評     価  

 
       
File No. 1136  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年01月16日  
       
製  作  国   フランス  
       
監      督   ヤン・クーネン  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   与え合い、奪い合った、
愛と才能。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マッツ・ミケルセン [as イゴール・ストラヴィンスキー]
アナ・ムグラリス [as ガブリエル・“ココ”・シャネル]
アナトール・トーブマン [as アーサー・“ボーイ”・カペル]
エレーナ・モロゾーワ [as カトリーヌ・ストラヴィンスキー]
ナターシャ・リンディンガー [as ミシア・セール]
グリゴリ・モヌコフ [as セルゲイ・ディアギレフ]
ラシャ・ブコヴィッチ
ニコラ・ヴォード
 
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あ ら す じ    1913年のパリ。シャンゼリゼ劇場で初演を迎えていた『春の祭典』、そのあまりに斬新に過ぎる音楽は観客の理解を超え、劇場内は腹を立てた客のブーイングや罵声であふれかえっており、作曲者であるイゴール・ストラヴィンスキーはあまりの惨憺たる客の反応に打ちひしがれていた。そんな中、客席のガブリエル・“ココ”・シャネルだけはストラヴィンスキーの音楽に陶酔していた。
 それから7年後の1920年。シャネルは既にデザイナーとしての確たる地位は築いていたものの、最愛の恋人“ボーイ”・カペルを自動車事故で亡くして悲しみにうち沈んでいた。一方のストラヴィンスキーは、ロシア革命を経て全ての財産を失い、パリで亡命生活を送っていた。そんなシャネルとストラヴィンスキーが、ミシア・セールセルゲイ・ディアギレフに紹介されて出会う。『春の祭典』以来ストラヴィンスキーの才能に心酔していたシャネルは、ストラヴィンスキーに対して援助を申し出た。これに応じたストラヴィンスキーは、妻カトリーヌと4人の子供達と共にシャネルの所有するヴィラに移り住み、そこで創作に専念することとなった。
 互いを至高の芸術を求める者同士だと認める2人が恋に落ちるのには、時間はかからなかった。互いを刺激し高め合うことによって新たな創造への活力を得て、シャネルは初めて香水作に取り組み、あの有名な「N°5」を生み出すことになる。そして一方のストラヴィンスキーも、一度は不評を買った『春の祭典』の再演に全力を注ぎ込むのだった・・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    昨年から立て続けに公開されている、シャネルを主人公にした作品も3作目となると、正直だんだん飽きてきた(笑)。ただ、前2作がいずれもボーイ・カペルの死までを描いているのに対し、この作品だけはボーイの死以後の物語となっている点で目新しい。とは言うものの、予告編を何度か見た限りでは、シャネルを演じるアナ・ムグラリスがどうも好きになれず、作品本編を観てもやはりその印象が変わることはなかった。
 そもそも本物のシャネルの若い頃の容姿がだだったのかはわからないが、昨年の2作ではシャネルを演じているのはいずれも可愛らしさを備えた女優だったのに対して、今回のシャネルはおおよそ「可愛い」という言葉からは無縁の存在だ。しかも、「だみ声だから歌を歌わない」という台詞があったが、その通り男としか思えないような悪声は申し訳ないが聞くに堪えない。確かシャネルは針子をしていた頃、バイトでクラブの歌手をやっていたはずなのに、あの声はないだろう。また、ルックスだけではなく態度も終始高圧的で、どう見ても金に物を言わせるしか能がない嫌みな女にしか見えず、あんな女性に惹かれる男がいるなどとはとても考えられないようなキャラクターに感じてしまう。
 コピーにはこの二人の出会いによって「N°5」と「春の祭典」が生み出されたようなことが書いてあるが、それも疑問。少なくとも「春の祭典」に関しては、ストラヴィンスキーがシャネルの援助を受けたからこそ成功したと言えるのだが、シャネルの5番の誕生とストラヴィンスキーとの出会いには作品を観る限り何の因果関係もないように思える。これで主演女優がもう少し魅力的だったらまだ救いもあったのだが、私にとっては残り時間が非常に気になった長〜い2時間となってしまった。