評     価  

 
       
File No. 1127  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2009年12月26日  
       
製  作  国   フランス  
       
監      督   フィリップ・クローデル  
       
上 映 時 間   117分  
       
公開時コピー   15年の刑期を終えたジュリエット。
悲しみに沈む彼女の過去に犯した罪と罰、そして赦し。
人間の心の深淵に迫る、愛と再生の物語。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   クリスティン・スコット・トーマス [as ジュリエット]
エルザ・ジルベルスタイン [as レア]
セルジュ・アザナヴィシウス [as リュック]
ロラン・グレヴィル [as ミシェル]
フレデリック・ピエロ [as フォレ警部]
リズ・セギュール [as プチ・リス]
ジャン=クロード・アルノー [as ポールおじいちゃん]
ムス・ズエリ [as サミール]
スアッド・ムシュリク [as カイシャ]
カトリーヌ・オスマラン [as 社会復帰カウンセラー]
クレール・ジョンストン [as ジュリエットとレアの母親]
オリヴィエ・クリュヴェイエ [as ジェラール]
リリー=ローズ [as アメリア]
 
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あ ら す じ    とある空港のカフェ。煙草を手にした女性を迎えに来たと思われるもう一人の女性が声をかける。15年ぶりの姉妹の再会を喜ぶ妹のレアだったが、15年の刑期を終えて出所したばかりの姉のジュリエットは素直に再会を喜べずに戸惑っていた。姉妹はレアの車に乗り込み、ジュリエットはレアの家庭に迎えられるのだった。
 大学に勤務し、夫リュックと結婚して養子ではあるが2人の女の子プチ・リスことクレリスとアメリア、それに口が利けない義父ポールの5人で穏やかな家庭を築いていたレアは、ジュリエットが服役して以来親から姉はいないものと思うように言われ続け、その失われた15年を取り戻そうとしていた。そして、夕食の席でプチ・リスがジュリエットに尋ねた。なぜ、今まで会うことがなかったのか、と。ジュリエットは遠い所へ旅行していたと答えるが、リュックはプチ・リスの好奇心からジュリエットの秘密がばれないかと気が気でなかった。
 リュックの心配をよそに、プチ・リスはジュリエットにすっかりなつき、ジュリエットの堅く閉ざされた心も次第に解きほぐされていく。ジュリエットに対して抱いていた警戒心を解き、以前は露骨に嫌な顔をしていた子供の世話をもジュリエットに頼むようになる。やがて、ようやく仕事が決まったジュリエットは、レアの家族から離れることになった。ところが、荷物が運び出されて閑散となったジュリエットの部屋に残された写真と手紙を見つけたレアは、ジュリエットに息子を手にかけた時のことを問い詰めた。ジュリエットはついにその重い口を開き、真相を語り始める・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ジュリエットを演じたクリスティン・スコット・トーマスが最高にいい。私はてっきり初めてお目にかかる女優だと思っていたら、実は今年だけで『ブーリン家の姉妹』『お買いもの中毒な私!』の2作品に彼女が出演していたことを知って驚いた。自分の息子に手をかけたという過去を背負い、頑なに他人を受け入れなかった彼女が、妹レアの家族の優しさに包まれて、次第に表情が柔和になっていくような微妙な演技が絶品。また、彼女の妹レアを演じたエルザ・ジルベルスタインの演技も良く、打算ではなく心から姉との失われた時間を取り戻そうとする姿が清々しく映る。
 実は、この作品には「なぜジュリエットは愛する息子を手にかけたか?」という点に秘密があり、それがラストで明かされるのだが、私はその秘密に関する解釈に全く自信がないのだ。そして、その点について書くとネタバレになるので、例によって読みたい方だけどうぞ。
 ジュリエットの部屋で見つかった写真と手紙、それが一体何を意味しているのかが。そして、その手紙をレガ精神分析医らしき人物に鑑定させていて、「非常に危ない状態だ」とコメントされているのだが、一体その手紙を書いたのは誰なのか?そのあたりの描写は、敢えて意図してのことか曖昧なために、観終えた後に今ひとつ釈然としなかった。