評     価  

 
       
File No. 1009  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年06月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   佐藤 祐市  
       
上 映 時 間   109分  
       
公開時コピー   大不況時代のヒーローは・・・、
アレ?こんなヤツら!?
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   カンニング竹山 [as 須賀啓一]
佐々木 蔵之介 [as 村岡昌志]
與 真司郎 [as 佐々木大和]
忽那 汐里 [as 宮野涼子]
寺島 しのぶ [as 須賀勝子]
柄本 佑 [as ハーベスト]
日村 勇紀 [as ブッチャー]
波瑠 [as 渡辺麻美]
吉田 鋼太郎 [as 雀荘ロン店長]
キムラ 緑子 [as スナックのママ]
升 毅 [as 医者]
佐野 史郎 [as ホモ雑誌編集長]
池内 博之 [as 牧瀬和彦]
大杉 漣 [as 豊川]
 
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あ ら す じ    メタボデブで薄給の冴えないサラリーマン・須賀啓一は、いつものように鬼嫁の勝子から小遣いの500円をもらって会社へと向かった。そして、満員の通勤電車の中で、女子高生がお年寄りに席を譲るのを見かける。顔は見えないが、彼女の鞄には天使のマスコットがぶら下がっていた。そして次の日、再び天使のマスコットが付いた鞄を見つけた須賀は、その女子高生を追って途中下車する。人混みをかき分けて須賀は彼女を追ったが、段差につまずいて一日の全財産の500円玉を落としてしまう。ところが、失望のあまり立ち上がれずにいた須賀に差し伸べられた手があった。天使のような笑顔の彼女が、須賀の500円を拾って手渡してくれたのだ。
 その日から須賀の頭の中は、彼女のことで一杯になってしまった。そして、須賀は勤務先である支援塾で担当している引きこもりの高校生佐々木大和に相談すると、大和はネットから驚くべきブログを発見する。底には女子高生が淫らな自分をさらけ出していたのだが、そこに掲載されていた画像はまぎれもなく彼女であり、なんと須賀の500円を拾ったエピソードまでが記載されていたのだ。
 「ブログは何かの間違いだ!」と決め込んだ須賀は、勝手な思い込みから彼女、宮野涼子をこんな世の中から守ろうと決意し、腐れ縁の友人・村岡昌志と大和までをも強引に巻き込んで、ストーカーまがいの護衛を始めるのだった。そして、大和のクラスメイトで涼子と同じ高校から転入してきた渡辺麻美から、涼子は心臓にペースメーカーを埋め込んでいるために、携帯やパソコンは使えないことを聞かされる。須賀の勝手な思い込みは的中し、何者かが涼子のブログをでっち上げていたのだ。麻美は、犯人は涼子の高校の教師牧瀬和彦だと断言し、3人を牧瀬の自宅へと案内するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    あの『キサラギ』の佐藤祐市監督が再びメガホンを執った作品。コミカルな場面は思い切りコミカルに、そしてサスペンス風に進行していく後半は手に汗握るような緊張感もあり、実にメリハリが利いた展開は退屈という言葉とは全く無縁。『キサラギ』でも見せてくれたその構成の見事さはやはり秀逸だ。主役はカンニング竹山単独だと思っていたのだが、実は竹山と佐々木蔵之介、そして與真司郎の3人がそれぞれ個性的なキャラを演じていて、そのバランスが実にいい。そして、彼らを取り囲む脇役がまた個性的で、須賀の鬼嫁を寺島しのぶ、ホモ雑誌の編集長を佐野史郎、村岡の兄貴分的存在の雀友・豊川を大杉漣、そして極めつけは柄本佑と日村勇紀と、なかなかに豪華なキャストが集合し、揃いも揃ってエンジン全開、のびのびと演じることを楽しんでいるという雰囲気が伝わってくるのがいい。
 中でも私が気に入ったのは、佐々木蔵之介扮する村岡昌志だ。この男、定職にも就かずに雀荘に入り浸っている、一見するとヤクザの予備軍のようなチンピラなのだが、腐れ縁の須賀に対しては憎まれ口を聞きながらも力を貸すことを惜しまない。そして、自分にとっては何の得にもならないはずなのに、身を危険にさらしてまで須賀を助けるのだ。それでいて、最後にはちゃっかりと30万円を手に入れているという、憎めない愛すべき男なのだ。
 それから、忘れてはいけないのが、3人が守ろうとした少女・宮野涼子を演じた忽那汐里(くつな・しおり)チャンだ。そのルックスはただ可愛いだけではなく、イヤミのない万人に好かれるような清楚さがあって、この作品のヒロインにはこれ以上の適役はいないだろうとさえ思える。私個人としては、彼女に初めてお目にかかることが出来たという点だけでも、この作品を観た甲斐があったというものだ(笑)。