評     価  

 
       
File No. 1137  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年01月22日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジョナサン・モストウ  
       
上 映 時 間   89分  
       
公開時コピー   ロボットがすべてを代行する社会。
それは、ユートピアのはずだった・・・。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ブルース・ウィリス [as トム・グリアー]
ラダ・ミッチェル [as ジェニファー・ピータース]
ロザムンド・パイク [as マギー・グリアー]
ボリス・コジョー [as アンディ・ストーン]
ジェームズ・フランシス・ギンティ [as ジャレット・キャンター]
ヴィング・レイムス [as 予言者]
ジェームズ・クロムウェル [as ライオネル・キャンター博士]
ジャック・ノーズワージー [as ストリックランド]
デヴィン・ラトレイ [as ボビー]
マイケル・ガトリッツ [as ブレンドン大佐]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    近未来。人間の生活はすべてVSI社が開発した“サロゲート”と呼ばれる身代わりロボットが代行していた。人はただ自宅でサロゲートを遠隔操作するだけ、もしも危害が及んでもサロゲートが損壊するだけで人体は絶対に安全という謳い文句の元、人類の98%が日常生活にサロゲートを使用するまでに至っていた。
 FBI捜査官のトム・グリアーのサロゲートとパートナーのジェニファー・ピータースのサロゲートが到着した事故現場には、男女2体のサロゲートの眼球が破壊されていた。男性は登録記録がなかったものの、女性のサロゲートの持ち主はすぐに判明し、その自宅を訪ねたところ、操作していたのは醜く太った中年男性で、彼の眼球はサロゲート同様に破裂してすでに死亡していた。そして、その翌日に判明した男性のサロゲートの持ち主は、サロゲートの生みの親ライオネル・キャンター博士の一人息子ジャレットだった。
 サロゲートの破壊により持ち主が死亡した、このサロゲート神話を崩壊させかねない事実に対して箝口令が布かれ、操作は極秘に行われることになった。そして、破壊されたサロゲートのIDチップから、1ヶ月前に強盗容疑で逮捕されたものの即刻釈放されたストリックランドが容疑者として浮かび上がった。市内モニターの監視員ボビーの協力によりバイクで逃走中のストリックランドの居場所を突き止めたグリアーは、ヘリでストリックランドを追跡した。しかし、ストリックランドが携帯していた武器によりヘリのパイロットが殺され、ヘリはサロゲート反対を掲げる人権擁護団体の自治区に墜落してしまう。グリアーのサロゲートは人々によって破壊されてしまい、グリアー自身も瀕死の重傷を負ってしまった。
 サロゲートを失い、上司である主任捜査官アンディ・ストーンから停職を言い渡されたグリアーは、生身の体で事件の謎を解き明かす決意をするのだが・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    『ターミネーター3』のジョナサン・モストウ監督作品。ブルース・ウィリスがヅラを着けてサロゲート仕様の無表情なグリアーと、後半はいつも通り傷だらけの生身の人間のグリアーを演じ分けている。グリアーのパートナー、ピータースを演じている美人女優が誰なのか最後まで気になっていたのだが、エンド・クレジットでキャストを観てラダ・ミッチェルだと知り驚いた。いつも印象に残る役柄を演じていた彼女が、今回は本当にマスクでも着けてイルのではないかと勘ぐりたくなるほど冷たい無表情に徹し、今までとは違う意味で強く印象に残っている。
 をが自分の身代わりロボット“サロゲート”を遠隔操作するという発想は『アバター』と同じなために、先に観た『アバター』のインパクトがあまりに強すぎたため、余計に二番煎じという印象が強くなってしまった気がする。人間の行動全てをロボットに代行させるとは怠惰の極みで、果たして現実にサロゲートが開発されたとしてもこの作品のような状況に陥るかというと、その点は大いに疑問だ。人間は皆寝たきり老人同様の生活を強いられるわけで、他人と接触がなくなったことにより伝染病がなくなったというのはわかるが、その代わりに極度の運動不足に起因した新たな疾病が蔓延したであろうことは充分に考えられる。太陽の日差しを受け、風を直接肌に感じることは絶対に必要なのだ。
 そんな見せかけだけのユートピアに対する警鐘だろうか、ラストではグリアーは観ている者の予想通りの選択をするわけで、結局人類がたどり着いた理想郷とも言うべきサロゲート社会は根底から崩壊してしまう。何が起きたかわからずに狐につままれたように家の外へと出てくるオペレーター達が、いずれもだらしない寝間着姿というディテールが面白い。また、巧妙に練られた脚本には随所に伏線が張られていて、それが後にどういういった形で具現化されるかを観るのは楽しい。余談だが、次々とサロゲートが倒れていく中、倒れる際に顔面を地面に強打するサロゲートもいるのだが、あれって下手をすれば植物人間になりかねない相当危険なスタントじゃないかな?