評     価  

 
       
File No. 1154  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年02月11日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   松田 秀知  
       
上 映 時 間   123分  
       
公開時コピー   乗員・乗客159人の命を守る
それが最後の任務。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   米倉 涼子 [as 宇佐木玲子]
陣内 孝則 [as 桐沢圭吾]
筧 利夫 [as 木崎誠一郎]
高橋 克実 [as 片山一義]
笹野 高史 [as 墨田耕平]
高知 東生 [as 蓮見芳樹]
塚地 武雅 [as 桜庭健二]
八神 蓮 [as 王子隼人]
城田 優 [as 真理谷恭介]
伊武 雅刀 [as 工藤幹夫]
林 丹丹 [as 宇佐木澪]
安 めぐみ [as 三村留美子]
中山 恵 [as 菅原由美]
永池 南津子 [as 佐山葵]
反町 隆史 [as 中川伸也]
林 遣都 [as 木元祐介]
成宮 寛貴 [as 沢木秀二]
柳葉 敏郎 [as 加納俊彦]
橋爪 功 [as 栗原周五郎]
津川 雅彦 [as 御堂啓一郎]
 
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あ ら す じ    東京・大田区で現金2億6,000万円の強奪事件が発生し、犯人3名は羽田空港近くのショッピングモールに来客約50名を人質に取って立てこもった。犯人側は人質50名全員を収容可能な大型バスを要求し、警視庁捜査一課特殊捜査班(SIT)の宇佐木玲子が犯人との交渉に当たった。ところが、犯人の主犯格御堂啓一郎は、興奮して抑えが利かなくなった仲間1名を躊躇なく射殺し、この銃声にSATが強行突入を決行した矢先、人質は全員が解放され、御堂は大金をそのままに投降した。
 犯人のひとり中川伸也は人質に紛れて逃走し、逃げようと思えば容易に逃げられたにもかかわらず、無抵抗のまま逮捕された御堂。玲子は御堂と人質になっていたひとりの青年木元祐介のやりとりになぜか不穏な空気を感じていた。中川の足取りはその後全く掴めず、御堂は警察の取り調べにも完全黙秘で、事件の全貌が明らかにされないままに数週間が過ぎていった。
 休暇を取り北海道へ向かうべく羽田に訪れた玲子は、そこで偽名を使って北九州行きのスカイバード201便の搭乗手続きをする祐介を発見し、咄嗟に同じ便に乗り込んだ。偶然にも機内にはフィアンセを連れ彼女の実家に挨拶に向かう木崎誠一郎も搭乗しており、玲子は事情を木崎に説明して2人で祐介の行動をうかがっていた矢先、事件は勃発した。祐介とその兄・和樹が銃を取り出し、ハイジャックを宣言したのだ。そして、和樹がコックピットへ向かった隙に祐介を取り押さえようとした乗客が撃たれた。撃ったのはあの中川伸也だった。こうして、中川の指揮の下201便はハイジャック犯の制圧下に置かれることとなった。
 ハイジャック信号を受けた地上では、桐沢圭吾率いるSITのメンバーが待機しており、ハイジャック犯との対応に当たった。そして、コックピットから中川が桐沢に告げた要求、それは先日の現金強奪事件で逮捕された御堂の身柄釈放だった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    「交渉人」でありながら、本領を発揮する場面がほとんどないような気もするが、エンターテイメントとしては充分に満足できる内容だったと思う。個人的には米倉涼子は好きではなく、そのために彼女が出演したドラマは今まで全く観たことがなかったのだが、今回彼女の演技を初めて観て決して悪くない印象を受けた。
 ギバちゃんや筧利夫が出演していて、ついつい某お台場テレビの刑事ドラマを連想してしまうが、筧利夫の真面目な顔をしてどこか抜けている木崎のキャラは気に入った。やはり彼には真面目一辺倒よりもこういう三枚目の役柄の方がマッチしている。そして、ハイジャック犯になりながらもやはり根は純真な祐介を演じた林遣都君、犯罪者のリーダーにふさわしい貫禄も出てきた反町隆史、出番は少ないものの見せ場はキチッと決める成宮寛貴と、キャスティングもなかなかのものだ。
 この作品で最も気に入ったのは、なんと言っても脚本の巧みさだ。冒頭で繰り広げられる現金強奪事件は一見ハイジャックとは何の関わりもなさそうで、単なる宇佐木の日常の描写と思われるのだが、それにしてはなぜその主犯に津川雅彦という大物を起用したのが引っかかっていた。そして、実はそれがハイジャック事件への序章となっていて、御堂が易々と逮捕された理由も納得できた(だったら、なぜ現金を強奪したりしたのかは謎。そもそも、御堂のような思想犯・社会犯が現金強盗などという単純犯罪に手を染めるとは考えられない)。ところが、ハイジャック事件が核心だと思わせておいて、さらにどんでん返しが用意されており、その用意周到に二転、三転するストーリーは実に上手く構成されている。私個人としては、御堂が釈放された直後の一瞬の出来事で事件の全貌がわかって、その快感にもう少し長く浸っていたかったのだが、そんな余裕もなくすべて種明かしがされてしまったのはちょっと残念。