評     価  

 
       
File No. 1058  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年09月12日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   田中 光敏  
       
上 映 時 間   139分  
       
公開時コピー   天を衝く安土城。
それは、織田信長の天下統一、最後の野望
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   西田 敏行 [as 岡部又右衛門]
福田 沙紀 [as 岡部凜]
椎名 桔平 [as 織田信長]
大竹 しのぶ [as 岡部田鶴]
寺島 進 [as 平次]
山本 太郎 [as 熊蔵]
石田 卓也 [as 市造]
上田 耕一 [as 弥吉]
ペ・ジョンミン [as 太助]
前田 健 [as 留吉]
熊谷 真実 [as ふさ]
水野 美紀 [as うね]
西岡 徳馬 [as 丹羽長秀]
渡辺 いっけい [as 木村次郎左衛門]
河本 準一 [as 羽柴秀吉]
遠藤 章造 [as 境の豪商]
田口 浩正 [as 中川左内]
内田 朝陽 [as 中井孫太夫]
石橋 蓮司 [as 池上五郎右衛門]
笹野 高史 [as 木曽義昌]
夏八木 勲 [as 戸波清兵衛]
緒形 直人 [as 大庄屋甚兵衛]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    天正四年、熱田の宮番匠岡部又右衛門は、突然の織田信長の来訪を受け、信長から直々に安土山への五重の天守をもつ城の建設を命じられる。又右衛門は信長の申し出を即座に引き受けたものの、その後信長はさらなる難題を突きつけてくる。当時の日本には存在しなかった、キリシタンの大聖堂のような吹き抜けを作るようにとの注文だった。そのうえ、又右衛門が任されていた築城の総棟梁を撤回し、名だたる番匠たちの指図争い(図面を競うこと)で決めるというのだった。
 安土城の指図争いに参加することとなったのは、又右衛門の他に金閣寺を建立した京の宮大工池上五郎右衛門と東大寺大仏殿を建立した奈良・中井一門の総帥中井孫太夫だった。そして、その指図争いの場で五郎右衛門と孫太夫は吹き抜けを持つ城の図面と模型を提示したのに対し、又右衛門はひとり吹き抜けのない城で臨んだ。自らの意向に逆らった又右衛門に信長は激怒するが、又右衛門は敢えて吹き抜けの亡い城にした理由を説き、その信念が信長の翻意を促した。築城の総棟梁は又右衛門に決定し、やがて大和六十六州の職人たちが安土に集められ、史上空前の巨大な築城が始まるのだった。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    連休中とは言え、朝の10時からの回で112席あるスクリーンが8割方満席とは驚いた。そしてさらに驚いたのは、考えてみれば当たり前かもしれないが、観客の年齢層の高いこと高いこと。私でさえ若い方から2番目で、ちなみに(どうでもいいことだけど)最年少は母親に連れられた小学生だった。そして、お年寄りが多いと、中には得てして映画の解説を上映中に大声でするマナー違反がいるもので、今日の上映もその例外ではなかった。本当にその手のマナー違反のお年寄りは子供よりも始末が悪い。子供ならば、スクリーンに一旦集中してしまえば、無駄話などしたりせずおとなしいものなのだが、大人だとそうはいかない。自分の連れに話すのならともかく、あたかも周囲の観客に自分の知識をひけらかそうとするかのような喋りは迷惑でかつ不愉快この上ない。
 余談はこのくらいにしておいて、本編はまずまずの出来だと言っていいだろう。そして、私個人にとっては福田沙紀の出演は有り難かった。とかくむさ苦しい野郎中心になりがちな時代劇において、一片の清涼剤のような役割を果たしてくれているのが嬉しい。ただ、おそらくは時代劇初出演ということもあるだろうが、もちょっと演技を勉強してくれればとは思う。それと、ちょっと気になったのが、福田沙紀扮する凜が父・又右衛門や母・田鶴を呼ぶ際の呼称なのだが、果たして安土桃山時代に「お父さん」「お母さん」という呼称があったのだろうか。調べてみると、「お父さん」「お母さん」という呼び方は明治時代に教科書に採用されて以来急速に広まったとのことで、それ以前は思った通り「おとっつぁん」「おっかさん」が多かったようだ。もっとも、明治以前に「お父さん」「お母さん」という呼称が存在しないという記載はどこにもないため、真偽のほどは定かではないのだが。
 139分という尺はちょっと長い気がする。史実なのかどうかは知らないが、ご神石を運ぶシーンで間者が信長を襲撃したエピソードなどは割愛してもいいのではないだろうか。山本太郎扮する熊蔵と水野美紀扮するうねのエピソードは、『火天の城』というこの作品にとっては蛇足に過ぎないと思う。