評     価  

 
       
File No. 1103  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年11月14日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ロバート・ゼメキス  
       
上 映 時 間   97分  
       
公開時コピー   未来は、まだ変えられるかもしれない・・・  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジム・キャリー [as エベニザー・スクルージ/過去・現在・未来のクリスマスの霊]
ゲイリー・オールドマン [as ジェイコブ・マーレイ/ボブ・クラチット/ティム少年]
ロビン・ライト・ペン [as ベル/ファン]
コリン・ファース [as フレッド]
ボブ・ホスキンス [as フェジウィッグ/ジョー老人]
カラム・ブルー
ダリル・サバラ
フェイ・マスターソン
レスリー・マンヴィル
マイケル・J・フォックス
 
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あ ら す じ    クリスマス・イヴのロンドン。金貸業の“スクルージ&マーレイ商会”では、暖炉もない事務所で金を数える冷酷で強欲なエベニザー・スクルージ。事務員のクラチットが暖炉もない事務所で凍えながら仕事をしているのを何とも思わず、クリスマス・パーティに招待してくれた甥のフレッドには怒鳴り散らし、クリスマスなのに死にかけている貧しい人々への寄付を求められれば「ならば死ねばいい。余計な人口が減る」と毒づく有様だった。
 その夜、スクルージが帰宅すると、他には誰もいないはずの屋敷に騒々しい足音が鳴り響く。そして、足音は彼の部屋の前で止まると、厳重に鍵をかけたドアをすり抜けて現れたのは、いくつもの金庫が付いた重い鎖を体中で引きずる、7年前に亡くなった彼のビジネスパートナー、ジェイコブ・マーレイの幽霊だった。マーレイの幽霊は生前の自らの行ってきた冷酷な所業を悔い、スクルージには自分のようになってほしくないと言う。そして、「お前のもとに3人の幽霊が現れる」と告げて夜空へと消えていった。
 間もなく、彼の部屋に炎のように揺らめく光を頭から放った奇妙な少年が現れる。彼は“過去のクリスマスの亡霊”だといい、スクルージの手を取ると彼を過去のクリスマスへと訪れた。そこには、誰からも相手にされずに学校にひとり取り残された8歳のスクルージ、彼のたった一人の理解者である妹のファンに迎えられて、絶縁状態だった家に帰れる17歳のスクルージ、奉公先の雇い主フェジウィックが開いたパーティで美しい女性ベルと踊る27歳のスクルージがいた。けれども、いつからか彼はすべてを損得勘定で判断する金がすべての男に変わってしまい、恋人のベルも彼から離れていった。
 部屋に戻ったスクルージの前に次に現れたのは、松明を持った大男、“現在のクリスマスの亡霊”だった。そして、亡霊がスクルージに見せたのは、彼の元で働くクラチットの家の光景だった。裕福ではないがそれでも家族揃って楽しそうに過ごすクリスマスの日。そんな中、クラチット夫妻は末っ子のティムが長くは生きられないだろうと呟くのをスクルージは耳にして、亡霊に尋ねる。「あの子は死ぬのか?」と。「このままではあの子は死ぬだろう。余計な人口が減る」亡霊が答えたその言葉は、かつてスクルージが吐いた言葉だった。次に亡霊がスクルージを連れて行ったのは、甥のフレッドの家だった。スクルージの悪口が飛び交う中、フレッドだけは「どんなに悪態をつかれても毎年クリスマスの挨拶に行く」とスクルージを擁護するのだった。
 残されたのは“未来のクリスマスの亡霊”だけとなったが、その未来こそが彼にとって最もつらいものであろうことをスクルージは予想していた。果たして、3人目の亡霊が彼に見せる光景はどんなものなのか?そして、スクルージはその未来を変えることができるのだろうか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    文豪チャールズ・ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』をモチーフに、ロバート・ゼメキス監督が最新のパフォーマンス・キャプチャー技術を駆使し、実写でもアニメーションでもない、クリスマス・キャロルにふさわしい不思議な世界を作り上げている。同じロバート・ゼメキス監督がメガホンを執っている『ベオウルフ 呪われし勇者』もそうだったが、彼はもはや実写には見切りをつけ、最新のデジタル技術を駆使した映像に魅入られたかのようにさえ思えるのだが、この作品のような幻想的な雰囲気を味わってみると、観ている私もこの映像世界に病みつきになりそうだった。残念ながらいつもの字幕版を選択したために3Dではなかったのだが、亡霊に導かれて滑空する映像を筆頭にデジタル技術が遺憾なく発揮されており、今度は吹替でもいいから3Dで観てみたくなった。
 また、この作品で主演のジム・キャリーが7役をもこなしていることを観終えてから知ったのだが、私は恥ずかしながらそのことに全く気づかなかったため、なおさらもう一度観て彼が他にどんな役柄を演じているのかを自分の目で確かめたくなった。ちなみに、今わかっているのは上のキャスト欄に書いた通り、スクルージと3人の亡霊の役だから、他にまだ3役もあることになる。彼以外にも複数の役柄を演じている俳優(ゲイリー・オールドマン、ロビン・ライト・ペン、ボブ・ホスキンスら)がいて、彼らの変身ぶりを観るのもこの作品の楽しみのひとつかもしれない。そして、それを可能にしているのは特殊メイクではなく最新のデジタル映像であり、現在の映画においてはもはやコンピュータはなくてはならない必須のツールであることは認めざるを得ない。コンピュータなくしては、ローランド・エメリッヒの『2012』もジェームズ・キャメロンの『アバター』も作り得ない、それが現実なのだ。