評     価  

 
       
File No. 1119  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年12月12日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   マイケル・マン  
       
上 映 時 間   141分  
       
公開時コピー   奪うのは、汚れた金
愛したのは、たった一人の女。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジョニー・デップ [as ジョン・デリンジャー]
マリオン・コティヤール [as ビリー・フレシェット]
クリスチャン・ベイル [as メルヴィン・パーヴィス]
ビリー・クラダップ [as J・エドガー・フーバー]
スティーヴン・ドーフ [as ホーマー・ヴァン・メーター]
スティーヴン・ラング [as チャールズ・ウィンステッド]
ジェームズ・ルッソ
デヴィッド・ウェンハム
クリスチャン・ストールティ
スティーヴン・グレアム
チャニング・テイタム
ジェイソン・クラーク
ジョヴァンニ・リビシ
ビル・キャンプ
スペンサー・ギャレット
ピーター・ゲレッティ
ブランカ・カティッチ
リーリー・ソビエスキー
ロリー・コクレイン
ジョン・キッシュライン
キャリー・マリガン
リリ・テイラー
 
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あ ら す じ    世界恐慌から4年が経過した1933年。警察をあざ笑うかのような大胆不敵な手口で次々と銀行を襲うジョン・デリンジャーは、弱者からは奪わない、奪うのは銀行の汚れた金だけ」「仲間は決して見捨てない」といった独自の倫理観も相まって、大衆の目にはあたかも不況という時代が生んだヒーローであるかのように映っていた。ある日デリンジャーは、他の女性とはどこか違った、異国の女性のような雰囲気を持つ美女ビリー・フレシェットに一目惚れする。ビリーにはデリンジャーが危険な相手だとわかりつつも、彼の強引な遭いに引きずられて次第に惹かれていくのだった。
 ジョン・デリンジャーを“PUBLIC ENEMIES(社会の敵)No.1”として指名手配していたFBIは、デリンジャー逮捕をメルヴィン・パーヴィス捜査官に一任した。自信満々だったパーヴィスも、デリンジャーと相対して一筋縄ではいかないことを知る。しかし、デリンジャーの仲間はひとり、またひとりと警察の前に命を落としていき、やがてデリンジャーはひとり孤立してしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    社会の敵No.1の銀行強盗ジョン・デリンジャーにジョニー・デップ、対するデリンジャーを執拗に追う捜査官メルヴィン・パーヴァスにクリスチャン・ベイルという2大スター共演の史実に基づいた作品。このところジャック・スパロウやスウィーニー・トッド、ウィリー・ウォンカといった、一種独特のキャラを演じてその演技力を見せつけてきたジョニー・デップだったが、久しぶりに彼の正統派の演技が観られる作品でもある。私は映画評論家ではないから、ジョニーとクリスチャンの演技にケチをつけるような大それた真似は出来ないが、作品自体には不満も残った。そのあたりが星7個という評価に表れたのだと思われる。
 まずは、ジョン・デリンジャーとその恋人ビリー・フレシェットの絆が深まる課程が描かれておらず、いきなり熱愛状態に飛んでしまうものだから、ビリーが拷問のような取り調べに遭いながらも堅く口を閉ざしていたことや、ジョンが危険を冒してまでビリーを助けようとした事に対する説得力に欠ける。また、世界恐慌の3年後という以外は時代背景が描かれていないために、一般大衆の間ではアルセーヌ・ルパンや石川五右衛門のような義賊としてヒーロー扱いされていたというのが、今ひとつ把握しづらい。それに、もう少しデリンジャーとパーヴィスの追いつ追われつの駆け引きを緊迫したスリルを交えて描いて欲しかった。それがないために、作品全体が大味になってしまっている気がするのだ。
 それにしても時代の変遷とは恐ろしいもので、この作品で描かれている1930年代では女性を半ば拷問のような取り調べで自白させたり、逃げる犯人を背後から射殺したりと、もし現在に同じ事が行われたなら間違いなく警察が世論の袋だたきに遭うような行為が平気で行われていたというのには驚く。特に、クリスチャン・ベイル扮するメルヴィン・パーヴィスという男、デリンジャーだけではなくプリティボーイ・フロイドをも背後から撃ち殺しているのだ。こんな危険人物が優秀な警官としてもてはやされていた時代・・・・・そんな時代に生まれてなくて良かったと心底思ってしまった。