評     価  

 
       
File No. 1142  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年01月29日  
       
製  作  国   アメリカ / イギリス / ニュージーランド  
       
監      督   ピーター・ジャクソン  
       
上 映 時 間   135分  
       
公開時コピー   これは、私が天国に行ってからのお話。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   マーク・ウォールバーグ [as ジャック・サーモン]
レイチェル・ワイズ [as アビゲイル・サーモン]
スーザン・サランドン [as リン]
スタンリー・トゥッチ [as ミスター・ハーヴィ]
マイケル・インペリオリ [as レン・フェナマン刑事]
シアーシャ・ローナン [as スージー・サーモン]
ローズ・マクアイヴァー [as リンジー・サーモン]
クリスチャン・トーマス・アシュデイル [as バックリー・サーモン]
リース・リッチー [as レイ]
キャロリン・ダンド [as ルース]
ジェイク・アベル
ニッキー・スーフー
トーマス・マッカーシー
アンドリュー・ジェームズ・アレン
 
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あ ら す じ    スージー・サーモンは、父親ジャック・サーモンと母親アビゲイル・サーモン、それに妹リンジー、弟バックリーら大好きな家族と幸せに暮らしていた。しかし、1973年12月6日、彼女はわずか14歳という短い一生を終えることとなった。その日の学校帰りに、彼女は顔見知りのミスター・ハーヴィに殺されてしまったのだった。
 幸せだった一家に突如訪れた暗闇。ジャックはスージーを失った悲しみのあまり犯人探しに執着し、スージーを死なせてしまった罪悪感に加えて犯人の事しか頭にないジャックに嫌気がさして家を出てしまう。担当のフェナマン刑事は親身になって捜査をつづけてくれるものの、一向に犯人の目星すら突かない状況だった。そんな家族を見ながら、スージーは家族を助けてあげたい、犯人を教えてあげたいという思いでいっぱいだったが、彼女の姿は誰にも見えず、彼女の叫びは誰にも届くことはなかった。
 そんな中、ジャッとリンジーは申し合わせたかのようにミスター・ハーヴィを疑い始める。しかし、ジャックの依頼でフェナマン刑事はハーヴィ宅を訪れたものの、ハーヴィは巧妙な嘘を並べて決して尻尾を掴ませなかった。果たして、スージーが見守る中、サーモン家の家族は絆を取り戻すことができるのだろうか?そして、生きている時に果たせなかったスージーの思いの行方は・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    「ラブリーボーンで初泣き」などという謳い文句に期待して観たものの、個人的な意見を言わせてもらうならば涙するには今ひとつの、どちらかと言えばサスペンス色の濃い作品だった。キャスティングはマーク・ウォールバーグにレイチェル・ワイズと私の好きな俳優2人に加え、スージーを演じたシアーシャ・ローナンの透明感のある雰囲気が作品にマッチしていていい。そして、スタンリー・トゥッチの憎々しい犯人役の怪演がまた憎らしいほどハマっている。つい先頃『ジュリー&ジュリア』でメリル・ストリープ扮するジュリアの夫ポールを演じた俳優と同一人物だとはとても思えない。また、丸顔がアビゲイル・ブレスリンを思わせる、スージーの妹・リンジーを演じたローズ・マクアイヴァーもいいアクセントになっている。
 14歳という、何もかもこれからという若さで殺されたスージーは、当然のことながら天国に召されるわけで、彼女がたどり着いた天国は『ノウイング』のラストを思わせる幻想的な美しさをたたえた世界だ。しかし、彼女は自らの意志でしばしその手前にとどまることになる。自分を失って悲しみに暮れる家族の姿を目の当たりにしたためだ。家族のために何かしてあげたいが、いくら叫んだところで自分の思いは決して誰にも伝わらない。そんな彼女のもどかしさが痛ましいほどに伝わってくる。そして現実の世界では、彼女の遺体は金庫に詰められたまま、ハーヴィによってやがて埋められる穴に落とされてしまう。彼女の体はあのまま弔われることもなく、やがては土に還ってしまうだけなのだろうか、そう考えるとなおさらのことスージーが憐れでやりきれない気持ちになる。最後に初恋の相手だったレイと触れ合うことができて、妹に先を越されたものの思いを遂げて旅立てたのがせめてもの救いか。あんな可憐な少女が薄汚い連続殺人鬼の手にかかり殺されてしまう、そんな理不尽さには怒りすら覚えたのに加えて、ミスター・ハーヴィが思わぬところであんな最期を遂げるとは、カタルシスもなにもあったもんじゃない。いわゆる天の裁きというやつなのだろうが、何人もの少女を殺した犯人への天誅にしてはあまりに遅すぎるのではないだろうか。もしもこれが予定説であり、スージーの死は予め定めてられたというのならば、イエス・キリストこそは史上最大のペテン師だという思いはますます募る一方だ。