評     価  

 
       
File No. 1062  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年09月18日  
       
製  作  国   フランス  
       
監      督   アンヌ・フォンテーヌ  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   もし翼を持たずに生まれてきたのなら、
翼を生やすためにどんなことでもしなさい
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   オドレイ・トトゥ [as ガブリエル・“ココ”・シャネル]
ブノワ・ポールヴールド [as エティエンヌ・バルサン]
アレッサンドラ・ニヴォラ [as ボーイ・カペル]
マリー・ジラン [as エイドリアン・シャネル]
エマニュエル・ドゥヴォス [as エミリエンヌ]
 
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あ ら す じ    幼い頃に母親を亡くし、父はアメリカに行ったまま音沙汰もなく、田舎の孤児院で育った少女ガブリエル・シャネル。夜は姉のエイドリアンと2人キャバレーで歌い、昼間は仕立屋で繕い物をして生計を立てていた。しかし、姉に貴族との結婚話が持ち上がったのをきっかけに彼女は仕事を辞めて、キャバレーで知り合った将校エティエンヌ・バルサンの邸宅へと向かった。
 ココはエティエンヌ宅で女優のエミリエンヌと知り合い、退屈しのぎで作ったココの帽子がエミリエンヌをはじめとする社交界の人々の目に留まるようになる。そして、運命の出会いが訪れた。エティエンヌの友人である、イギリス人の青年実業家ボーイ・カペルと恋に落ちたココは、エティエンヌの元を離れ、ボーイの支援でパリに帽子専門店“シャネル・モード”をオープンするのだった。けれども、何もかもすべてが順調に運ぶはずもなく、ボーイがイギリス貴族の女性とと政略結婚を決めてしまう。しかも、そのボーイが自ら運転する車で事故を起こし、帰らぬ人となってしまった。
 以来、ココは結婚を考えることをやめ、ボーイが残してくれた仕事に一生を捧げる決意をするのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    つい先月、ハリウッド版『ココ・シャネル』が公開されたばかりで、私は『ココ・シャネル』のコメントに「オドレイ主演版に軍配が上がる」などと書いたが、結果は予想に反してハリウッド版の方が映画としては勝っていると言わざるを得ない。この作品では主人公ココことガブリエルと周囲の人間との関係の描写が非常に曖昧で、ハリウッド版を先に観ていなければ、彼女にとってエチエンヌやボーイがどういう存在なのかもわからなかったと思う。そして、人間関係が曖昧であれば主人公のココやエチエンヌ、ボーイに感情移入できないのも当然で、ココが唐突にエチエンヌの邸宅に押しかけた動機も全く不明ならば、最初はココを邪魔者扱いしていたエチエンヌが何をきっかけに考えを反転させてココを必要としたかも理解不能、ココと相思相愛であったボーイが急にイギリス貴族との結婚を決めたのかもわからない。つまりは、ストーリーが一つの流れになっておらず、ただ単に様々な出来事を並べただけで脈絡を欠いているのだ。また、いくら好意的に観ようとしてみても、やはりオドレイ・トトゥが好きになれず、ハリウッド版のバルボラ・ボブローヴァの印象が良かっただけに、その差は埋めがたいものがある。本国フランスで制作された作品より、ハリウッドで制作された作品の方が上だとは残念な結果だが、私がフランス映画よりもハリウッド映画により慣れ親しんでいることもその理由の一因ではあると思う。
 そして、両者を見比べて気になった点がいくつかある。一つは、この作品では孤児院から姉と二人で働き暮らしていたという設定なのに対し、ハリウッド版では彼女の姉妹は姉ではなく妹で、しかも妹を孤児院に置いてガブリエルがひとり働きに出ており、姉の代わりに親友がいつも彼女のそばにいたことになっていた。そしてもう一つはエチエンヌとココの関係で、ハリウッド版ではエチエンヌからの強い要望でココは彼の邸宅へと移り住んだのに対し、この作品では求められもしないのに勝手にエチエンヌの邸宅へガブリエルが押しかけて、これまた勝手に居候を決め込んだという点。いったいどちらが本当なのだろうかと思いWikipediaで調べてみたところ、どうやらハリウッド版の方がより事実に近いようだ。当時ココはエチエンヌと交際しており、エチエンヌに伴われてパリ郊外の彼の邸宅へ移ったとのことだ。こうして考えてみると、公開の順番はハリウッド版が先で本当に良かったと思わずにはいられない。先にこの作品を観ていたら、まず間違いなく途中でワケがわからなくなって、その結果意識を失っていたことだろう(笑)。