評     価  

 
       
File No. 1003  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年06月06日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   横浜 聡子  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   脳みそなくても心臓止まっても
ぼくの恋は死なない
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   松山 ケンイチ [as 水木陽人]
麻生 久美子 [as 神泉町子]
ノゾエ 征爾 [as 田中太]
ARATA [as 島田要]
齋藤 咲良 [as 奈央]
竹谷 円花 [as 志乃]
米田 佑太 [as 小太郎]
中沢 青六 [as 種市園長]
キタキマユ [as 薫先生]
野嵜 好美 [as 里歌子先生]
乗田 夏子 [as 佐藤チネ]
宇野 祥平 [as 小太郎の父]
小野 寺陸 [as 小学生]
藤田 弓子 [as 三上のカミサマ]
原田 芳雄 [as 三沢医師]
渡辺 美佐子 [as 柴田もつ]
 
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あ ら す じ    青森で祖母のもつと2人で農業を営む青年水木陽人が、初めて恋をした。相手は、東京から幼稚園のやって来た保育士の神泉町子。彼女が青森に訪れたのには、事故で亡くなった恋人のことでカミサマと呼ばれる占い師から助言を得るという目的があったのだった。
 知能に障害を持つ陽人は、そんな町子の都合などお構いなしに、猛烈なアプローチを開始する。ところが、それまでは傍若無人だった陽人の態度がある日を境に急変した。どうやら、畑に埋まっていた彼を見て、子供が悪戯で農薬をかけたのが原因のようだった。そんな人格の急変に驚く町子に、陽人は今の自分と前の自分のどちらが好きかを尋ねた。そして、今の陽人の方がいいという町子の答えに満足した陽人は、農薬を浴びることによって町子に好かれる自分に進化できると信じ込んでしまう。
 そんな陽人がある日、農作業の途中で倒れてしまう。馴染みの三沢医師のところに運び込まれた陽人の心臓は停止してしまっていた。三沢医師は何度も陽人の蘇生を試みるが、努力も虚しく陽人の心臓は止まったままだった。ところが、陽人は死んではいなかったのだ。心音は聞こえないし、食欲もなく体調に異常を訴えることもしばしばだった。それでも、陽人は町子が自分のそばにいてくれることが嬉しかった。自分の身に二度目の死が訪れようなどとは、夢にも思わないままに・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    未だかつて邦画でこれほど字幕が欲しいと感じた作品はなかった。標準語を喋るのは麻生久美子扮する町子のみで、他はすべて津軽弁というこの作品、これほどまでに台詞が聞き取れないとは予想もしていなかった。青森出身ということもあり主役に抜擢された松山ケンイチ、祖母役の渡辺美佐子、意志役の原田芳雄、カミサマの藤田弓子といったプロの役者はまだしも、恐るべきは地元の子供を起用したと思われる子役たちが喋るネイティブな津軽弁で、私にとってはハッキリ言って宇宙人の会話に等しいものがあった。
 演技には定評があるマツケンは、地元青森を舞台にしたこともあって、実にのびのびと陽人を演じているのはいい。だが、脳に障害を持つという設定のためか、今ひとつ陽人のキャラクターが把握しづらい気がした。平たく言えば、陽人が一体何を考えているのかがわからないのだ。もっとも、それが陽人のキャラなのであり、彼を把握できないのはすなわちマツケンの演技が上手いことの証であるのかもしれないが。それにしても、農薬で人格に異変が起きたり、心臓が止まっても生きていたり、フィクションとは言え理解に苦しむ展開が多い。極めつけはラストシーンで、まさか町子があんなモノをあんな使い方をするとは、いくら映画の中とは言ってもあまりに不謹慎に過ぎるように私には感じた。加えて、最期に彼女の口元に浮かんだ微妙な表情が何を物語っているのか・・・・・謎だ。