評     価  

 
       
File No. 1102  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年01月09日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   御徒町 凧  
       
上 映 時 間   91分  
       
公開時コピー  
手を伸ばせば届きそうなのに
死刑囚と、被害者の婚約者だった女は、禁断の恋に落ちた。
それは互いに決して触れ得ない、期限付きの究極の恋愛。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   尾野 真千子 [as 川原薫]
久保田 将至 [as 南木野淳]
山中 聡
YOU THE ROCK★
大河内 浩
鶴田 忍 [as 拘置所長]
ミッキー・カーチス [as 死刑囚]
テリー伊藤 [as 死刑囚]
佐野 史郎 [as 弁護士]
 
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あ ら す じ    南木野淳は空き巣に入った家でその家の住人と思われる男と鉢合わせしてしまい、衝動的に手元にあった包丁で刺殺してしまった。そして、それを目撃された女性を今度は首を絞めて殺害してしまう。第一審で死刑の判決を言い渡された淳を傍聴席で見守る、ひとりの美しい女性がいた。彼女の名は川原薫、淳に殺された男性は薫の婚約者だった。
 淳の弁護士は、戦いはこれからとばかりに意気込んで控訴するが、淳はその控訴を取り下げてしまう。それはすなわち、彼の死刑が確定することを意味していたにもかかわらず。そして、独房でただ死刑執行を待つ日々を送っていた淳に、薫が面会に訪れる。薫にとって淳は婚約者を殺した憎むべき犯人であると同時に、淳が殺した女性は婚約者の浮気相手であったために、婚約者の不実を暴き裁きを下してくれた男でもあった。そして、そんな淳の行く末を最後まで見守りたいという思いから、彼と養子縁組をして面会に訪れたのだった。
 面会を重ねるうち薫は次第に淳に惹かれていき、淳もまた薫に会って初めて生きる喜びをしるが、2人の間は常に面会室のアクリル板があり、直接触れ合うことなどはできなかった。そんなある日、薫は淳に一冊の聖書を差し入れた。そこには、検閲を逃れる小さな字で薫の思いが書き込まれていた。こうして、聖書を介しての2人の秘密の通信が始まるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    一足先に試写会で観てきた。公開は来年の1月9日でまだ2ヵ月近くも先のため、ここでコメントを暴露するのも気が引けるから、今回はコメント全部を伏せておきたい。来年の1月9日にはちゃんとした表示に戻すつもりだが、その前に読みたい方は例によって自己責任でどうぞ。ネタバレの地雷を踏んでも責任は追いかねますので悪しからず(^-^;。
 まずはこの『真幸(まさき)くあらば』というタイトルだが、これは万葉集にある有間皇子の短歌“磐代の 浜松が枝を 引き結び 真幸くあらば また還り見む”からきている。この歌は、有間皇子が蘇我赤兄にそそのかされて時の天皇である斉明天皇と中大兄皇子の打倒を計画したものの、蘇我赤兄の密告によって謀反が露見してしまい、絞首刑でこの世を去る直前に磐代で詠んだ辞世の歌だとのこと。確かに死刑が確定した久保田将至扮する南木野淳と似通ったシチュエーションではあるが、ただそれだけで歌の意味もよくわからないし、これを「究極の純愛」だなんて言われても何のことやら・・・・・。脳科学社の茂木健一郎なる方が「あなたの脳内純愛が、ここから始まる。」とのコメントを載せているのだが、このコメントもおおよそ科学者のものであるとは信じ難い。
 そもそも、死刑囚である淳が薫に惹かれるのはわかるが、薫が死刑囚に恋するという設定がどうにも説得力に欠ける。また、縁もゆかりもない死刑囚の淳と薫が養子縁組みを行うのはなぜ?死刑囚だと血縁者でなければ面会すらできないのか、残念ながら血縁者に死刑囚がいないために私にはわからない。淳が自殺を図った際に押し込められた懲罰牢の描写に関しても、知らない人が観れば意味不明にしか映らないだろう。そして、唖然とさせられたのはクライマックスシーンだ。薫が「月の満ちる夜に」というから、脱獄でも企てるのかと期待したら(もっとも、そうなったら作品がコメディになってしまいかねないが)、まさかああいうことになるとは・・・・・観ているこっちが恥ずかしくなってしまう。無料の試写会で観て大正解だった。