評 価
File No.
1133
製作年 / 公開日
2009年 / 2010年01月16日
製 作 国
スウェーデン / デンマーク / ド イ ツ
監 督
ニールス・アルデン・オプレヴ
上 映 時 間
153分
公開時コピー
彼女だけが知っている
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ミカエル・ニクヴィスト
[as ミカエル・ブルムクヴィスト]
ノオミ・ラパス
[as リスベット・サランデル]
スヴェン=ベルティル・タウベ
[as ヘンリック・ヴァンゲル]
イングヴァル・ヒルドヴァル
[as ディルク・フルーデ弁護士]
レナ・エンドレ
[as エリカ・ベルジェ]
ステファン・サウク
[as ハンス=エリック・ヴェンネルストレム]
ビヨルン・グラナート
[as グスタフ・モレル]
ペーター・ハーバー
[as マルティン・ヴァンゲル]
マーリカ・ラーゲルクランツ
[as セシリア・ヴァンゲル]
グンネル・リンドブロム
[as イザベラ・ヴァンゲル]
エヴァ・フレーリング
[as ハリエット・ヴァンゲル]
ゲスタ・ブレデフォルト
[as ハラルド・ヴァンゲル]
ミカリス・コウトソグイアナキス
[as ドラガン・アルマンスキー]
トマス・ケーラー
[as プレイグ]
ヤコブ・エリクソン
[as クリステル・マルム]
ペーター・アンデション
[as ニルス・ビュルマン弁護士]
アニカ・ハリン
[as アニカ・ジャンニーニ]
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あ ら す じ
企業家
ヴェンネルストレム
の告発記事を書き、裁判で有罪判決を受けてしまったジャーナリスト
ミカエル・ブルムクヴィスト
の元に、ある依頼が舞い込んだ。ストックホルム郊外の孤島に居を構える、大企業ヴァンゲルグループの前会長
ヘンリック・ヴァンゲル
からの依頼とは、40年前に一族が一堂に会したその屋敷から、忽然と姿を消した彼の姪
ハリエット
を殺したと思われる者を突き止めることだった。彼女にまつわる膨大な資料を渡されたミカエルは、ヴァンゲル邸の離れに住み込みで調査を開始した。
ハリエットが書いたと思われる1枚のメモがミカエルの頭を悩ませた。そこには、名前と数字が5件記載されていたが、それが一体何の意味をなすのか見当も付かなかった。ところが、ミカエルの元へそのメモの意味を見事に解き明かしたメールが届く。何者かが彼のパソコンをハッキングしていたのだ。ミカエルがメールの発信元から送信者を探し出してたどり着いた相手は、身長150cmの天才ハッカー
リスベット・サランデル
だった。背中にドラゴンのタトゥーを入れた彼女は、先の企業家を告発し裁判となった時からすでにミカエルに着目してハッキングしており、彼からの助力に応じて、コペンハーゲン郊外の孤島へとバイクを走らせるのだった。
ハリエットのメモが、過去に起きた殺人事件を示唆していることに気づくまでに時間はかからなかった。そして、その過去の殺人の犯人が身内の何者かであることを知ってしまったがためにハリエットは殺された、それがミカエルとリスベットがたどり着いた推理だった。そして、犯人の目星を付けたミカエルは、証拠になる品を探すために彼の留守中に屋敷に忍び込む。一方のリスベットは、会社の資料室に保存された領収書から、犯人と睨んだ男が犯行現場に出張していたことを示す領収書を探し始める。そして、資料の中で偶然に見つけた1枚の写真から、リスベットは真犯人が誰であるかに気づく。急いでヴァンゲル邸の離れに戻ったリスベットだったが、ミカエルはすでに真犯人の手中にあり、今まさに彼の命は風前の灯火だった・・・・・。
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たぴおか的コメント
もしかしたら『薔薇の名前』のような哲学的ないわゆる「知的面白さ」を強いられるのではないかと畏怖していたのだが、観てみるとたちまち余計な先入観はすべて吹き飛んでしまった。小さな証拠の積み重ねから、一つずつ真実が明らかにされていくその展開の妙のお陰で全く飽きることなく、2時間半を越える長尺も全く苦にならない。そして、そう感じさせた最大の要因はやはりリスベットという女性の特異性だろう。
この作品の要・リスベット役の配役は難航していたらしくそこに抜擢されたのが特に演劇学校に通ったこともない、独学のノオミ・ラパスだったようだ。そして、彼女はこの役のためにピアスをし、肉体改造のためにボクシングを始め、さらにはバイクの免許まで取得したという。小柄な割には二の腕が太いと思っていたが、それは贅肉ではなく筋肉だったわけで、また惜しげもなく披露してくれる上半身のヌードは男性も顔負けの筋肉質なのに驚かされたのも、すべてトレーニングの成果だったというわけだ。そして、過去にトラウマを抱えて人を愛することができなくなり、現在でも保護監察下にあるという複雑な状況下にあるリスベットというキャラクターを見事に作り上げている。
この作品は『ミレニアム』3部作の第1部であり、もちろん副題の『ドラゴン・タトゥーの女』とはリスベットを指すのだが、エンド・クレジット終了後に次作の特報が映され、次作ではリスベットがお役ご免だとすれば非常に残念だと心配していたら、次作は『ミレニアム ○○○の女(○の部分は忘れた)』とやはり女が副題なのだが、それもリスベットを意味することを知って一安心。このシリーズはすべて劇場で制覇しなければと、今回の作品を観て余計な気合いが入ってしまった(笑)。陰惨な事件が描かれているだけに、意外なハッピー・エンドで終わるラストが後味を爽やかにしてくれている。こういう作品ばかりだと、途中で睡魔など感じている暇などなくて助かるのだが。