評 価
File No.
1151
製作年 / 公開日
2008年 / 2010年02月06日
製 作 国
アメリカ
監 督
ジョエル・ホプキンス
上 映 時 間
93分
公開時コピー
人生の曲がり角の先には、きっと
すばらしい冒険が待っている。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ダスティン・ホフマン
[as ハーヴェイ・シャイン]
エマ・トンプソン
[as ケイト・ウォーカー]
アイリーン・アトキンス
[as ケイトの母マギー]
ジェームズ・ブローリン
[as ブライアン]
キャシー・ベイカー
[as ハーヴェイの元妻ジーン]
リチャード・シフ
[as マービン]
リアーヌ・バラバン
[as スーザン]
ブロナー・ギャラガー
ジェレミー・シェフィールド
ダニエル・ラパイン
パトリック・バラディ
アダム・ジェームズ
マイケル・ランデス
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あ ら す じ
バツイチのCM作曲家
ハーヴェイ・シャイン
は、元妻
ジーン
と一人娘の
スーザン
と離れ、ニューヨークで気ままな暮らしを送っていた。そんな彼がはるばるロンドンへと赴いたのは、イギリスで働く
スーザン
の結婚式に出席するためだった。ところがロンドンに着いてみると、招待客のうち彼だけがのけ者にされたようにホテルに泊まらされ、おまけに彼の留守中に仕事の得意先は後輩に奪わそうになり、挙げ句にスーザンからヴァージンロードをジーンの再婚相手である
ブライアン
と歩くという。ハーヴェイは結婚披露パーティへの出席できないことをスーザンに詫び、翌日一番の便でニューヨークへ戻って得意先と直接交渉に臨もうと決意をした。
ところがその翌日、ヒースロー空港へ向かうタクシーが渋滞に巻き込まれて飛行機に乗りそびれたうえ、上司の
マービン
からはクビを言い渡されてしまう。八方ふさがりのハーヴェイは、空港のバーでヤケ酒を煽るように飲まずにはいられなかった。
ハーヴェイが酒をあおっていた後ろの席には、前日にヒースローに付いたハーヴェイに質問をしようとした、空港統計局の職員
ケイト・ウォーカー
が静かに読書に耽っていた。彼女に気づいたハーヴェイは前日の非礼を詫びようと声をかけるが、ケイトはただ煩わしそうにやんわりと彼との会話を拒否した。ケイトは婚期を逃した40代の女性で、周囲は彼女にいい相手を引き合わせようとするものの、どうしてもその場の雰囲気に溶け込めずに孤立してしまうのだった。嫌な思いをするくらいなら、何も期待せずに心に波風が立たないよう諦めて生きた方がいい、それが彼女のたどり着いた結論だった。
そんなケイトもハーヴェイの押しの強さに負け、次第に心を開くようになる。そしてその翌日、ハーヴェイはケイトから娘の結婚披露パーティに出席するべきだと説得され、ケイトも同席することを条件にパーティ会場へ向かうのだが・・・・・。
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たぴおか的コメント
ハーヴェイを演じるダスティン・ホフマンが71歳で、ケイトを演じるエマ・トンプソンが49歳(共に制作当時)。成熟した大人同士の恋愛を描いたラブストーリーだが、こと恋愛にかぎっては大人も子供も関係なくなるわけで、だからこそたとえ主人公が私の父親と同世代のハーヴェイであっても、時にはハラハラしたり思わずハーヴェイに檄を飛ばしたりしたくなるのだ。そして、歳上の女性にこういう言い方をしては失礼に当たるかもしれないが、ケイトを演じたエマ・トンプソンがとにかく可愛い。そのせいか、同じ男性であるダスティン・ホフマンではなく、いつの間にかケイトの立場に自分の身を置いて観ていた気がする。周囲の雰囲気に乗り切れずにひとり浮いてしう非常にバツの悪い思いや、娘の結婚披露パーティで浮かれて踊るハーヴェイに、自分が忘れられてしまったような疎外感を感じてひとり会場から出て行こうとするなど、私も似たような経験があるだけに彼女に対して共感を感じる点が多々あった。それだけに、未来を完全に諦めたわけではないけれども恋愛をして傷つくのは怖い、だから当たり障りのない楽な生き方を選んだ彼女の気持ちも痛いほどよくわかる。
一方のハーヴェイだが、一見ニコニコといかにも人の好さそうな外見をしながら、実は下心丸見えで(いや、丸見えだから下心とは言えないかな?)ストーカーさながらにケイトに付いて回るとは、欧米人と日本人の気質の違いなのかもしれないが、その厚かましさには観ている私の方が恥ずかしくなった(笑)。もしも日本で同じ真似をしようものなら、たちどころに交番に駆け込まれてしまうに違いない。ただ、下手に策を弄することのない、そのストレートな恋愛に対するスタンスは好感が持てるし、あそこまで直球で勝負すれば、結果がうまくいかなくても嫌な後味を残すこともないだろうとは思う。そんなハーヴェイのあまりにストレートな気持ちに素直に応えることができず、泣きながら正直な気持ちを打ち明けるケイトの姿に心を打たれた。そして、ラストではケイトが背の低いハーヴェイのためにヒールを脱いで、裸足で腕を組んで歩いていくのがとても微笑まい。ハーヴェイの言動と同様に、作品の構成自体も小細工なしでストレートに投げかけてくる、好感度の高い作品だった。