評     価  

 
       
File No. 1010  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年06月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   古波津 陽  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー  
西暦2009年
無名の戦国武将、段ボールで城を建てる?!

風雲急を告げる 紙の城
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   片岡 愛之助 [as 石崎祐一/恩大寺隼人将]
海老瀬 はな [as 井原ナツキ]
江守 徹 [as 馬場虎兵衛]
阿藤 快 [as 井原勘助/勘鉄斎]
藤田 朋子 [as 佐々木律子]
津村 鷹志 [as 岩手教授]
木津 誠之 [as ゴン/権太夫]
ふせ えり [as 二本松和子]
 
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あ ら す じ    過疎化が進む山間のとある町・猿投では、町興しとして城を作ろうとする岩手教授たちと、工場建設を目論む馬場虎兵衛市長が対立していた。そんなある日、築城の棟梁井原勘助と市の職員石崎祐一が、ホームレスのゴンを追い払おうとして、3人共々井戸に転落してしまう。ところが、井戸から戻った3人には古の戦国武将の霊が乗り移っていた。
 石崎にはかつて猿投を治めていた恩大寺隼人将が、井原にはその腹心勘鉄斎が、そして、ゴンにはその家臣権太夫がそれぞれ憑依し、恩大寺隼人将は傍若無人にも町の人々に築城を命じるのだった。しかし、わずか3日の間に城を築くことはおろか、資材を集めることすら不可能だった。しかし、ひとり正気に戻ったゴンが作った段ボールのねぐらを見た恩大寺は、段ボールを使って城を造れないかと言い出した。そして、その思いつきは不可能じゃないと言った、大学で建築学を専攻する井原の娘ナツキは、恩大寺に命じられ棟梁として人々を指揮する羽目に陥ってしまう。
 恩大寺の真摯な築城への思いはやがてナツキに伝わり、いつしか彼女を手伝う町の人々の気持ちも築城へと一つにまとまっていく。ところが、これを良く思わなかったのが馬場市長だった。そして、市長と市の職員の二本松和子は、費用をかけずに城を取り壊し、おまけに町を有名にする話題づりにもなるという一石二鳥の案を考え出し、実行に移すのだった。果たして、ナツキが棟梁として築く段ボールの城は、市長の妨害を乗り越えて完成するのだろうか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    なぜか現代に戦国武将が現れて、なぜか段ボールで城を築く、そんな荒唐無稽なストーリーをどうやって辻褄合わせするのかという点にのみ興味を持って観た作品だが、思ったよりも悪くなかった、その理由のひとつは、実際に段ボールで城を造るという作業自体にある。いかにして段ボールだけで強度を得るか、その工程を観ているだけでも結構楽しめるのだ。完成した城は、段ボールらしいみすぼらしさとは無縁な見事なものだった。そして、もうひとつの理由は主演の片岡愛之助の上手さにある。
 戦国武将の霊が乗り移るという設定のため、片岡愛之助は市の職員・石崎祐一と、武将・恩大寺隼人将という2役を演じるのだが、これがとても同一人物とは思えないほどに演じ分けられている。得に、恩大寺隼人将を演じているときの彼は、発声からして石崎の時とはまったく違い、その貫禄・迫力は見事と言うほかはない。彼が元の冴えない市職員に戻った時に恩大寺隼人将の真似をするのだが、それが明らかに恩大寺そのものではなく石崎が真似しているのだとわかるのだ。
 また、井原ナツキを演じた海老瀬はなも良かった。最初は平凡で目立たないという印象を受けた彼女、ストーリーが進行するにつれて次第にそ存在感が大きくなってきた。てっきり初のお目見えかと思ったら、実は『犬と私の10の約束』で既にお目にかかっていたとは・・・・・端役だったから仕方ないか(笑)。