評 価
File No.
1148
製作年 / 公開日
2009年 / 2010年2月06日
製 作 国
スペイン
監 督
ペドロ・アルモドバル
上 映 時 間
128分
公開時コピー
愛から逃げて、愛と出逢う
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ペネロペ・クルス
[as レナ]
ルイス・オマール
[as ハリー・ケイン(マテオ・ブランコ)]
ブランカ・ポルティージョ
[as ジュディット・ガルシア]
ホセ・ルイス・ゴメス
[as エルネスト・マルテル]
ルーベン・オチャンディアーノ
[as ライ・X]
タマル・ノバス
[as ディエゴ]
アンヘラ・モリーナ
チュス・ランプレアベ
キティ・マンベール
ロラ・ドゥエニャス
マリオラ・フエンテス
カルメン・マチ
キラ・ミロ
ロッシ・デ・パルマ
アレホ・サウラス
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あ ら す じ
2008年のマドリード。盲目の脚本家
ハリー・ケイン
のもとへ、
ライ・X
と名乗る男が、共同で「父の記憶に復讐する息子の物語」の脚本を手がけてくれないかと訪れる。ハリーにはその男の正体にうすうす察しがついていた。つい先ごと死亡が報じられた、ハリーが自らの記憶から抹殺しようとした男・
エルネスト・マルセル
の息子エルネストJr.だった。今は彼に起きたすべての事情を知る女性
ジュディット・ガルシア
とその息子
ディエゴ
の世話になりながら平穏に暮らしていたハリーは、否応なく封印していた過去との対峙を迫られるのだった。
1994年。当時は本名であるマテオ・ブランコを名乗る新進映画監督だった彼は、新作『謎の鞄と女たち』のオーディションに応募してきた一人の女性に目を奪われた。彼女の名は
レナ
、莫大な富と権力を誇る実業家エルネスト・マルテルの愛人だった。何もすることのない退屈な日々を送っていた彼女は、一度は諦めていて女優になる夢を実現すべく、マテオの新作オーディションに申し込んだのだった。マテオはレナのあまりの美しさに惹かれて素人同然の彼女を主役に抜擢し、レナもまた才能あふれるマテオに惹かれた。そんな2人が恋に落ちるのに時間はかからなかった。
そんなレナを監視するために、エルネストは映画へプロデューサーとして参加し、息子のエルネストJr.を監視役として撮影現場に送り込んだ。Jr.はレナの一部始終をカメラで撮影し、それを父に逐一報告していたのだ。けれども、そんなことでマテオとレナの愛が揺らぐはずもなく、それどころかますます強く激しく燃え上がる。レナを力尽くでもつなぎ止めておきたいエルネストの妨害は、レナを階段から突き落として大怪我をさせるまでにエスカレートする。そんな中撮影が何とか終了するや否や、マテオとレナの2人はカナリア諸島へと逃避行を果たすのだった。
しかし、エルネストはそんなことで手を引くような男ではなかった。マドリードではマテオが撮った『謎の鞄と女たち』の最悪なシーンだけを編集して試写会を行い、最低の作品との悪評記事を掲載する一方、マテオの居場所を知ると再びJr.を送り込んだ。そして、運命の事件が勃発する。交差点を発進したマテオの車に猛スピードで激突するRV車。その事故の怪我ででマテオは視力を失ったばかりか、レナまでをも失うという痛烈なダメージを被るのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
「抱擁のかけら」・・・・・?この、下手をすると作品のイメージをブチ壊しかねないアホな邦題、何とかならないものだろうか?スペイン映画だけに原題の意味がわからないのが残念だ。おそらくは破り捨てられていたマテオとレナの愛情の証の写真を「抱擁のかけら」と喩えたのだろうが、作品自体は悪くなかっただけにもっとマシな邦題を考えて欲しかったものだ。
多分通常であれば主演はマテオを演じたルイス・オマールということになるのだろうが、この作品ではオフィシャルサイトをはじめどのWebサイトを見ても主演はペネロペ・クルスとなっており、もちろんエンド・クレジットでもトップは彼女の名前だった。それほど彼女のこの作品での役割は大きく、私ももしこの作品のレナ役が知らない女優だったらば、間違いなく劇場へは行っていなかった。
『ボルベール』以来のペネロペ・クルスの演技には目を見張るものがあり(と言うより、それまで演じた役柄が彼女にとって役不足だったのだろう)、演技力ばかりかその美しさにまでますます磨きがかかってきている気がする。少なくとも、私が劇場のスクリーンで初めて観た『トリコロールに燃えて』の時の彼女よりも、『抱擁のかけら』や『エレジー』の彼女の方が間違いなく若く綺麗に見える。そして、ただ綺麗なだけではなく、彼女の場合表情やメイクによっては時にはコミカルにすらも見える変化も魅力のひとつだろう。そして、相変わらずあのアヒル口は健在だ(笑)。
レナとマテオの恋を邪魔するエルネストに扮したホセ・ルイス・ゴメスの老醜をむきだしにした演技もいい。すでに老いを迎え金に物を言わせるしか術を持たない悲しい男の性が切実なまでに表現されていて、同じ男である私にとっては他人事ではないような寒気を覚える。そして、私にとってそんなエルネストよりも怖かったのがエルネストJr.だ。無表情で何を考えているのかわからないまま、ただひたすらストーカーのようにカメラを手にレナを追いかけるその執念とも言うべき行動の源には、一体どんな感情があったのだろうか?