評     価  

 
       
File No. 1124  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2009年12月23日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジェームズ・キャメロン  
       
上 映 時 間   162分  
       
公開時コピー   もうひとつの体。もうひとつの運命。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   サム・ワーシントン [as ジェイク・サリー]
ゾーイ・サルダナ [as ネイティリ]
シガニー・ウィーヴァー [as グレイス・オーガスティン]
スティーヴン・ラング [as マイルズ大佐]
ミシェル・ロドリゲス [as トゥルーディ]
ジョヴァンニ・リビシ [as セルフリッジ]
ジョエル・デヴィッド・ムーア [as ノーム]
CCH・パウンダー
ウェス・ステューディ
ラズ・アロンソ
 
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あ ら す じ    22世紀、人類は地球から遠く離れた星パンドラで採掘される、1キロあたり2000万ドルという莫大な利益を生み出す鉱物に着目していた。しかしそれを採掘するためには、大きな障害が2つあった。ひとつは、防毒マスクなしには1分と生きていられないパンドラの有毒な大気、そしてもうひとつは、鉱床の上に集落を作っていたパンドラの先住民であるナヴィの存在だった。
 人類はナヴィと人間のDNAを組み合わせた肉体“アバター”を作りだし、アバターを遠隔操作することでパンドラの大気の問題をクリアすることに成功したものの、ナヴィは依然として人間を敵対視して警戒心を解こうとはしなかった。そんなパンドラに、両脚を負傷して車椅子生活を余儀なくされた元海兵隊員のジェイク・サリーが召還されたのは、アバターの研究員だった双子の兄が亡くなったために、兄のアバターを兄に代わって操作するためだった。
 ジェイクは兄の同僚だったアバターの研究員グレイス・オーガスティンの指揮下に配される。グレイスはアバターを使ってパンドラの動植物の研究を進めていたが、マイルズ大佐はジェイクに、脚を歩けるように治療することを条件に、グレイスに気づかれないようにナヴィの情報を入手して報告するように命じた。そしてジェイクは、ナヴィの族長の娘ネイティリと知り合ったことをきっかけにナヴィの集落に潜り込むことに成功した。
 車椅子から解き放たれて自分の脚で大地を駆け巡る喜びを知ったジェイクは、ネイティリついてナヴィの生活を教わるうちに、次第に彼女に恋心を抱くようになる。しかし一方の現実の世界では、マイルズが武力を行使してナヴィを蹂躙してまで鉱石を採掘しようと決断を下してしまう。自らに課せられた任務とネイティリたちナヴィとの板挟みになったジェイクは、いずれかの一方を選択せざるを得なくなり・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    今年観た作品の中で、文句なしに最大のインパクトを与えてくれる作品。2時間42分という少々長めの尺にもかかわらず、瞬時もスクリーンから目を離させない映像と脚本のおかげで、これだったら4時間を超える長さでも構わないとすら思えた。そして、ジェームズ・キャメロン監督と言えば、『ターミネーター2』でT-1000型という驚異のターミネーターを登場させて観る者の度肝を抜いたが、今回の『アバター』でもその映像技術や造形の細部に及ぶまでの作り込みには感嘆するのみだ。たとえば、スタートレックのMr.スポックの特徴でもある耳は、どう見ても明らかに作り物にしか思えないが、この作品に登場するナヴィの耳は動作に遭わせてそれらしく動くし、ナヴィの尾もやはり同様にあたかも生きているかのように動く。それだけをとってみても、おそらく一昔の時代だったら一大センセーションを呼び起こしただろうが、それすらこの作品においては枝葉末節に過ぎないのだ。そして、この作品の最大の見所は文字通り“驚異の3D映像”であることは言うまでもなく、少なくともこの作品に関する限り“驚異の”という修飾語には嘘や誇張は一切ない。
 確かに、つい先頃公開されたローランド・エメリッヒ監督の『2012』の映像も凄かった。が、この作品を観てしまうと、『2012』の映像の凄まじさすら児戯に思えてしまう。こればかりはいくら言葉を尽くしたところで伝わるものではないし、細部まで注意してみると前述のナヴィの耳や尾以外にも注目すべき点は多数あるので、「百聞は一見にしかず」、是非とも劇場で実際に3D体験をしていただきたいと思う。今年は立て続けに3D作品が公開されているが、その中でも最も3Dで観るのにふさわしい作品であることは間違いない。
 主人公のジェイクが惹かれていくナヴィの族長の娘・ネイティリがこの作品のひとつのキー・ポイントとなるのだが、正直予告編で観た限りでは彼女に情が移るなどとは思えなかったのだが、実際に観てみると、ストーリーが進むにつれてどんどん可愛く見えてくるから不思議だ。そのおかげでジェイクの選択にも説得力が加わり、ストーリーにも厚みが加わっている。シガニー・ウィーヴァーやミシェル・ロドリゲスが途中で死んでお役ご免となってしまったのがちょっと残念に思えた。