評     価  

 
       
File No. 1052  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年09月05日  
       
製  作  国   フランス / ド イ ツ / チ ェ コ  
       
監      督   クリストフ・バラティエ  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   ここは、歌うために帰る家。笑顔のために集う場所。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジェラール・ジュニョ [as ピゴワル]
ノラ・アルネゼデール [as ドゥース]
マクサンス・ペラン [as ジョジョ]
カド・メラッド [as ジャッキー]
クロヴィス・コルニアック [as ミルー]
ピエール・リシャール [as ラジオ男]
ベルナール・ピエール・ドナデュー [as ギャラピア]
フランソワ・モレル
エリザベート・ヴィタリ
フレデリック・パパリア
 
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あ ら す じ    1936年のパリ。世界恐慌の余波による不況が続く中、ピゴワルは長年裏方を務めたミュージックホール、シャンソニア劇場を借金の形に取り上げられてしまい、閉館を余儀なくされる。息子のジョジョはふがいない父親の代わりにアコーディオンの演奏で日銭を稼いでいたが、ある日警察に見つかってしまう。そして、失業中のピゴワルは父親失格の烙印を押されてしまい、ジョジョは別れた元妻に引き取られることとなった。
 酒に溺れていたピゴワルだったが、最愛の息子との暮らしを取り戻すために、オーナーのギャラピアから1ヵ月の猶予期間をもらい劇場を再建することを決意した。ピゴワルはかつての仲間を集め劇場再開へとこぎ着けるのだが、今ひとつ観客の受けは良くなかった。そんな中ただひとり脚光を浴びたのは、新たに採用したギャラピアの愛人ドゥースだった。単なる進行役だった彼女が、客からの強い要求でやむなく歌を披露したところ、これが大受けしたのだ。ところが、ドゥース目当てで客が集まり、劇場の先行きに明るい光が見えたと思った矢先にドゥースが引き抜かれてしまい、たちまちシャンソニア劇場は客を失ってしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2007年に公開された『今宵、フィッツジェラルド劇場で』を彷彿とさせるようなタイトルのこの作品、同じような作風だったならばまたしても観たことを失敗したと公開させられるところだったが、幸いにも『フィッツジェラルド』よりは私の好みにマッチした作品で一安心した。スタッフはプロデューサーのジャック・ペラン、クリストフ・バラティエ監督、主演のジェラール・ジュニョ、カド・メラッド、マクサンス・ペランと『コーラス』にも携わった面々が揃っているため、『コーラス』のイメージを期待して観た人はその落差に困惑させられるようだ。幸か不幸か私は『コーラス』を観ていないため、何の先入観もなく観ることができたのだが。
 毎度のことだが邦題の付け方をもっと考えて欲しいもので、この作品のタイトル『幸せはシャンソニア劇場から』というのは、作品を観てみれば意味不明としか言わざるを得ないだろう。少なくとも劇場を守るために主人公のピゴワルは殺人を犯し、ジャッキーは自らの命を落としている。そんな舞台表からは誰ひとり知る由もない、劇場に携わる人々の血と汗の結晶が実は舞台裏には隠されているのだ。『幸せは』などという軽い言葉では、ピゴワルやジャッキーの劇場にかける思いは報われないのではないか。
 作品自体は、娯楽大衆劇として良くできていると思う。登場人物のキャラクター設定がハッキリしているため、ストーリーにもメリハリが利いているし、その個性の色彩が鮮やかで退屈させない。もちろん私の一押しはドゥースを演じて映画出演2作目にして新人賞2冠を獲得したノラ・アルネゼデールだ。彼女が登場するとスクリーンが明るく感じられる、そんな華を持つ今後に期待大な女優だ。