評     価  

 
       
File No. 1093  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年10月31日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ドミニク・セナ  
       
上 映 時 間   101分  
       
公開時コピー   南極では、人の良心すら凍りつく  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ケイト・ベッキンセイル [as キャリー・ステッコ]
ガブリエル・マクト [as ロバート・プライス]
コロンバス・ショート [as デルフィ]
トム・スケリット [as Dr.ジョン・フューリー]
アレックス・オローリン [as ラッセル・ヘーデン]
 
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あ ら す じ    アメリカの南極観測所“アムンゼン・スコット基地”。連邦捜査官のキャリー・ステッコは、何もかもが凍り付いたこの世界に嫌気がさしており、数日後に迫った最終便で帰国したら連邦捜査官をも辞職しようと考えていた。ところが、そんな矢先に調査に出かけたキャリーは奇妙な他殺体を発見する。手脚はねじ曲がり体中の骨は砕け、脚の傷は雑に縫い合わされており、胸には致命傷となったと思われるピッケルによる傷跡があった。
 基地に遺体を持ち帰った結果、その身元が隕石調査チームに所属する地質学者ワイスだと判明する。そんな折、彼女の元に他の基地から救援を求める通信が入る。パイロットのデルフィを伴い現場に向かったキャリーは、そこで彼女に救援を依頼してきた張本人が遺体となった姿を目の当たりにする。そして、国連調査員のロバート・プライスと名乗る男に遭遇したキャリーは、彼の素性に疑問を抱きながらも行動を共にすることとなった。
 3人は隕石調査チームの調査が、あるエリアで中断していることに気づき、その地点の再調査に向かった。そして、雪の中に埋もれていた、1950年代の旧ソ連の貨物輸送機を発見し、その中で壮絶な銃撃戦が行われたことを知る。しかし、その原因となったと思われる品は、すでに機内には残されていなかった。
 最後の飛行機が出るまで残り3日となり、捜査を続けるキャリーは、ピッケルを手にした殺人者ラッセル・ヘーデンを確保する。ところが、輸送機の離陸間際になってラッセルが拘束から抜け出して逃亡してしまい、やむなくキャリーはロバートとデルフィ、それに医師のジョン・フューリーと共に基地に残留することを決意する。基地の外では“ホワイトアウト”と呼ばれる時速160kmにも達する嵐が吹き荒れる中、キャリーは事件の真相と犯人の正体にたどり着き、すべての発端となった輸送機で運ばれようとしていた“品”を発見する・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    この作品を観ようと思った最大の理由は、言うまでもなく主演がケイト・ベッキンセイルであることだ。『セレンディピティ』以来すっかり彼女のファンとなった私にとっては、たとえそれがどんな内容の作品であろうとも、彼女が主演を務める作品を見逃すわけにはいかないのだ(笑)。観る前の予想では、この作品もまた得体の知れない何かが登場するホラー色の強い作品だと思っていたのだが、観てみるといい意味で予想を裏切られた形となった。
 ネタバレになってしまうかも知れないが、この作品には得体の知れないモンスターも登場しなければ、登場人物を次々と殺していく殺人鬼も登場しない。登場するのは極めて普通の人間たちであり、ただ、ホワイトアウトという極限状態に置かれたが故に一線を踏み越えてしまった、ある意味大自然の脅威の被害者なのだ。ただ、そのことがわかるのは後半にさしかかった時点なので、それまでは殺人犯が何物なのかというスリルを充分堪能できる。
 とは言うものの、この作品で最も恐ろしいのは殺人犯などではなく、あまりに過酷なまでの南極の自然なのだ。うっかり手袋を忘れたケイト扮するキャリーが、ドアに触れただけで手の皮が凍りついて剥がれてしまうシーンがあるが、それだけを観ても普段自分が暮らしている日本と同じつもりでは絶対に生きていけない場所だと痛感する。あまりの寒さ故にあらゆるウイルスも南極では死滅してしまい、仮に素っ裸で外にいたとしても、凍死することはあっても風邪をひくことは絶対にないという過酷な環境。そんな中での敵は殺人犯よりもむしろ、大自然そのものが最大の脅威となるのだ。