評     価  

 
       
File No. 1155  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年01月23日  
       
製  作  国   フランス / 日  本  
       
監      督   諏訪 敦彦 / イポリット・ジラルド  
       
上 映 時 間   93分  
       
公開時コピー   子供のままではいられない。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ノエ・サンピ [as ユキ]
アリエル・ムーテル [as ニナ]
ツユ [as ジュン(ユキの母)]
イポリット・ジラルド [as フレデリック(ユキの父)]
マリリン・カント [as カミーユ(ニナの母)]
森 康子 [as 老婆]
今泉 野乃香
新井 亜利砂
マオ・サンピ
大森 百香
ライアン・アラウィ
 
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あ ら す じ    ユキニナはパリに住む9歳の女の子。ユキはフランス人のパパフレデリックと日本人のママジュンと暮らしているが、最近パパとママの仲が思わしくなかった。その日もユキは学校帰りにニナの家でニナのママカミーユにもらったおやつを食べながら、ママが迎えにくるのを待っていた。
 ママがユキを迎えに来て、ママに手を取られて家へ帰る道すがら、ユキはママから突然にパパと別れて日本に移り住むことになると告げられた。ショックを受けたユキは、ニナのママに相談する。ニナのママも離婚して女でひとつでニナを育てていたからだ。けれども、結局ユキが納得できるような答えは返ってこなかった。
 離れ離れになりたくないユキとニナは、ユキの両親にもう一度仲良くして欲しいと願い、離婚をやめさせるためにはどうしたらいいかを考える。そして、ユキの両親が愛し合っていた頃を思いだすような手紙をユキのママに送ることを思いついた。その頃の両親の仲むつまじい写真の切り抜きや、プレゼントを入れて工夫を凝らした“愛の妖精”からの手紙を、願いをこめてポストへ投函した。
 日本に帰るための荷造りをしているユキのママに、“愛の妖精”からの手紙が届いた。“なぜ離婚するのですか?悲しくなるのにお別れですか?”と書かれた手紙を読んだママは、「きっと悲しくなるけど、今の方がもっと悲しいからパパとは別れるの。」と涙ながらに告げる。それはまだ幼いユキには理解できない感情だった。そして、ママは一足先に日本へと旅立ってしまった。
 ある日、ユキがひとりで家にいたところへ、大きな荷物を抱えたニナがやってきた。ママと喧嘩して、パパのところへ家出をするのだという。以前からニナはユキの両親を仲直りさせるために家出をしたらどうかと言っており、ユキはこのチャンスに便乗して自分もニナと一緒に家出をする決意をするのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『ユキとニナ』というタイトルからすると、昨年11月に観た『ドゥーニャとデイジー』のように2人の友情というか結びつきがテーマの作品だと考えるのも当然だと思うが、観てみるとちょっと趣が違ったようで、あくまでユキを中心に描かれた作品でニナは色を添える程度の役柄だった。そして、見所は言うまでもなくユキを演じたノエ・サンピの可愛らしさとその驚くべき演技にある。
 主人公のユキと同じくフランスと日本のハーフの9歳の少女で、諏訪監督が「ルノワールの絵から抜け出たようだ」と語ったらしいが、その言葉は決して大袈裟ではなく、本当にルノワールの描く女性像のように柔らかい線と透明感を感じる女の子だ。そして、彼女がひとりで森の中を彷徨うシーンは、一切の指導なく全て彼女の考えで演じきったとのことだ。
 それにしても、同じ田園風景でも日本とフランスではやっぱり違うもので、ユキが森をひとりで彷徨った末に森を抜けた時、周囲に建物が映っていなくても雰囲気だけで日本だとわかるものだと改めて感じた。そして、知らない子供達から声をかけられて、何の違和感もなく自然に彼らに溶け込んでいくユキ。本来、子供の新しい環境に対する適応能力は大人のそれを遥かに上回っているのだ。それが証拠に、日本へ行ったユキはすでに親しい友達がいて、ニナからのビデオメールを涙ではなく笑顔で見ている。