評     価  

 
       
File No. 1082  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年10月10日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジャウマ・コレット=セラ  
       
上 映 時 間   123分  
       
公開時コピー   この娘、どこかが変だ。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ヴェラ・ファーミガ [as ケイト・コールマン]
ピーター・サースガード [as ジョン・コールマン]
イザベル・ファーマン [as エスター]
CCH・パウンダー [as シスター・アビゲイル]
ジミー・ベネット [as ダニエル・コールマン]
アリアーナ・エンジニア [as マックス・コールマン]
 
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あ ら す じ    ケイトと夫のジョン、それに長男のダニエルと耳が不自由な長女のマックスのコールマン一家。ケイトは3人目の子供を妊娠していたが不幸にも死産となってしまい、以来ケイトは精神的に不安定で薬に頼るようになる。夫婦は生まれてくるはずだった子供の代わりに養子を迎える決意をし、孤児院を訪れる。元気良く遊ぶ子供たちを尻目に、ジョンの目は2階でひとり絵を描いている少女に留まった。院長のシスター・アビゲイルによると、彼女は名をエスターといい、家族が皆火事で亡くなりたったひとり生き残ったという。ケイトとジョンはエスターを気に入り、エスターが新たにコールマン家の一員として加わることとなった。
 ところが、間もなくエスターはその恐るべき本性を徐々に見せ始める。近所の子供を滑り台から突き落として怪我をさせ、大人のように醒めた態度で接するエスターにケイトは空恐ろしさを感じるようになる。しかし、可愛い女の子を演じるエスターのうわべしか知らないジョンは、エスターに対する不安を相談してくるケイトを逆に叱咤する有様だった。そんなエスターを引き取ったコールマン夫妻を心配して、ある日シスター・アビゲイルが一家を訪ねてくると、エスターはシスターの帰路に待ち伏せして撲殺してしまう。そしてさらに、自分の行動を疑い始めたダニエルをツリー・ハウスに閉じ込めて火を放ち、ダニエルは転落して大怪我を負ってしまう。
 入院先でダニエルの容態が急変し、心肺停止状態に陥った。それがエスターの仕業だと悟りエスターに殴りかかったケイトだったが、逆に精神異常による児童虐待だと思われて入院させられてしまう。そんなケイトの携帯に、以前彼女がエスターの前歴を問い合わせた施設からの連絡が入る。電話の相手はエスターの危険性を告げ家族を避難させるようケイトに忠告したが、その時すでにエスターの魔手は家にいるジョンとマックスに及ぼうとしていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    これは凄い・・・・・キャストの演技(特にエスター役のイザベル・ファーマン)といい、作品の完成度といい、ここ数年で観たホラー作品の中では群を抜く完成度の高さだ。とにかく、どこをつついてみても矛盾を感じさせる点が見当たらないのだ。例えば、3人目の子供が死産だったことだけをとってみても、それがエスターを養子に迎えるきっかけとなっただけではなく、エスターがケイトにバラをプレゼントしたことがいかに悪魔的な行為であるかを物語っている。また、エスターが風呂に入る時にドアに鍵をかけること、絶対に首と腕にリボンを着けてはずさないこと、必要以上に歯医者を嫌がることなど、すべてクライマックスで明かされるエスターの秘密の伏線となっていて、彼女の正体がわかった時は背筋に悪寒が走ったほどだった。
 そんなエスターを演じたのは、素顔は可愛らしいルックスの少女で安心した。


素顔のイザベル・ファーマン(左)と、エスターのポスター(右)

 その可愛らしい彼女が作品の中で見せるエスターは実に怖い。素顔のように可愛らしさを垣間見せたかと思うと、一転して異様に大人びた雰囲気と冷酷な表情を見せる。そして、子供とは思えない知能犯的な方法で次々と人を傷つけていくのだが、なぜか父親のジョンの前では可愛い娘を演じて決して本当の姿を晒すことはなく、その二面性の演技(演技だと信じたい)にはほとほと感心させられる。彼女の年齢であそこまでの演技が出来るとは、成長したら一体どうなってしまうのか、まったく末恐ろしい女優がいたものだ。
 余談だが、映画を観て帰宅したら真っ先にWebで彼女のプロフィールを調べてみた。1997年2月生まれの12歳とのことで、1976年生まれじゃなくて正直ホッとした。