評     価  

 
       
File No. 1030  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年08月01日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   後藤利弘  
       
上 映 時 間   99分  
       
公開時コピー   山あいの里
とちおを舞台におりなす
青春ファンタジー
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   寺島 咲 [as 原くるみ]
入野 自由 [as 五十嵐広志]
川村 亮介 [as 小林健太]
有村 実樹 [as 那須静]
大桃 美代子 [as 原小百合]
藤真 美穂 [as 小林真知子]
モロ師岡 [as 渋谷耕作]
村野 武範 [as 大崎敏郎]
松井 誠 [as 諸橋三四郎]
大杉 漣 [as 五十嵐守]
加藤 武 [as 諸橋虎二郎]
 
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あ ら す じ    校舎の窓から、原くるみは校庭を走る小林健太を見つめていた。それを知って、五十嵐広志は躍起になって健太に勝とうと走る。くるみと広志、健太の3人は幼なじみだが、くるみは中学の頃から密かに健太に憧れを抱いていたのだった。しかし、その気持ちが本物なのか、くるみ自身にも実はわかっていなかった。
 ある日くるみは、広志に頼んで閉鎖された中学の校舎に忍び込んだ。3年前の地震の時になくしてしまった健太からもらったキーホルダーを探し出し、自分の気持ちを確かめるためだった。そして、美術室で2人は古い木箱を見つけた。中を開けてみると、寂しげに微笑む美しい少女のモノクロ写真が入っていた。そして、その写真が語りかけるのを、2人は確かに聞いた。「ここから出して。ただ、あの人に会いたい・・・」と。くるみは広志に手伝ってもらい、写真の少女が誰なのか、そして彼女が言う「あの人」とは誰なのかを探す決心をする。
 2人は町の写真店の店主大崎敏郎を訪ね、広志は大崎から写真マニアが集まる喫茶店へ行けば何かわかるかもしれないとアドバイスを受ける。その直後些細なことからくるみと広志は喧嘩になってしまい、広志はひとりで大崎から聞いた喫茶店を訪ね、そこで写真マニアのひとり渋谷耕作と知り合った。
 数日後、町でばったり会ったくるみと広志は、車ででかける渋谷を見つける。実はくるみも以前に渋谷に写真を撮ってもらったことがあり、渋谷のことを知っていたのだ。そして、2人は夕方に例の喫茶店を訪ね、そこに現れた渋谷から写真を撮ったのが誰なのか、そして、写真に写っている少女が誰なのかをついに突き止めることができた。
 写真を撮ったのは渋谷の大学時代の同級生諸橋三四郎、被写体の少女は彼の恋人那須静であったが、親の反対に遭い三四郎は無理矢理ヨーロッパへ留学させられ、彼を追った静は三四郎と会ったのもつかの間、病でこの世を去ってしまっていた。そして、その後日本日本に戻った三四郎はもはやもぬけの殻のような状態で、アメリカへ渡った後消息が途絶えてしまったとのことだった。
 三四郎と静の悲恋を知ったくるみは、人を想い続けることがどういうことなのか、そして、今自分にとって誰が大切なのかを知る。そして、広志と共に酒蔵を営んでいるという三四郎の実家を訪ねるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    撮影は新潟県の長岡で行われたとのことだが、日本にもまだあんなに美しい田園風景があるのかと思うような景色をバックに、ゆったりと描かれているのが心地いい作品。そして、この手のファンタジー作品には私は弱いのだ。主演の寺島咲と入野自由の自然な演技は好感が持て、彼らの周囲を大杉漣、大桃美代子(言っちゃ悪いが、かなり老けたなぁ・・・・・エンドクレジットを観るまで彼女だとは全然気づかなかった)、村野武範、加藤武(妊娠8ヵ月くらいか。ちょっと腹出すぎ)といった、このクラスの作品にしては豪華なキャストが固めているのも見所のひとつだろう。
 久しぶりに訪れた渋谷のシアターTSUTAYAは、朝9時半という早い上映にもかかわらず、映画の日と初日舞台挨拶が重なって、完全に満席状態だった。そして、上映後に五島監督が「眠くなった人もいるのでは」と言った言葉にも関わらず、久しぶりに時間がまったく気にならずに集中できた気がする。そして、その理由のひとつがどうしても寺島咲から目が離せないことにあったのは、今までの私の言動からすれば容易に察しがつくだろう。
 ただ、寺島咲扮する主人公のくるみが、広志と健太の板挟みになって態度を決められない、その優柔不断さにかなりイライラさせられるのは精神衛生上あまりよろしくない(笑)。ラストのくるみに対する広志の告白はちょっと意外だったが、余韻を残すという意味合いでは悪くない終わり方だと思う。