評     価  

 
       
File No. 0979  
       
製作年 / 公開日   2007年 / 2009年05月09日  
       
製  作  国   フランス / ベルギー / ド イ ツ  
       
監      督   ヴェラ・ベルモン  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   私は生きる。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マチルド・ゴファール [as ミーシャ]
ヤエル・アベカシス [as ゲルーシャ]
ギイ・ブドス [as エルネスト]
ミシェル・ベルニエ [as マルト]
ベンノ・フユルマン [as ロイヴン]
 
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あ ら す じ    1942年、ナチス・ドイツによるユダヤ人狩りが激化するブリュッセル。8歳の少女ミーシャは、母ゲルーシャと父ロイヴンの3人で、ユダヤ人であることを隠して暮らしていた。ある日、いつもなら学校が終わると迎えに来てくれるロイヴンがいつまで経っても現れない。ミーシャが学校に行っている間にユダヤ人の一斉検挙があり、両親は連行されてしまっていたのだった。
 ミーシャは両親が手配していた支援者のネットワークを通じ、郊外の街で名前を変えてベルギー人一家の子供として暮らすこととなった。そんなミーシャを暖かく包んでくれたのは、食料を買い出しに行く先の老夫婦エルネストマルト、それに彼らが飼う2匹の犬ママ・リタとパパ・イタだった。しかし、ナチスの追求は未だ厳しく、ミーシャに心休まる日は訪れなかった。
 そしてある日、両親が東に連れて行かれたという情報を聞いたミーシャは、エルネストからもらった小さなコンパスを頼りにたったひとりで東に向かって両親を捜す旅に出る。しかし、幼いミーシャに戦争の残酷さと大自然の過酷さが容赦なく襲ってくる。食べ物も満足に食べられず空腹に疲れて諦めかけたミーシャを救ったのは、森で出会った白い狼だった。動物を惹き付ける不思議な力を持つミーシャは、たちまち白い狼と仲良くなり、狼にママ・リタと名付けて行動を共にするようになるが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    またもや幼き天才女優の誕生か?主役のミーシャを演じた、この作品が映画初出演となる当時9歳のマチルド・ゴファールの演技にはただただ脱帽。幼いながらも壮絶な生への執念と力強い生命力が感じられる一方で、動物には優しく、戦争の悲惨さに敏感に反応する繊細な心を持つミーシャが愛おしく感じるのと同時に、彼女の目を通して人間の愚かさや残酷さが伝わってくる。その残酷さはあるいは動物に対してであり、あるいは同じ人間に対してでもある、ヒトという種が根強く抱える弱者に対する優越感、支配欲だ。その最たるレイがナチスのホロコーストであり、当時ドイツ・イタリアと三国同盟を結んでいた日本による南京大虐殺だと言えるだろう(ちなみに、南京大虐殺については諸説あるが)。
 小難しい理屈はともかくとして、ミーシャという幼い少女を支えたのが、両親に会いたいという強い想いだ。彼女はまだ10歳にも満たない年齢だから、その想いはなおのこと切実で、2年にも及ぶ長く辛く寂しい旅を続けてきた末にミーシャがたどり着いた結末があまりに痛ましい。