評     価  

 
       
File No. 1132  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年01月15日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   スパイク・ジョーンズ  
       
上 映 時 間   101分  
       
公開時コピー   見たことない世界、忘れてた気持ち  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マックス・レコーズ [as マックス]
キャサリン・キーナー [as ママ]
マーク・ラファロ [as ママの恋人]
ローレン・アンブローズ [as KW(声)]
クリス・クーパー [as ダグラス(声)]
ジェームズ・ガンドルフィーニ [as キャロル(声)]
キャサリオン・オハラ [as ジュディス(声)]
フォレスト・ウィッテカー [as アイラ(声)]
ポール・ダノ [as アレクサンダー(声)]
 
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あ ら す じ    イタズラ好きだが寂しがり屋でちょっとワガママな8歳の少年マックスは、ある夜恋人が訪ねてきたために自分に構ってくれないママに腹を立てて家を飛び出してしまう。泊めてあったボートに乗り込み海へと漕ぎ出したマックスは、やがて不思議な島にたどり着いた。その島の住人は、身長がマックスの3倍はあろうかという、三頭身のかいじゅうたち。彼らに見つかったマックスは食べられそうになるが、口から出まかせの嘘を並べて挙げ句は自分は王だなどと言った言葉に、彼はかいじゅうたちから王として扱われるようになった。
 彼と仲が良かったかいじゅうはキャロルといい、仲間内ではリーダー格だがちょっと乱暴者。恋人のKWとの仲がうまくいっていないことに落ち込んでいた。王になったマックスは、早速かいじゅうたちに皆で重なって寝られる砦を作ることを命じた。仲間の元に戻ってきたKWも加わり、王様の言葉に嬉しそうに砦を作り始めるかいじゅうたち。キャロルとKWの仲も元通りになりかけて、キャロルはマックスに対する信頼をますます深めていく。けれども、次の王の命令で状況は一変する。
 マックスが次にかいじゅうたちに命じたのは泥ダンゴ合戦で、2組に分かれて泥ダンゴを投げ合うという他愛のない遊びだった。けれども熱が入って本気になってきた怪獣たちは、やがてマックスの命令に疑問を感じ始める。これが王様が言った幸せになる方法なのか?幸せどころか、本気で敵対し合ったり、挙げ句には怪我をする者さえ出てきて、何の意味もないのではないか、と。そしてついに、かいじゅうたちの一匹が、マックスが王様であるというのは口からでまかせの嘘であることを暴露してしまう。マックスが嘘をついていたことを知ったキャロルは傷つき、マックスはここにきてやっと自分は家族の元へと帰るべきなのだと気づく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    これはちょっと酷いなぁ。子供向けの絵本が原作とあって、お子様向けの内容になっているのかと思ったのだが、それにしては道徳的観点から考えても「これでいいのか?」と疑わずにいられない。そもそも、主人公のマックスがいくら子供とはいえあまりに利己的で、あんなガキはさっさとかいじゅうたちに食べられてしまった方が良かったとさえ思えた。そのため、上のあらすじもいつもより私情が入った文章になっていると思う。
 そもそも、マックスがあまりに自己中心で他を思いやる心など微塵も持っていないのが凄い。かいじゅうたちに泥ダンゴ合戦をさせるなどもってのほかで、あれは完璧に動物虐待・・・・・じゃなくて怪獣虐待でしかない。泥ダンゴ合戦で彼らが怪我してしまうかもしれないことくらい、小学生にだってわからないはずはない。にもかかわらず彼は、相手の一匹が目に泥ダンゴを受けたらすかさず「目を狙え」などと命令する始末で、相手の痛みすらわかっていないようなガキは、まず自らが身をもって泥ダンゴの痛みを知るべきだろう。
 せっかく一つにまとまりかけたかいじゅうたちの仲、とりわけキャロルとKWの仲を前以上に悪化させて起きながら、かいじゅうたちのために何か償いをするわけでもなく家族の元に逃げ帰るようなマックス。彼に対するかいじゅうたちの態度は優しく寛大過ぎる。KWが別れ間際に「食べちゃいたいほど好き」とマックスに耳打ちするが、どう考えても「食べちゃいたいほど憎い」の方がしっくりくる。そんな別れのシーンを観て感動しろなどと言うのは無理な相談だ。辛い思いをさせられながらも暖かくマックスを見送ったかいじゅうたちと、かいじゅうたちにした仕打ちをそのままに逃げるように帰って行くマックス、それがこの作品から私が受けた全てだったと言える。大人ならともかく、子供に見せても悪影響を及ぼすことはあっても何も得るべき点がない作品だとしか思えない。