評     価  

 
       
File No. 1047  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年08月29日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   堤 幸彦  
       
上 映 時 間   155分  
       
公開時コピー   もうひとつの 結末。
もうひとりの ともだち。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   唐沢 寿明 [as ケンヂ]
豊川 悦司 [as オッチョ]
常盤 貴子 [as ユキジ]
香川 照之 [as ヨシツネ]
平 愛梨 [as カンナ]
藤木 直人 [as 蝶野]
石塚 英彦 [as マルオ]
宮迫 博之 [as ケロヨン]
佐々木 蔵之介 [as フクベエ]
山寺 宏一 [as コンチ]
高橋 幸宏 [as ビリー]
佐野 史郎 [as ヤン坊・マー坊]
森山 未來 [as 角田]
古田 新太 [as 春波夫]
小池 栄子 [as 高須]
木南 晴夏 [as 小泉響子]
福田 麻由子 [as サナエ]
ARATA [as 13番]
片瀬 那奈 [as 敷島ミカ]
六平 直政 [as 仁谷神父]
研 ナオコ [as ジジババ]
北村 総一朗 [as 敷島博士]
手塚 とおる [as 漫画家・金子]
田鍋 謙一郎 [as 漫画家・氏木]
サーマート・セーンサンギアム [as タイマフィア・チャイポン]
チェン・チャオロン [as 中国マフィア・王]
竹内 都子 [as 市原節子]
津田 寛治 [as 諸星]
光石 研 [as ヤマさん]
石橋 蓮司 [as 万丈目胤舟]
中村 嘉葎雄 [as 神様]
黒木 瞳 [as キリコ]
 
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あ ら す じ    “ともだち”の予言通り世界中で殺人ウイルスがまき散らされ、地球上で20億人以上もの人々が犠牲になった。そして、2017年。東京はそびえ立つ壁に囲まれ、外部から侵入することも外部へ脱出することも自由にできず、地球防衛軍の管理のもと人々の行動は常に監視されていた。そんな中、“ともだち”は新たな予言を告げる。「8月20日、人類は宇宙人によって滅亡させられる。」と。
 2000年の“血の大晦日”で散っていったケンヂの仲間達は、それぞれのやり方で密かに活動を続けていた。ヨシツネは反政府組織ゲンジ一派を率いて地下に潜伏していたが、カンナはそのヨシツネと決別して“氷の女王”と称し、8月20日に武装蜂起を起こすことをラジオで呼びかけていた。ユキジはそんなカンナの身を案じながらも、彼女の暴走を止められずにいた。そんな東京へ侵入したのは、漫画家の角田とともに囚われの身から逃げ出したオッチョだった。サナエら姉弟の元に身を隠したオッチョは、2年ぶりに再会したユキジに「ヨシツネが“ともだち”ではないか」という疑念を打ち明けるのだった。
 国民的歌手の春波夫のマネージャーマルオは、行方不明になっていたケンヂの姉キリコが東村山にいることを突き止める。キリコはあああケロヨンに守られながら、8月20日に散布されるであろう新型ウイルスのワクチンを開発していたのだ。そして、マルオとケロヨンが見守る中、ついにワクチンは完成した。
 オッチョはカンナと接触することに成功するが、カンナ共々地球防衛軍に逮捕されてしまう。そしてそこで、ヤン坊・マー坊の兄弟から“ともだち”が8月20日に何をしようとしているかを知らされる。一方、オッチョと引き離されて“ともだち”の所へ連れて行かれたカンナは、“ともだち”から唯一万博会場だけはウイルス散布の対象になっていないことを知る。そして、“ともだち”の元から逃げ出したカンナは8月20日の武装蜂起を中止し、万博会場へなるべく多くの人々を集めるためにコンサートを行うことを決める。コンサートの目玉はラジオから流れるケンヂの曲で、カンナはケンヂが生きていてコンサート会場に現れることを信じていたのだった。
 その頃、壁の外では北から南下して関東への関所にたどり着いた一人の男がいた。男は偽造手形で関所を通過すると、「カンナに会いに行く」と言い残して東京へと向かった。男は死んだと思われていたケンヂだった。こうして、すべての人々が東京に集まり、人類滅亡の日・8月20日を迎えようとしていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    浦沢直樹氏原作による同名コミック3部作の完結編。どの辺りだったが忘れてしまったが、原作が連載されていたビッグコミック・スピリッツを読むのをやめてしまったのが少し悔やまれる。そのため原作とはどう違った結末になっているのかわからないのが残念だが、おそらくこの作品のような安易な結末ではなかったのだろうと想像される。“ともだち”の正体が最大の焦点となるわけだが、周囲の人に誰が怪しいか尋ねてみたところ最も多かった答えは「フクベエ」、次は「ヨシツネ」だった。「当たらずといえども遠からず」で、誰もが想像できる範囲内の結末には拍子抜けしてしまった。もちろん、この場で真相を公開するわけにはいかないので、その点は悪しからず。
 この作品では原作と結末が異なるためか、初めて原作者の浦沢直樹氏自身が脚本を担当しており、おそらくは原作の世界観を喪失しないようにとの配慮だと思われる。しかし、即席に考え出されたオリジナル・ストーリーだけに、完成度は今ひとつという印象が拭えない。もっとも、原作を読んだ人間に聞いてみたところ、結局は“ともだち”が誰なのかよくわからないというような感想を述べてはいたのだが。
 原作に忠実だった第1章・第2章とくらべて、粗が目立つのも気になった。“ともだち”がわざわざ替え玉を用意する必要性が全く理解できないし、ウイルスを散布する円盤をオッチョが撃ち落としたのはいいが、そんなことをしたらウイルスが拡散するだけではないか。また、大阪で開催されたはずの万博会場が都内にあるというのも説明がつかない(その点は原作がどうなっていたか、残念ながら記憶にないが)。また、ちょうどケンヂたちと私は同世代の人間だが、確かにあの時代にもいじめはあった。けれども、その時にいじめられた記憶を大人になるまで引きずるような、そんな現在に見られるような陰湿ないじめはなかったはず。そして、そんな“ともだち”誕生の原点が原作に描かれていたとは思えず、これもオリジナル版エンディングの欠点なのだろうか。
 エンド・クレジットが終わってから、ケンヂがともだちランドの研修所で過去の過ちを清算するシーンがあるが、私には不要な描写だとしか思えない。たとえ過去に戻って過ちを償ったところで、それはあくまで仮想現実の中でのこと。現実の世界でに子供時代の“ともだち”に与えた心の傷を癒せるはずはなく、それは単なるケンヂの自己満足以外の何物でもない。ところで、エンド・クレジットのキャストを見逃してしまったのだが、高校?(中学?)時代の“ともだち”演じていたのは神木君だよね?