評     価  

 
       
File No. 1041  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年08月22日  
       
製  作  国   フランス  
       
監      督   ピエール・モレル  
       
上 映 時 間   93分  
       
公開時コピー   父の愛が、
パリの街を暴走する。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   リーアム・ニーソン [as ブライアン・ミルズ]
マギー・グレイス [as キム・ミルズ]
リーランド・オーサー [as サム]
ジョン・グライス [as ケイシー]
デヴィッド・ウォーショフスキー [as バーニー]
ケイティ・キャシディ [as アマンダ]
ホリー・ヴァランス [as シーラー]
ファムケ・ヤンセン [as レノーア・ミルズ]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    CIAの特殊工作員という激務の代償として、妻レノーアとは離婚し、愛する一人娘キムとも離れ、引退した今はカリフォルニアで孤独な日々を過ごすブライアン・ミルズ。そんな彼の唯一の願いはキムとの絆を修復することだけで、娘のためなら何でもする、それが彼の偽らざる心境だった。ある日、キムからランチの誘いを受けたブライアンは、親友のアマンダと2人のパリへの旅行を許可して欲しいというキムの頼みに顔を曇らせる。娘のあまりの無邪気さに不安を感じたブライアンは、最初は娘のパリ行きを拒んだものの、彼女を喜ばせたいという親心を押さえきれずに許可してしまう。そして、この時の彼の不安はやがて的中するのだった。
 2人がパリのアパルトマンに到着し、キムがレストルームでブライアンと電話している最中に、部屋に暴漢が押し入ってアマンダが拉致されてしまう。恐怖におびえるキムにブライアンは相手を観察して可能な限り状況を伝えさせると同時に、素早くICレコーダーで通話を録音する。間もなく一味に見つかったキムも捕らえられ、ブライアンは電話の向こうの犯人に「俺は長年培った特殊なスキルを持っている。このまま娘を戻すなら見逃すが、娘を解放しなければ俺はおまえを捜し出し、そして殺す」と警告するのだった。
 録音した犯人の音声から、一味は旅行に訪れた女性を手当たり次第に拉致し、麻薬で服従させるというアルバニア系の人身売買マフィアだと判明した。そして、過去のデータから遅くとも96時間以内に助けないと被害者は戻らないことがわかり、ブライアンはすぐさまパリへと飛ぶと単独で捜査を始めた。
 まずは犯行現場のアパルトマンを訪れ、そこで見つけたキムの壊れた携帯のメモリーから、一味の手先であると思われる男を特定する。そして、空港でその男が女性を拉致しようとした現場を押さえたブライアンは男を追ったが、逃走途中で車に撥ねられて死なれてしまう。そこでブライアンは因縁のある現地の警察官から組織が売春を行っている現場を聞き出し、そこでキムのジャケットを所持していた少女を助け出す。そして、彼女の証言から一味のアジトを突き止め、全員を叩きのめした末に無残にも麻薬漬けにされ絶命したアマンダの遺体を発見したものの、キムの姿はそこにはなかった。タイムリミットが刻一刻と迫る中、ブライアンは無事キムを救出することができるのだろうか・・・・・?
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    観る者に息をつく間も与えないかのような、次から次へと進展していくスピーディーな展開が実に見事。退屈さを微塵も感じさせることのない、理屈抜きで抜群に面白い作品だ。「理屈抜きで」というのは、常識や法律といった既成の概念の枠を無視しに囚われずに観たならばという意味であって、そもそもこの手の作品の面白さはそんな常識を越えたところにあるのだ。現実では、いかに相手が犯罪組織であったとしても、あれだけの殺戮と破壊を重ねたら極刑は免れないだろう。そして、この作品を観て真っ先に思い出したのは、23年前のシュワちゃん主演『コマンドー』だ。いずれの作品も、娘を救出するためには手段を選ばない、父親の凄まじいばかりの執念が感じられると同時に、どんな苦境に陥っても決してあきらめない強い意志に感服させられる。時代や所が変わっても、父親の娘への思いは変わらないということなのだろう。
 主役のブライアンを演じたのは名優リーアム・ニーソンだが、彼の56歳という年齢を感じさせないアクションが素晴らしい。そして、力業ばかりでなく、元CIAというキャリアを生かした頭脳戦もまた見所のひとつだ。この作品でプロデュースと脚本を担当したリュック・ベッソン率いるヨーロッパ・コープは、先日観た『トランスポーター3』といいこの作品といい良質なB級佳作を次々と送り出してくれる、侮れない存在だ。