評     価  

 
       
File No. 0988  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年05月23日  
       
製  作  国   タ  イ  
       
監      督   プラッチャヤー・ピンゲーオ  
       
上 映 時 間   93分  
       
公開時コピー   この蹴りに世界がひれ伏す!!!!!!!!  

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ジージャー(ヤーニン・ウィサミタナン) [as ゼン]
阿部 寛 [as マサシ]
ポンパット・ワチラバンジョン [as ナンバー8]
アマラー・シリポン [as ジン]
イム・スジョン
タポン・ポップワンディー [as ムン]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    日本人のヤクザの大物マサシ率いる組織と、現地最大のマフィアが抗争を繰り広げる十数年前のタイ。マサシは現地マフィアのボスナンバー8の女ジンと運命的な恋に落ちる。そして、マサシはナンバー8からジンを奪い去るが、ジンはマサシがナンバー8の報復を受けることを案じて、マサシに日本へ帰国するように告げた。マサシはジンの言葉に従い日本へと戻るが、そのときジンの中にはマサシの子供が宿っていた。
 ジンはやがて女の子を出産し、日本にちなんでゼンと名付ける。ゼンは脳の発達が遅れていて自閉症を患う反面、他の子供にはない特殊な能力を持っていた。それは、人並み外れた身体能力と、技を見ただけで習得できるという能力だった。アクション・スターのビデオを見たゼンは次々と技を吸収していき、密かに練習を積んでいくのだった。
 幼なじみのムンと組んで、その反射神経を生かして小銭を稼ぐようになるゼンに、やがて大きな転機が訪れる。母ジンが末期の白血病に冒されていることが発覚し、治療に必要な多額の費用を手に入れなければならなくなった。そんな時にムンが、かつてジンがお金を貸していたリストを見つけ、リストに載っている相手から貸した金を返済してもらうことを思いついたのだ。しかし、正直にお金を返そうという相手は誰一人おらず、逆に暴力でゼンとムンを追い払おうとする。ゼンはついに、今まで磨いてきた武術を使って彼らの暴力に立ち向かうのだった。
 そんなことを何度か繰り返すうち、ゼンとムンの存在がナンバー8にの目に留まるようになる。そのことを知ったジンは身の危険を感じ、マサシへ助けを求める手紙をムンに託すが、そのムンがナンバー8に捕らえられてしまう。さらに、ジンはゼンと共にナンバー8に直談判を試みるが、ナンバー8の銃で撃たれて人質になってしまう。ジンとムンを助けるため、ゼンとナンバー8一味との壮絶な戦いの火ぶたが切って落とされた。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    これは凄い。ある意味、ブルース・リーの映画を初めて観たときに匹敵するインパクトを受けた。主役のゼンに扮するジージャーことヤーニン・ウィサミタナンは、一見すると非常に華奢で格闘家よりは知的な役柄が似合っているようにすら思える。また、舞台挨拶の映像を見ると、意外にも驚くほどペラペラとよく喋る今風の女の子なのだ。しかし、いざアクションが始まると、彼女が繰り出す多彩な技、特に脚技にはただただ驚くばかりだ。中でも、何度も見せてくれるかかと落としは見事と言うほかなく、ついつい感嘆の溜息をついてしまった。しかも、寸止めなしのスタントなし、ワイヤーアクションもCGもなしのリアルな格闘シーンは、コピーにもある通り「ノンストップの生傷アクション」で、主役のジージャーはもちろんのこと、彼女の相手をする側も傷だけで済むはずもなく、けが人が絶えなかったことだろう。たかが映画、されど映画、観る者を楽しませるためには手段を選ばない、その監督の意気込みとジージャーを筆頭に文字通り体を張った熱演には敬意すら表したくなる。
 作品自体はかつてのブルース・リー作品と同様で、すべてはジージャーの格闘シーンのための伏線のようなものだ。細かいストーリーの粗など気にしてはいけない。そういう意味では、ジージャー扮するゼンが自閉症という設定はいいと思う。自閉症の子供が他の子にはない特殊な能力に恵まれるというのは実際にあり得る話だし、ジージャーも余計な演技に気をとられることなくアクションに集中できただろう。とはいうものの、タイのマフィアと日本のヤクザの抗争に端を発する前半は冗長に感じてしまうのはちょっとツラい。また、日本での集客を見込んでなのかわからないが、日本人である阿部ちゃんを起用したのにも無理を感じてしまい逆効果だとしか思えない。