評     価  

 
       
File No. 1100  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年11月07日  
       
製  作  国   オランダ / ベルギー  
       
監      督   ダナ・ネクスタン  
       
上 映 時 間   102分  
       
公開時コピー   わたしの幸せ、さがしに行こう
オランダ&モロッコ発、最高の友達どうしのハートウォーミング・ロードムービー
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マリアム・ハッソーニ [as ドゥーニャ]
エヴァ・ヴァンダー・ウェイデーヴェン [as デイジー]
クリスティン・ヴァン・ストラーレン [as モニーク]
テオ・マーセン [as ジェフ]
ラチダ・イアッララ [as ラチダ]
マフーブ・ベンムーサ [as ナビル]
イリアス・オッジャ [as ソフィアン]
イリアス・アダッブ [as サミール]
ティゴ・ゲルナンド [as ピム]
ミチャ・ハルスホフ [as マイク]
ファテマ・ウーチェイ [as モロッコの女占い師]
マルセル・ムステルス [as ハンス・ハーコル]
アリックス・アダムス [as ハンスの再婚妻]
 
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あ ら す じ    アムステルダム。厳格なイスラム教徒の一家で育ったモロッコ人のドゥーニャと、自由奔放な生粋のオランダ人デイジーは、対照的な性格にもかかわらず最高の親友だった。ドゥーニャの18歳の誕生日、デイジーはドゥーニャに自動車の運転教習をプレゼントしてくれるが、その教官はデイジーの新しい恋人だった。そして、デイジーが妊娠したことがわかったが、相手の男は遊びのつもりで真剣じゃなかったとデイジーから逃げる有様だった。デイジーは泣く泣く中絶を決意し、ドゥーニャに付き添いを頼んだのだが、ドゥーニャは一家揃ってモロッコへ帰るためにデイジーに付き添ってあげることができなかった。
 実は、ドゥーニャの誕生パーティの場で親戚たちは本人そっちのけでドゥーニャの結婚話で盛り上がり、顔も覚えていない従兄弟とのお見合い話を決めてしまったのだ。そして、そのお見合いのために一家は揃ってモロッコに帰郷することとなったのだった。そしてドゥーニャ一家の出発当日、デイジーはひとり中絶のために病院を訪れるが、土壇場で逃げ出してしまう。そして、荷物をまとめるや否やモロッコにいるという自分の実の父親に会うために、ドゥーニャの後を追うのだった。
 デイジーはモロッコのドゥーニャ宅にたどり着くが、ドゥーニャの母が彼女に対して嫌悪感を露わにするのにもお構いなく、ビーチではビキニで肌を露出し、挙げ句にドゥーニャの見合い相手をけなす始末だった。ついに2人は喧嘩になり、デイジーはドゥーニャが止めるのもきかずに、カサブランカにいるであろう父親を独りで探すと家を出て行ってしまう。ひとりカサブランカ行きのバスに乗り込んだデイジーだったが、彼女を追ってドゥーニャがバスに乗り込んできた。デイジーを放っておくことができず、お見合いを投げ出して駆けつけたのだった。こうして、ドゥーニャとデイジーは、デイジーの父親ハンス・ハコールを探す旅に出発するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    主役のドゥーニャを演じたマリアム・ハッソーニの美しさが際立って光っている。よくもこれだけ整ったルックスの女優がいたものだと、ほとほと感心させられてしまい、あとはもうスクリーンのドゥーニャから目が離せなかった。彼女のような美人に出会えただけで、もう作品自体はどうでもいい・・・・・と言いたいところだが、さすがの私にもそこまでのムチャクチャな評価をするにはポリシーが許さないので、冗談はさておいて真面目な話に戻すことにする。
 ドゥーニャの一家はモロッコからオランダへ移り住み、そこでドゥーニャが生まれたという設定だが、マリアム・ハッソーニもやはりモロッコ人の両親を持ちオランダで生まれたとのこと。まさに生まれた時からドゥーニャを演じる運命にあったとでもいうかのような経歴だ。モロッコではイスラム教が国教となっており、国民の99%がイスラム教スンニ派であるとのこと。そして、ドゥーニャの家族もまた敬虔なイスラム教徒であるのだが、オランダで生まれたドゥーニャは確かに生真面目な女の子ではあるが、かといって彼女の母親ほど融通の利かない堅物でもなく、ごく普通のどこにでもいるような女の子だ。そんなドゥーニャの親友が、彼女とは正反対に奔放で気ままなデイジーで、2人はその全く異なる性格のためかしばし衝突するのだが、心の底では相手が自分にとってかけがえのない存在であることを忘れていない。だから、喧嘩しても相手を傷つけることなどできず、口で何と言おうと相手を本当に嫌いになることなどできない。そんな2人が、観ていて非常に清々しく感じる。
 デイジーの存在を疎ましく思い、自分の娘がデイジーと付き合うことを嫌がるドゥーニャの母の気持ちはわからないでもない。でも、自分の可愛い娘を、顔も知らないような相手と結婚させるというのは、いくらイスラム社会の慣習であるにしてもアナクロも甚だしく、宗教の戒律にそこまで厳格に従うのには少なからず反感を覚える。信奉する宗教を重んじるのは決して悪いことではないが、そのために相手のうわべしか見ることができず、不適切な相手と判断して排除してしまうのは、自らの見識を偏狭にしていることにほかならない。それだけに、ラストシーンでドゥーニャとデイジーの家族が揃い、今までの偏見をかなぐり捨てるかのように踊るのが非常に心地よく感じられた。