評     価  

 
       
File No. 1123  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年12月19日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   押井 守  
       
上 映 時 間   70分  
       
公開時コピー   仮想空間の戦場で
美しき3人の女ハンターと
巨大モンスターが激突!
世界を圧倒する
SFエンターテイメント!
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   黒木 メイサ [as グレイ]
菊地 凛子 [as ルシファ]
佐伯 日菜子 [as カーネル]
藤木 義勝 [as イェーガー]
イアン・ムーア [as ゲームマスター(声)]
 
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あ ら す じ    ゲームの中の仮想空間アヴァロン(f)。核戦争後の砂漠を想定したステージ、デザート22で獲物を狙うグレイルシファカーネル、そしてイェーガーの4人のプレイヤーたち。3人の女と1人の男は、それぞれの武器を駆使してモンスターを倒してポイントを稼いでいく。しかし、戦闘の隙を突かれたイェーガーはモンスターに飲み込まれてしまい強制終了、3人の女たちもステージの最終目的であるボスキャラの強さの前に撤退を余儀なくされていた。
 ポイントを精算したグレイに対してゲームマスターが、今のレベルではボスキャラを倒すことはできず、レベルアップにも数ヶ月を要するだろうと告げた。そして、その解決策は他のプレイヤー3名とパーティーを組むことだという。渋々グレイはゲームマスターの指示に従い、他のプレイヤーと連絡を取るが、ひとりイェーガーだけは彼女のメッセージを無視してしまうしかし、イェーガーの持つ20ミリ対戦車砲はボスキャラを倒すためには欠くことのできない武器だった。グレイは直接イェーガーと交渉してパーティーに参加させるが、今度はポイントの取り分を巡って2人は対立してしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    実写の作品を観ているにもかかわらず、ついついそれが実写であることを忘れてアニメを観ているかのような錯覚に陥ってしまう。押井監督の世界観は、実写版の作品でありながらも紛れなくアニメのそれだった。冒頭で登場したイェーガーが肩に20ミリ砲を担ぎ、背負ったリュックサックにぶら下がったフライパン、頭にはヤクルトスワローズの野球帽、そんな光景を観ただけで現実感の欠如が露骨に感じられ、アニメの世界へと引きずり込まれてしまう。そこが仮想空間であればなおさらのこと、制約のないアニメーションで描くべきではなかったのかと強く感じた。
 実は、2008年の宮崎駿監督作品『崖の上のポニョ』を「老人の戯言」と評して以来、押井守に対して不快感を覚えていた。そのために、どうしても斜めから懐疑的な目で彼の作品を観てしまう傾向にあることは否定できないが、それにしてもこの作品は宮崎作品を「老人の戯言」と揶揄するに値するほどの出来映えだとは到底思えない。冒頭のあまりに長すぎるナレーション。それだけで飽きてしまって、劇場から退出したくなった。しかも、そのナレーションも英語で字幕付きのために、なおさら苦痛を覚える。尺が70分と異様に短いのだからあと30〜40分は引き延ばせるはずで、だったらナレーションなどで安直に片付けずに、映像で表現すべきではないだろうか。もっとも睡眠不足で臨んだ私にとっては、もしこれ以上尺が長ければ耐えきれずに意識を失っていた可能性もあったのだが(笑)。
 主役の黒木メイサは予想通りこの手の役柄がハマリ役でカッコイイし、菊池凛子と佐伯日菜子も適役だったと思う。特に菊地凛子のトボケたルシファは主役のグレイ以上に印象に残っていて、やっぱり彼女は上手いんだと改めて感じた。それだけに、見せ場の戦闘シーンの少なさが残念だ。この尺の短い作品をさらに5つのチャプターに分けて小間切れにした意図も理解しがたい。