評     価  

 
       
File No. 1089  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年10月24日  
       
製  作  国   スペイン  
       
監      督   ジャウマ・バラゲロ  
       
上 映 時 間   85分  
       
公開時コピー  
あの惨劇の続きを観る勇気があるか
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジョナサン・メヨール
レティシア・ドレラ
オスカル・サンチェス・サフラ
アリエル・カサス
アレハンドロ・カサセカ
パブロ・ロッソ
マニュエラ・ベラスコ
 
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あ ら す じ    正体不明の感染が拡がったアパートへ2人の消防士と共にTVリポーターのアンヘラらが侵入して消息を絶った直後。完全に封鎖されたアパートに、ある任務を帯びた医師と、彼の護衛のために完全武装した警官4名が突入する。医師に課された任務とは生存者の救出ではなく、“ある物”をアパート内から持ち出すことだった。しかし、護衛の警官たちには“ある物”が何であるか、知らされていなかった。
 アパートに入った一行は、感染の発端であると思われた最上階へと向かう。そして、感染者たちに襲われた一行は、ひとり、またひとりと命を落としていく。隊長は博士に撤退を求めるが、博士は任務を遂行するまではアパートを出られないと頑強に主張する。博士が言う任務とは、最初の感染者の血液サンプルの回収だった。その血液を元に、感染に対するワクチンを開発するというのだ。
 2人の警官が襲われて残った3名は、思わぬ人物と遭遇する。先に消防士と共にアパートへ入ったアンヘラだった。彼女はなぜか感染している様子もなく、正気を保っていた。そして、彼女の証言からやはり最上階に任務を果たす鍵があると考えた医師は、2名の警官とアンヘラを伴い、再び最上階へと向かうが、そこで更なる惨劇が待ち受けていることを知る由もなかった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ハンディカメラで撮影された映像は、前作に輪をかけて観づらいことこの上ない。おまけに、現場には灯りが全くなく、警官隊のサーチライトが頼りとなれば、その観づらさはさらに助長されて、一体何が起きているのかも判別がつきかねる。そして、謎の感染の正体はと言えば・・・・・これは反則でしょう。前作で謎の実験が行われていたことを臭わせておいて、蓋を開けてみれば悪魔憑きだなんて・・・・・そんなんじゃ何でもアリになってしまう。それに、悪魔ならば別に噛みつかれなくても簡単に増殖できるはずじゃないのか?それに、博士と呼ばれるオーウェン(実は神父)は状況判断のできない任務一辺倒の大バカ者で、観ていて真っ先にコイツが噛まれて感染してくれないかと願ったほどイヤな奴なのだ。冷静に状況を考えれば、SWATのメンバーが一人やられた時点で、一旦は退去してさらに装備を固めて増員のうえで再度任務を実行すればいいものを・・・・・バカなオーウェンに従がわざるを得なかったSWATのメンバーが哀れで仕方ない。加えて、バカな兄貴2人に無理矢理連れられてアパートに立ち入った少女も可哀相で仕方なく彼女がどうなったかが描かれていないだけに気がかりだ。
 正直言って、「あの惨劇の続きを観る勇気があるか」とか「一生消えないトラウマを背負う覚悟はあるか」などとコピーで煽られても見かけ倒しに過ぎず、中身の完成度も「怖さ」も明らかに前作の方が上だ。前にも書いたことがあるが、ホラー作品で何が最も怖いかと言えば、私は“得体の知れないもの”に人間は最も恐怖感を覚えるのだと思う。前作では感染の正体がわからないだけに恐怖感も高まるのだが、今回はそれが悪魔憑きだなどとタネ明かしされてしまっては、その時点で一気に醒めてしまう。ただ、後半からメンバーに前作の主人公であるTVリポーターのアンヘラが生還したのは喜ばしかったが、そのことがさらなる悲劇の発端となろうとは夢にも思わなかった。ラストは続編制作の余地を充分残した終わり方だが、この続編となるとスペインはおろかヨーロッパ全土が悪魔に感染しても不思議ではなく、そんなものを制作したらおそらくは収拾がつかなくなってしまうだろうな。