評     価  

 
       
File No. 1053  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年09月05日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   山崎 貴  
       
上 映 時 間   132分  
       
公開時コピー   戦国の世に引き裂かれた、侍と姫の身分違いの恋。誰もが涙する、時代を超えた究極の悲恋。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   草g 剛 [as 井尻又兵衛]
新垣 結衣 [as 廉姫]
大沢 たかお [as 大倉井高虎]
夏川 結衣 [as 井上美佐子]
筒井 道隆 [as 井上暁]
武井 証 [as 井上真一]
吹越 満 [as 仁右衛門]
斉藤 由貴 [as お里]
吉武 怜朗 [as 文四郎]
波岡 一喜 [as 彦蔵]
菅田 俊 [as 儀助]
香川 京子 [as 吉乃]
小澤 征悦 [as 安長]
中村 敦夫 [as 康綱]
 
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あ ら す じ    小学生の川上真一は、このところ何度も同じ夢を見ていた。その夢とは、とある湖のほとりでひとりの女性が一心に祈る姿だった。ところがある日、真一はひょんなことから戦国時代にタイムスリップしてしまい、夢で見た女性に出会うことになるのだった。
 真一が運ばれた世界は戦国時代の天正二年、春日という小国だった。そして、偶然にも真一は春日の侍大将で“鬼の井尻”と呼ばれる無敵の侍井尻又兵衛を間者の鉄砲から救うこととなった。命を救われたものの、異様な格好をした得体の知れない真一の扱いに困った又兵衛は、春日を治める城主康綱の元へと真一を連れて行く。そして、そこで真一は何度も夢に見た姫君に出会ったのだ。彼女は康綱の一人娘廉姫で、真一が夢の話をすると蓮姫はその話を信じて、又兵衛に真一の面倒を見るよう命じるのだった。最初は嫌がっていた又兵衛も、次第に真一に心を許すようになり、きっと自分が真一を未来の世界へと戻すと約束するのだった。
 一方、真一が突然姿を消してしまった現在では、真一の父と母美佐子が心を痛めていた。しかし、暁が真一の字で「天正二年に来ている」と書かれた古い巻物を見つけてきたことに加え、インターネットで天正二年に川上真一という少年が実在したことを知り、何らかの理由で真一が本当に天正二年へタイムスリップしてしまったことを確信する。そして、真一が姿を消したと思われる大クヌギの木に訪れた2人も、車ごと真一の元へとタイムスリップするのだった。
 春日の国では、廉姫に縁談が持ち上がっていた。相手は北関東を治める大名大倉井高虎で、目的のためには手段を選ばない高虎からの申し出を断ることは小国の春日にはできなかった。例え廉姫と又兵衛互いに心の中で相手を慕っていたとしても。しかし、康綱はやむなく高虎の申し出を承諾するものの、未来からやってきた暁から春日の国も大倉井の国も存在しないことを知らされ、どのみち国が滅びるのであれば高虎の言うがままになる必要はないと考え、縁談の承諾を撤回する。これを知った高虎は激怒し、春日の国を攻め滅ぼし力づくで廉姫を奪うべく、大群を率いて春日の国へと攻め入るのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    まず最初に言いたいのは、あまりに大袈裟すぎるコピーは何とかならなかったものか。前半はいいとして、後半の「誰もが涙する、時代を超えた究極の悲恋」とは、誇大広告にもほどがある。この手の悲恋を描いたストーリーはいくらでもあるし、この作品で涙した人がいたとは到底思えない。草g剛の演技は今まで観た作品中では上出来の部類に属するとは思うが、敵役の大沢たかおには完全に迫力負けしているし、「鬼の井尻」と呼ばれるほどの貫禄など微塵も感じられない。やはり彼は「いいひと」しか演じられないのではないだろうか。同じジャニーズを起用するならば、TOKIOの長瀬智也の方が遥かにマシだろう。唯一観るべきものがあるとすれば、それはガッキーの可愛さだけではないだろうか。
 そもそも、ストーリーがあまりに安直というか、手抜きとも言うべきで、突っ込み所に事欠かない。そもそも、異様な風体をした真一やその両親の暁と美佐子が戦国時代にタイムスリップして、その時代の人間にあれほどすんなり受け入れられるはずがない。又兵衛や仁右衛門にカレーとビールをふるまうシーンがあるが、真一を助けることしか頭にないはずの美佐子や暁が、わざわざ車にビールやカレーを積んでいたとは到底思えない。又兵衛と高虎の一騎打ちを窓を開けた車から観戦するのもあり得なければ、周囲の侍たちが車の存在をさも当たり前であるかのように気に留めもしないのもあり得ない。又兵衛に負けた高虎が、あれほど潔く兵を引くばかりか、春日の国に何かあったら助太刀するなどと、人が変わったような台詞を吐くのも不自然だ。そもそもオリジナルが『クレヨンしんちゃん』だけに、大人の鑑賞に堪えうる作品とは言い難いというのが正直な感想だ。