評     価  

 
       
File No. 1072  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年09月26日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ギジェルモ・アリアガ  
       
上 映 時 間   106分  
       
公開時コピー   愛の傷なら、いつか輝く。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   シャーリーズ・セロン [as シルヴィア]
キム・ベイシンガー [as ジーナ]
ジェニファー・ローレンス [as マリアーナ]
ホセ・マリア・ヤスピク [as カルロス]
ヨアキム・デ・アルメイダ [as ニック]
ジョン・コーベット [as ジョン]
ダニー・ピノ [as サンティアゴ]
J・D・パルド [as サンティアゴ(少年時代)]
ブレット・カレン [as ロバート]
テッサ・イア [as マリア]
 
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あ ら す じ      ニューメキシコの国境の町で暮らす、とある家族。母親のジーナは癌を克服したものの、片方の乳房を失っていた。そして、長女のマリアーナはそんなジーナを助けて母親代わりに3人の兄弟の面倒を見ていた。一見仲睦まじく幸せに暮らしているかに見えた一家に暗雲が立ちこめていることを、マリアーナは敏感に感じ取っていた。買い物に行ったきり夜遅くまで帰らなかったり、このところ家を空けることが増えた母ジーナの挙動に不信感を覚えていたのだ。
 マリアーナの推測は的中しており、ジーナは隣町に住むメキシコ人のニックとの情事に夢中になっていた。2人は中間地点にあるトレーラーハウスで密会を重ねており、母の跡をつけたマリアーナは母があられもない姿でニックに抱かれている現場を目撃してしまう。しかし、2人の情事は突然の終わりを迎える。ある日、2人が情事に耽っている最中にトレーラーハウスが突然爆発・炎上し、ジーナとニックは帰らぬ人となってしまったのだ。
 ポートランドの高級レストランでマネージャーを務めるシルヴィア。職場ではスタッフや顧客からの信頼の厚い彼女も、職場を離れると別人のように変貌し、行きずりの相手と安易に体を交える。そんなシルヴィアの前に、カルロスと名乗るメキシコ人男性が現れる。彼は、飛行機事故で瀕死の重傷を負った親友に頼まれ、ひとりの少女を連れてシルヴィアに会わせるのが目的だった。けれども、シルヴィアはその少女マリアの姿を見るなり動揺し、その場から逃げ出してしまった。
 父親のニックを失ったサンティアゴは、相手の女性を知るべくその娘マリアーナに接触を図る。サンティアゴ同様に、マリアーナもまた彼から父親ニックの人となりを知ろうとしたのだった。そんな2人は、互いの家族には内緒で会っているうちに次第に恋に落ちていく。しかし、ついに2人の恋は互いの家族に知られてしまい、マリアーナの父は激怒してサンティアゴの元へと車を走らせた。マリアーナはサンティアゴの身に危害が加えられるのではないかと、父が向かったことをサンティアゴに電話で知らせると同時に、自分を連れて逃げるよう彼に頼むのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    3つのエピソードが並行・交錯しながら展開するのだが、うち2つのエピソードはジーナが亡くなる前のマリアーナのエピソードと、ジーナが亡くなってからのマリアーナのエピソードであることは明白なのだが、もう一つのシャーリーズ・セロンにまつわるエピソードが他とどう結びつくのかがわからないまま進んでいく。上のあらすじも、敢えてそこを明かさないように書いてみた。だから、あらすじを読んだ方は映画を観るのと同様の疑問を持つことになると思う。そして、作品半ばでやっと繋がりが明かされると、それまでは膨らむばかりだった疑問は一気に解消して、あとはラストまで一気に引っ張って行かれる。シャーリーズ・セロン扮するシルヴィアと、マリアーナのエピソードの繋がりを途中まで伏せておいたその構成の妙がこの作品最大のポイントであり、それがあるが故に後半の緊迫感も高まってくる。
 2大オスカー女優のシャーリーズ・セロン、そしてキム・ベイシンガーについては言うまでもない。キム・ベイシンガーはさすがにちょっとお歳を召したかなという気もしないでもないが、シャーリーズ・セロンは相変わらず美しい。内容もさることながら、半分は彼女が目当てで観たような作品だから、その意味は充分に満足できる作品だった。加えて、マリアーナを演じた新人のジェニファー・ローレンスがオスカー女優に引けを取らない堂々とした演技を見せてくれていて、でヴェネチア国際映画祭の新人賞に輝いたというのもわかる気がする。邦題の『あの日、欲望の大地で』の「欲望の大地」というのがやや意味不明に思えるが、少なくとも原題の“THE BURNING PLAIN(燃える平原)”よりはマシだろう。