評     価  

 
       
File No. 0981  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年05月09日  
       
製  作  国   アメリカ / フランス / イギリス  
       
監      督   マチュー・カソヴィッツ  
       
上 映 時 間   90分  
       
公開時コピー   人類の運命を握る男  謎の女を連れて、地球を横断する。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ヴィン・ディーゼル [as トーッロップ]
ミシェル・ヨー [as シスター・レベッカ]
メラニー・ティエリー [as オーロラ]
ランベール・ウィルソン [as ダルクワンディエ]
マーク・ストロング [as フィン]
ジェラール・ドパルデュー [as ゴルスキー]
シャーロット・ランプリング [as ノーライト派教主]
 
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あ ら す じ    度重なる戦争で荒廃した近未来の世界。大金と引き替えにあらゆる危険な仕事を請け負い、今は秘かに身を潜めて暮らしていた最強の傭兵トーロップの元に、国際的なマフィアのボスゴルスキーから依頼が入る。それは、50万$の報酬である若い娘をモンゴルからアメリカまで送り届けるというものだった。用意されたパスポートを使えば入国不可能なアメリカに戻れる、それは彼にとって大きな魅力であり、トーロップはこれを最後の仕事として引き受ける決心をした。
 ゴルスキーが用意したリムジンごとヘリで運ばれた先は、モンゴルにある新興宗教団体ノーライト派の修道院だった。そして、彼はそこで“荷物”である娘オーロラと、彼女の保護者であるシスター・レベッカを車に乗せ、まずはカザフスタンを目指した。ところが、カザフスタンのトロイツク駅に向かった時、オーロラが驚くべき能力で大爆発を予知し、トーロップたちは間一髪難を逃れた。そして、トーロップはシスター・レベッカから、オーロラは2歳の時に19カ国語を話せたこと、初めて目にする物事を瞬時で理解できること、3ヶ月前に医師から投与された薬によって情緒不安定に陥ったことを知り、オーロラに対する不審感を深めるのだった。
 その後も相次ぐ災難をくぐり抜け、3人の間に奇妙な連帯感が生まれてくる。そして、ついに目的地ニューヨークに到達したトーロップたちは、ノーライト派教主が自らの邪悪な目的を達成するためにオーロラを利用し用としていることを知る。トーロップは、金を受け取ってオーロラを素直に引き渡すか、教団に反旗を翻してオーロラを守るかの選択に迫られるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    これほど設定がメチャクチャな作品も珍しい。第1に、なぜオーロラをアメリカまで送り届けるのにトーロップに依頼したのかが不明、というか、そうする理由がない。ノーライト教団内で極秘裏にオーロラを送り届ければ、それが最も安全かつ確実な方法であることは明らかなのに、なぜわざわざ部外者であるトーロップを関与させるのか。徒にリスクを増大させるだけで、事実後半はトーロップの造反のために大きな痛手を受けている。
 第2に、オーロラをアメリカへ送り届けようとするトーロップを襲う集団の存在だ。教団にせよゴルスキーにせよ、彼女が無事アメリカまで着いて初めて利益を得こそすれ、彼女のアメリカ行きを阻止して利益を得る者は作品中には存在しない。敢えてトーロップを襲撃して利益を得る者を探すとするならば、それは映画の製作者以外にはあり得ない。つまり、すんなり送り届けたのではドラマにならない、だから無意味な襲撃者を登場させたという、実に安直な愚行の産物なのだ。
 第3に、モンゴルのノーライト派修道院を一体誰が爆破したのか、爆破の目的は何なのか?これも、合理的な説明は存在しないのだ。
 極めつけはオーロラの処女懐胎で、聖書に書かれた世界でならともかく、21世紀の未来において処女懐胎が教団にどれほどのメリットを与えるというのだろうか。ここまで来るとそのバカバカしさには逆に感心してしまう。
 ここまで脈絡や合理性を欠いた支離滅裂な脚本であることに加え、肝心の主役であるトーロップ役のヴィン・ディーゼルが、主役としてはあまりに役不足だ。主役であるという華やカリスマ性が微塵も感じられず、彼にふさわしい役柄は肉体派の悪役というのが関の山だろう。お金を費やしてまでも時間を浪費したい人以外には絶対にオススメできない、今年観た作品中でも最低レベルの作品だ。