評     価  

 
       
File No. 1032  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年08月01日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   細田 守  
       
上 映 時 間   114分  
       
公開時コピー   これは新しい戦争だ。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト
(声の出演)
  神木 隆之介 [as 小磯健二]
桜庭 ななみ [as 篠原夏希]
谷村 美月 [as 池沢佳主馬]
斎藤 歩 [as 陣内侘助]
横川 貴大 [as 佐久間敬]
信澤 三恵子 [as 陣内万理子]
谷川 清美 [as 篠原雪子/陣内典子]
桐本 琢也 [as 陣内理一]
佐々木 睦 [as 篠原和雄]
玉川 紗己子 [as 陣内理香]
永井 一郎 [as 陣内万助]
山像 かおり [as 三輪直美]
小林 隆 [as 陣内太助]
田村 たがめ [as 池沢聖美]
清水 優 [as 陣内翔太]
中村 正 [as 陣内万作]
田中 要次 [as 陣内頼彦]
中村 橋弥 [as 陣内邦彦]
入山 法子 [as 陣内奈々]
板倉 光隆 [as 陣内克彦]
仲 里依紗 [as 陣内由美]
安達 直人 [as 陣内了平]
諸星 すみれ [as 陣内真緒]
太田 力斗 [as 陣内祐平]
皆川 陽菜乃 [as 陣内加奈]
富司 純子 [as 陣内栄]
 
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あ ら す じ    高校2年の夏休み、あと一歩で数学オリンピックの日本代表になり損ねた小磯健二は、友人の佐久間敬と共に物理部の部室で仮想世界“OZ”のメンテナンスのバイトをして過ごしていた。その部室に、男子生徒の憧れの存在である先輩・篠原夏希が現れ、唐突に自分と一緒に田舎で過ごすバイトをしないかと持ちかけた。そして、佐久間とのジャンケンに勝った健二は、夏希と2人で長野県上田市にある彼女の実家へと向かった。
 夏希の実家・陣内家は武家の血筋を受け継ぐ名家で、その屋敷の大きさに健二は言葉も出なかった。しかし、それよりも驚いたのは、屋敷で陣内家の当主である夏希の曾祖母・陣内栄との挨拶で、夏希が健二をフィアンセだと紹介したことだった。実は以前栄が体調を崩したとき、夏希は「フィアンセを連れて会いに行くから、それまでは元気でいて」と励まして引っ込みがつかなくなり、ひとりで里帰りできなくなっていたのだ。そして、夏希から実家で過ごす4日間だけ恋人の振りをして欲しいと頼み込まれ、健二は渋々名家の生まれで海外留学帰りの東大生という設定の恋人役を演じさせられてしまう。
 その夜、健二の携帯に一通のメールが届く。そこには「解いて」という言葉と夥しい数字が記されており、健二は夢中でそれを解いて答えを返信した。実はその返信メールが、この夏休みを想像を絶するものに変えるなどとは夢にも思わずに。
 しかし、健二は早くも翌朝そのメールが彼にもたらした現実を思い知ることになる。子供たちに起こされると、テレビではOZが大混乱に陥っている事が報道されており、その犯人として健二の写真が映されていたのだ。驚いた健二はOZにログインしようと試みたが、なぜかアクセスが拒否されてしまう。そして、東京の佐久間に電話したところ、驚くべき事がわかった。健二が昨夜解いた数列は実はOZのセキュリティを解除するコードであり、健二はその解答をメールを返信したばかりか、何者かに自分のアカウントを盗むきっかけをも与えてしまっていたのだ。そして、その何者かが健二を騙って彼のアバターを使い、OZを混乱に陥れていたのだ。健二は佐久間に作ってもらった仮のアバターでOZに入るが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    実はこの作品、『サマーウォーズ』というタイトルから、せいぜい『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』程度のノリの内容だとタカをくくっていて、劇場へ行くつもりは全くなかった。けれども、公開日が映画の日であること、そして成海璃子の『山形スクリーム』が地元のシネコンでは15日からの上映のために空き時間ができたことから、急遽劇場で観ることになった。観る前はなぜアニメでなく実写にしなかったのかが疑問だったが、作品を観てみると私の事前の予想などとは比較にならないほど壮大なスケールの内容であることがわかり、これは実写にするには無理があるだろうと納得できた。
 最近観たアニメは『崖の上のポニョ』『ベクシル』『パプリカ』辺りだが、いずれをも上回る面白さのこの作品は、久しぶりのたぴおか的ヒットなアニメ作品だと言える。ちなみに、ここに登場する仮想世界“OZ”とは、実はもはや仮想とは名ばかりで、現実世界においても全世界を管理する壮大な規模のネットワークとなっていて、各国の言語は瞬時に自国語に翻訳されるため、国際的にボーダーレスないわば「地球国家」的なコミュニティとなっている。例えば、何か欲しい物があればOZに入りアバターを使って買い物をすればよく、果てはその権限のある者のアカウントを盗用すれば核ミサイルの発射すら可能になるという、まさに全世界のライフライン的なネットワークコミュニティなのだ。それだけにセキュリティ管理には針の穴ほどのセキュリティホールも許されないわけで、この作品ではそのセキュリティが破られたことを発端に文字通り仮想世界での大戦争が起きた顛末が描かれている。現在はともかく、未来においては単なるフィクションだと片付けるワケにはいかない、そんなリアリティを伴う作品だ。
 それにしてもこの作品、大騒動の元凶が米・ペンタゴンなのにもかかわらず、ワーナー・ブラザーズが配給だとは、ちょっと滑稽に思える。米本国でこの作品を公開するつもりなのだろうか。アメリカが全世界をパニックに陥れるということは、裏を返せばアメリカが世界一のコンピュータ大国である証左でもあるわけだから、深刻に考える必要もなく笑って見逃してもらえるとは思うが。