評     価  

 
       
File No. 1159  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年02月19日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ナンシー・マイヤーズ  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   失敗の数だけ、きっと最後は、おいしい人生が焼きあがる。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   メリル・ストリープ [as ジェーン]
スティーヴ・マーティン [as アダム]
アレック・ボールドウィン [as ジェイク]
ジョン・クラシンスキー [as ハーレイ]
ケイトリン・フィッツジェラルド [as ローレン]
ゾーイ・カザン [as ギャビー]
ハンター・パリッシュ [as ルーク]
 
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あ ら す じ    友人夫妻の結婚30年記念パーティで再会した元夫婦のジェーンジェイク。ジェーンはやり手弁護士のジェイクと10年前に離婚して以来、女手ひとつで3人の子供を育てながらもベーカリーの経営に心血を注ぎ、見事成功を収めたサクセス・ウーマンだった。一方のジェイクは、離婚の原因となった20最以上も年下の女性と再婚し、彼女の連れ子と暮らしていた。2人は3日後に行われる息子ルークの大学卒業パーティで会おうと言葉を交わして別れた。
 ジェーンは今、10年来の夢だった自宅の改築に夢中だった。設計を担当してくれていたのは、やはり妻と別れたバツイチの建築家あアダムで、同じような境遇に身を置く2人が互いに興味を持つようになったのは自然な成り行きだった。そして、会う回数を重ねるごとに確実にアダムはジェーンに惹かれていき、一方のジェーンの中でもまたアダムの存在はどんどんと大きくなっていく。けれども、そんなジェーンも心の片隅では、元夫ジェイクの存在を未だに忘れることができずにいた。
 ルークの卒業式に出席するためにニューヨークを訪れたジェーンは、ホテルのバーで偶然にもジェイクと鉢合わせしてしまう。離婚から10年、一定の距離を保ち続けてきた2人だったが、その日は酒の勢いも手伝って、かつて愛し合っていた頃に戻ってしまった。その日以来ジェイクはジェーンに熱烈に愛を語り、関係を修復しようとまで言い始める始末だった。ジェイクに再び惹かれるのを感じながらも、ジェーンはかつてジェイクのために味わった辛い思いを繰り返すのではという危惧をも覚えた。そして、ある事件をきっかけにジェイクに見切りをつけたジェーンは、アダムとの新しい人生に向かって一歩を踏み出すのだったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    メリル・ストリープ主演のラブコメディになぜR15+の視聴制限がついているのかが疑問だった。観てみると、確かに今までの彼女にはないキワドイシーンもあり、また、SEXに絡んだセリフも少なくないものの、やはりおそらくは作品中でハッパ(マリファナ?)を吸うシーンがのためだろう。ハッパでハイになるメリル・ストリープのキレっぷりには目を見張るものがあり、それまではなぜか借りてきた猫のようにおとなしかったスティーヴ・マーティンがここぞとばかりに弾けまくるのも加わって、壮絶な(笑)シーンが出来上がっている。
 この作品の興行収入は、本国アメリカでは1億ドルを突破したらしく、60歳を過ぎたオバチャン(失礼!)主演のラブコメディにこれほどの観客が集まるとは、メリル・ストリープの訴求力にはただただ驚くばかりだ。日本の女優で彼女に匹敵しそうなのは吉永小百合くらいだろうが、その可愛らしさで根強いサユリストを抱えた吉永とは明らかに違う、その変幻自在の演技力で老若男女を問わない幅広いファン層を築き上げた成果だと言えるだろう。前作『ジュリー&ジュリア』で演じたジュリア・チャイルドとこの作品のジェーンは明らかに別人で、ジュリアの太い声とジェーンの女性らしい細い声と、声色まで変えられているのが凄い。
 また、『私の中のあなた』でも弁護士を演じていたアレック・ボールドウィンの怪演も見所だ。あの堂々たる貫禄の体躯を使った、文字通り体当たりの演技には、次に繰り広げられるであろうシーンがわかっていてもなお爆笑してしまう。中でもビデオ・チャットのシーンでは、あんな代物をドアップで見せつけられたアダムには、心からお悔やみを申し上げたい(笑)。  メリルストリープの演技、それにナンシー・マイヤーズの脚本と演出が紡ぎ出したこの作品を観るにつけ、恋愛とは決して若者だけの特権などではなく、人は誰でもいくつになっても恋に落ちるし、恋に落ちたら年齢など関係なく誰でも子供のように些細なことで一喜一憂するものだということを思い出させてくれる。そして、恋に落ちた者は得てして周囲が見えなくなり、端から見ればバカな行為をしでかすのだが、当の本人にとっては真剣そのものなのだ。その点をいかに描写するかがブコメディの真骨頂なのであり、この作品はナンシー・マイヤーズが監督・脚本を共に手がけているだけに、極めて上手くまとめ上げられていると言えるだろう。