評     価  

 
       
File No. 1079  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年10月10日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   堀部 圭亮  
       
上 映 時 間   105分  
       
公開時コピー   誰が本音で、
どれが真実!?
観る人すべてを
翻弄する、
人間不信
エンタテインメント!!
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   内野 聖陽 [as 安井三郎]
佐津川 愛美 [as 愛敬香]
モト冬樹 [as 牧原静夫]
斎藤 工 [as 小川順]
大堀 こういち [as 望月]
芦名 星 [as 須藤陽子]
本上 まなみ [as 小川麻奈美]
 
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あ ら す じ    偶然故障したエレベーターに乗り合わせた男女。関西弁を喋る見るからにヤクザ風の男安井三郎、ジャージを着た中年男の牧原静夫、どこか陰のある陰鬱な雰囲気の少女愛敬香という、どこかワケありのような3人に囲まれて、妻の出産立ち会いに急いでいた小川順は意識を取り戻した。5階から小川が乗り込んできた直後、エレベーターが急降下した拍子に頭を打って気絶していたと安井は言う。動かなくなったエレベーターに閉じ込められた4人は外部へ連絡する手段もなく、唯一小川が持っていた携帯も充電切れで、ただひたすら助けを待つほかに術がなかった。
 ジャージを着込んだ牧原はこのマンションの住人で、ジョギングに出るところだったという。やたらと場を仕切りたがる安井は、なぜか警察と関わるのを敬遠していた。そんな安井の手を握った牧原は、「高い塀が見える」と呟いた。実は牧原は触れた相手の心を読む超能力の持ち主だったのだ。そして、安井が刑務所から出所したばかりの空き巣のプロで、このマンションにも空き巣に入るつもりで訪れていたことがバレてしまった。残った香は自殺志願者で、このマンションの屋上から投身自殺を図るつもりだったと重い口を開いて語った。そして、小川自身も実はマンションに住む愛人・須藤陽子の部屋から産気づいた妻の元へ向かう途中だったことが、牧原の超能力で暴露されてしまった。
 やっと状況を把握した小川は、冷静になるにつれてある矛盾に気づく。唯一マンションの住人でありジョギングに行くところだった牧原はともかく、上の階に空き巣に入ろうとしていた安井、それに屋上から飛び降りようとしていた香がなぜ下りエレベーターに乗っていたのか?さらには、自分がエレベーターに乗り込んだ時、確か中には安井と牧原の2人だけで香はいなかったはずなのに、と。小川がそのことを口にすると、3人の態度はガラリと変わると同時に、安井はいきなり注射器を取り出すと、小川に麻酔薬を注射して眠らせるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田監督の作品の次は、『腑抜けども』で準主役だった佐津川愛美の登場する作品を見ることとなったが、この佐津川愛美という女優はタダ者ではない。『腑抜けども』の時もそうだったのだが、その可愛らしいルックスにもかかわらず結構クセのある役柄を難なくこなしていて、その演技力は並大抵ではないと思える。特に今回は、彼女の演技の出来映え如何によっては作品を台無しにもしかねない重要な役柄なのだが、内野聖陽やモト冬樹のコミカルな演技との相乗効果もあって、謎めいた少女・愛敬香をそつなく自然に演じているのにはほとほと感心した。
 実は、上に書いたあらすじの続きにどんでん返しがあるのだが、それが比較的早い段階で明かされてしまい、その後どうなるのかとちょっと心配になった。ところが、実はこの作品にはさらに大きな仕掛けがしてあることが後で解る。初監督である堀部圭亮の仕事は充分及第点をあげられるレベルではあると思うが、脚本と監督次第ではもっと観る者をアッと言わせる展開にできたのではないだろうか。『キサラギ』『守護天使』の佐藤祐市あたりにメガホンを取らせてみたらどうなっていたか観てみたい気がする。