評     価  

 
       
File No. 1013  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年06月27日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   中川 陽介  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   もし私がこの島に生まれなければ  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   長澤 まさみ [as 仲村涼子]
福士 誠治 [as 比嘉大介]
良知 真次 [as 上原一也]
田中 美里 [as 仲村(旧姓:森下)由起子]
佐々木 蔵之介 [as 仲村龍二]
 
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あ ら す じ    沖縄の離島・南風原島に訪れた世界的なピアニスト森下由起子と、地元のウミンチュ仲村龍二が恋に落ち、結婚した二人は次の夏に女の子を授かった。間もなく由起子は病のためにこの世を去り、残された龍二は涼子と名付けられた女の子を男で一つで育て上げた。
 涼子は同じ年に生まれた比嘉大介上原一也と兄妹のようにいつも一緒に過ごしたが、やがて高校を卒業した3人はそれぞれ別の道に分かれて進むこととなった。一也は島でウミンチュになり、大介は那覇の大学へ進学、涼子も看護師を目指すために島を出て那覇へ行こうと考えていた。ところが、別れを目の前にした春の夜、一也が歌に託して涼子への愛を打ち明け、一也と結ばれた涼子は島に残って一也と結婚することを決意するのだった。
 密かに涼子を想っていた大介は、居ても立ってもいられずに早々と島を出て行き、残された一也は涼子との結婚の許しを龍二に求めた。しかし、まだ若すぎると龍二に反対された一也は、かつて龍二がしたように自分も海に潜って涼子のためにサンゴを執ってくることで、一人前のウミンチュとして認めてもらおうと考えた。しかし、数日後一也は海で事故死してしまい、涼子は精神のバランスを失って思い出の中だけに生きるようになってしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    昨年5月に公開された『隠し砦の三悪人』以来本当に久しぶりに思える、長澤まさみの主演最新作。ただ、観る前からあまりにセールスポイントや訴求力に乏しいと危惧した通り、正直言って「これ観て誰が面白いと思う?」というのが率直な感想だった。長澤まさみは私が好きな女優の一人だし、そのために今までも彼女の主演作は甘めの評価だったかもしれないが、さすがにその私でさえこの作品は観るだけ時間の無駄だったという後悔だけが残ってしまった。
 彼女の演技は決して下手ではないが、かといって天才女優と称される成海璃子のように上手くないのも事実だ。しかし、この作品に限って言えばあまりにストーリーがお粗末で、これは脚本が拙いとか演じる俳優の演技が上手いとか下手とか、そんな次元の話ではない。ハッキリ言えば、これじゃどんな名優・名女優が演じても面白い作品になるわけがない。そもそも、恋人を事故で亡くすことが悲恋だなどという設定が安直すぎる。加えて、肝心の登場人物の描写よりも島の景観の描写に重きを置いたような映像のおかげで、登場人物の勘定が全く伝わってこない。長澤まさみ分する涼子が引きこもりのような状態になったのも説得力ゼロならば、福士誠治分する大介がウミンチュでもないのに海に潜って危うく命を落としかけるなど、こんな支離滅裂なストーリーを考え出した作者の良識を疑ってしまう。同じ沖縄を舞台にした『涙そうそう』の方が数倍マシだ。
 この作品は長澤まさみが東宝という親元を離れた初めての作品だが、私は今まで彼女がいまひとつ女優として光らないのは東宝というバックの庇護のためだと思っていたが、そこから独り立ちした作品がこんな駄作では何の意味もない。もっと自分の演技のプラスになるような作品を選んで欲しいものだと切に願う次第だ。