるリン・チーリンには全く魅力を感じないたため、彼女を奪い合うという設定が嘘っぽく感じたのとは大違いだと言いたいのだ)。