評 価
File No.
1076
製作年 / 公開日
2009年 / 209年10月10日
製 作 国
日 本
監 督
三城 真一
上 映 時 間
119分
公開時コピー
あなたの言葉を、
待っている人がいます。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
常盤 貴子
[as 久保田真生]
林 遣都
[as 速見直樹]
中島 知子
[as 松田由梨]
岩尾 望
[as 稲村太郎]
竹財 輝之助
[as 中倉晃平]
萩原 聖人
[as 後藤大介]
本上 まなみ
[as 粟島可奈子]
吹越 満
[as 竹下淳]
六平 直政
[as 久保田孝正]
水沢 奈子
[as 黒沢留美]
伊東 四朗
[as 龍木雁次郎]
片岡 鶴太郎
[as 浦部敦彦]
西郷 輝彦
[as 中倉謙吾]
豊原 功補
[as 速見健一]
八千草 薫
[as 松田晶子]
仲代 達矢
[as 速見恭三]
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あ ら す じ
4年前に父親とラジオのパーソナリティという仕事のことで喧嘩して家を出て、以来絶縁状態にあった
久保田真生
。ある日、彼女の番組に北海道の高校生
速見直樹
から一通の手紙が届く。“祖父が笑わなくなって、父との仲がうまくいっていない”と書かれた手紙に、真生は祖父を笑わせてあげればいいと単純に考え、番組で直樹の祖父を笑わせる方法を募集した。ところが、数日後再び直樹から届いた手紙には“もう募集をやめて欲しい”と書かれていた。直樹の手紙が気になって仕方ない真生は、直樹の住む北海道の函館まで足を運ぶ。そして、直樹の祖父
速見恭三
に会った真生は、自分の浅はかだった考えにショックを受けるのだった。
東京に戻った真生は、引き出しの中にしまったまま封を切れずにいた一通の手紙を開封した。それは、すでに2年前に他界してしまった真生の父
久保田孝正
が真生に遺した手紙だった。手紙に書かれた父・孝正の真意に触れた真生は、父が言葉とは裏腹に自分のことをどれだけ思ってくれていたかを初めて知り、今は言葉を交わすこともできない父に対する後悔と感謝の涙がとめどなく溢れるのだった。
シングルマザーになる決意をした妊婦の
松田由梨
は、たった一人の肉親である母親
松田晶子
にいくら尋ねられても、相手が誰なのかを話そうとしなかった。相手の男
中倉晃平
は将来を嘱望された医師で、厳格な父親
中倉謙吾
に結婚を反対さていたために、晃平の重荷になりたくないという気持ちからの決意だった。そんな娘を見守る晶子には、秘められた過去があった。
真生は新番組の企画会議で、「誰もが心の引き出しの中にしまい込んだままのにしている思いを、本人に代わってラジオで送り届ける」という企画を提案する。真生の企画に賛同してくれたのは社長の
龍木雁次郎
で、彼の提案から真生の企画は「引き出しの中のラブレター」と命名された。そして、再び函館に赴いた真生は恭三に会い、一言でいいから息子
中倉謙吾
に対する思いを手紙に綴り、番組に送って欲しいと訴えるのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
豪華なキャスト陣がそれぞれ心の中にしまい込んだ「思い」がオムニバス形式で描かれており、それがラストに向かって巧みに交錯していく脚本が見事。そして、俳優陣の中で目についたのは仲代達矢の存在感で、台詞の少なさを補って余りある圧倒的な演技力は見事というほかない。そして、八千草薫の演じる役柄が、ラストであれほど大きな意味を持つとは全く予期していなかった。常盤貴子のパーソナリティ役も思ったよりも上手く、特にあの聴く者の心に浸み入るような声が素敵だった。
伊東四朗や片岡鶴太郎が燻し銀のような味のある演技で脇を固めているのも見逃せない。だから、この作品は常盤貴子をメインとする
Concerto
(協奏曲)ではなく、あくまで出演者全員で奏でる
Symphony
(交響曲)だと言えるだろう。ラストの仲代扮する恭三の手紙は感動の押し売りのような気がしないでもないが、単に自分と豊原功補扮する息子の謙吾との関係を修復するだけではなく、実はもう一つ大きな意味を持った手紙であることがわかる。それがどんな意味を持っていたのかは、もちろんこの場で公表することはできないので、興味のある方は劇場へ行って自分の目で確かめていただきたい。