評     価  

 
       
File No. 0999  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年06月06日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   フランク・ミラー  
       
上 映 時 間   103分  
       
公開時コピー   歳代の敵こそ、真実。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ガブリエル・マクト [as スピリット]
サミュエル・L・ジャクソン [as オクトパス]
エヴァ・メンデス [as サンド・サレフ]
スカーレット・ヨハンソン [as シルケン・フロス]
ジェイミー・キング [as ローレライ]
サラ・ポールソン [as エレン]
ダン・ローリア [as ドーラン]
パス・ベガ [as プラスター・オブ・ハリス]
ルイス・ロンバルディ [as フォボス]
スタナ・カティック [as モーゲンスターン]
 
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あ ら す じ    我が街セントラル・シティが恋人だと嘯くスピリットの元に、ある夜呼び出しがかかる。街きっての凶悪な犯罪者オクトパスが絡んだ事件が起きた模様で、早速現場へ向かったスピリットは、そこで待ち受けていたオクトパスとの戦いに臨む。不死身の体を持つスピリットとオクトパスの戦いは体力が尽きるまで続き、互いに瀕死の重傷を負ったところで引き分けに終わった。その間にオクトパスの腹心シルケン・フロスは、古い貨物船の積荷である2つの木箱をサンド・サレフと奪い合った末、互いに1個ずつを持ち帰る。サンド・サレフとは、かつて少年時代のスピリットの恋人で、街を捨てた彼女は数々の犯罪によって念願の大金持ちとなった今、なぜか再び街に舞い戻っていた。
 シルケンはアジトに持ち帰った箱を開けてみるが、中身はオクトパスが手に入れようとしていた物ではなかった。そしてそれはサンド・サレフも同様で、2人は互いに目的とは違う方の箱を持ち帰っていたのだった。一方、瀕死の重傷を負ったスピリットは、外科医である恋人エレンの手当でたちどころに傷が癒えて元の体に戻っていた。そうなることは知っていながら、なぜそうなるのかは彼自身にもわからなかったが。回復したスピリットは、オクトパスとの死闘の現場にいたと思われる、かつての恋人サンド・サレフを探し始める。
 しかし、彼女を探していたのはスピリットだけではなかった。互いに間違って持ち帰った箱の中身を交換すべく、オクトパスとシルケンもまた彼女を追っていた。オクトパスが求めていた箱の中身“ヘラクレスの血”を手に入れると無敵の存在と化し、セントラル・シティはオクトパスの手中に落ちてしまう。オクトパスの野望を阻止し、終わりなき戦いにケリをつけるべく、スピリットは警察をも巻き込んだ一策を講じるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『シン・シティ』や『300』のクリエーターとして、独特な映像世界を生み出してきたフランク・ミラーの単独監督デビュー作。黒ずくめの装束を身にまとう主人公スピリットのネクタイの鮮明な赤い色が目に焼き付いている。スピリットを演じるカブリエル・マクトがクールな二枚目なのだが、なぜか言動が滑稽で笑いを誘う。どの映画サイトを見ても書かれていないのだが、私はこの作品のジャンルには絶対に“コメディ”を付け加えるべきだと思う。実際、場内では随所で笑いが巻き起こっていたから。特に、ビルから転落した際にベルトを鞭代わりに使ったために、パンツがずり落ちて下半身がトランクス1枚の姿でぶら下がるシーンは、作品中の見物人同様に観ている私たちも笑いを抑えることができなかった。
 脇役がまたおそるべき個性的なキャスティングで、その筆頭はもちろんスピリットの宿敵オクトパスを演じたサミュエル・Lジャクソンだ。暗いシーンが多い中、彼の目と歯だけが鮮やかに白く浮き出る映像にはインパクトがあり、おそらくは本人も心底オクトパスになりきって喜々として演じているのが伝わってくる。自分とスピリットがなぜ死なないのかを語るシーンなどは、わざわざナチスの衣装を着て演説するなど茶目っ気たっぷりな怪演には、「誰かこのオッサンを止めてくれ〜!」と叫びたくなる。彼に付き従うスカーレット・ヨハンソンの可愛い悪役ぶりも見所で、その真面目ぶりがまた笑えるのだ。また、次々と複製されるショッカー戦闘員のようなオクトパスの部下たちの、それぞれTシャツの背中に書かれた名前が可笑しい。
 女性陣では、相変わらず濃〜いキャラのエヴァ・メンデスが、この作品でも露出の多いコスチュームでフェロモンをムンムンにまき散らしまくっていたり、スピリットを詩の世界へ誘うローレライ役のジェイミー・キングのミステリアスさと、実に多彩なキャラクターが登場する中で、唯一まともな女性エレンを演じたサラ・ポールソンが息抜き的な存在になっていていい。
 『シン・シティ』のようなハード・バイオレンスを期待すると裏切られる作品であり、賛否両論に分かれると思われるが、これはこれで悪くない作品だと思う。ただ、場内では寝ている人が少なくなかったようで、私自身も途中何度か意識を失いそうにはなったのだが・・・・・。