評     価  

 
       
File No. 1094  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年10月31日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   大森 寿美男  
       
上 映 時 間   133分  
       
公開時コピー   俺たちはつかんだ。
人生を変える、一歩を。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   小出 恵介 [as 清瀬灰二(ハイジ)]
林 遣都 [as 蔵原走(カケル)]
中村 優一 [as 柏崎茜(王子)]
川村 陽介 [as 平田彰宏(ニコチャン)]
ダンテ・カーヴァー [as ムサ・カマラ(ムサ)]
橋本 淳 [as 杉山高志(神童)]
森 廉 [as 岩倉雪彦(ユキ)]
内野 謙太 [as 坂口洋平(キング)]
斉藤 慶太 [as 城太朗(ジョータ)]
斉藤 祥太 [as 城次郎(ジョージ)]
高橋 ひとみ [as 寛政大学の事務局員]
近藤 芳正 [as 東京体育大学陸上部のコーチ]
寺脇 康文 [as カケルの高校時代の陸上部監督]
鈴木 京香 [as ハイジの主治医]
水沢 エレナ [as 勝田葉菜子]
五十嵐 隼士 [as 榊浩介]
渡辺 大 [as 藤岡一真]
津川 雅彦 [as 田崎源一郎]
和久井 映見 [as 神童の母(声の出演)]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    寛政大学4年のハイジこと清瀬灰二が密かに抱き続けてきた野望に火がついたのは、その春入学してきた新入生の天才ランナー、カケルこと蔵原走との出会いだった。ハイジは貧乏学生のカケルを半ば強引に自らが寮長を務める青竹荘に入居させた。ボロだが賄い付きで3万円という格安の家賃の青竹荘へ入居者するには、毎朝5km走るという条件がつけられていた。カケルは入居して初めて青竹荘が寛政大学陸上部員の寮であることを知るのだった。
 早速カケルの歓迎会が催され一同が集まったところで、ハイジは驚くべき宣言を行った。寛政大学陸上部で箱根駅伝出場を目指すというのだ。陸上部と言っても名ばかりで陸上経験者はハイジとカケルのみというメンバーでは、誰一人としてハイジが本気で箱根を目指そうとしているなど信じる者はいなかった。しかし、ハイジは翌朝から箱根に向けてのトレーニングを開始する。ところが、毎朝5km走ってきた積み重ねのためか、驚いたことに全員がカケルに引き離されずに走っていた。素人集団が箱根出場など絶対に無理だとはなから諦めていたカケルも、「もしかしたら行けるかもしれない」とかすかな希望を抱き始めるが・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    ハッキリ言ってご都合主義この上ないストーリー展開。作品中で林遣都扮するカケルの言う通り、箱根駅伝に出場するのはそんなに簡単なものではない。当然にことながら、高校時代には長距離で名の通った選手が大勢集まった大学の陸上部で、さらにその中からふるいかけられて生き残った精鋭が揃って初めて出場が可能になるのだ・・・・・というのが現実なのだが、ことこの作品に限って言えば、ご都合主義のどこが悪い?所詮映画なんてフィクションの世界なのだから、せめて映画の中だけでも夢を見せてくれてもいいじゃないか。それがこの作品を観ての正直な感想だ。
 作品中で、小出恵介扮するハイジが「短距離は素質で速い・遅いが決まるが、長距離はどれだけ努力を重ねたかで決まる」と言っているが、その言葉は半分正解だが半分は間違っている。確かに、短距離と比べれば長距離はより努力が反映されるのは間違いないが、かと言って死ぬほど努力さえすれば誰でも箱根駅伝に出られるレベルになるかというと、答えは「否」だ。私個人の意見としては、長距離において素質は土台であって、「素質」という土台があった上で、積み重ねた努力が生きてくるのであって、その意味では寛政大学陸上部の10名にはもともと素質はあったと言える。努力なき素質が開花することはないが、素質なき努力も残念ながら花開くことはないのだ。
 それにしても、ハイジのキャラクターが爽やか過ぎるほど爽やかで、「こんな奴現実にはいないよ」と思えるほどだ。対する林遣都扮するカケルは、『バッテリー』の原田巧のように実力があるが故に無意識に周囲を見下していて、こちらの方がごく普通に存在するキャラクターだろう。その2人はともかく、残りの8人が箱根に出場できるレベルになるまで厳しい練習についてきたというのは、いくらフィクションとは言えさすがに出来過ぎに思えるのは確かだ。けれども、そんな理屈も実際の駅伝のシーンになるとどこかへ吹き飛んでしまい、ついつい夢中になって応援したくなるのはスポーツを扱った作品の強みだろう。