評     価  

 
       
File No. 1169  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年02月27日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ヴェルナー・ヘルツォーク  
       
上 映 時 間   122分  
       
公開時コピー   正気か、狂気か。
 
荒廃した街
ニューオリンズ。
最悪な男が、
躍動する。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ニコラス・ケイジ [as テレンス・マクドノー]
エヴァ・メンデス [as フランキー・ドネンフィールド]
ヴァル・キルマー [as スティーヴィー・プルイト]
アルヴィン・“イグジビット”・ジョイナー [as ビッグ・フェイト]
フェアルーザ・バーク [as ハイジ]
ショーン・ハトシー [as アーマンド・ブノワ]
ジェニファー・クーリッジ [as ジェヌビエーブ]
ブラッド・ドゥーリフ
マイケル・シャノン
デンゼル・ウィッテカー
シェー・ウィガム
トム・バウアー
 
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あ ら す じ    ハリケーン・カトリーナの傷跡が生々しいニューオリンズ。逃げ遅れてそのままでは溺死するところだった囚人を救い出した警官テレンス・マクドノーは、表彰を受けて警部補に昇進した。しかし、そんな彼の真の姿は、アメリカン・フットボールの賭博にのめり込み借金を重ね、恋人である高級娼婦のフランキー・ドネンフィールドと共にドラッグに溺れ、警察が押収した証拠品のドラッグを盗み、挙げ句には所持者を脅迫してドラッグをカツアゲするという悪徳警官の見本のような男だった。
 ある日、不法移民の一家5人が惨殺される事件が発生し、テレンスが事件の陣頭指揮を執ることとなった。そして、そのことをきっかけに、テレンスはさらなる犯罪の深みへと墜ちていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    例によって予備知識をほとんど仕入れずに観たのだが、善良な役柄の多いニコラス・ケイジがこの作品では悪徳刑事役だとわかったばかりか、その悪徳度合いがどんどんとエスカレートしていって、ただただ唖然とするばかりだった。
 世界一優秀だとされる日本の警察においても、警官が飲酒運転で事故を起こすなど不祥事は珍しくなく、雑多な人種が入り乱れ犯罪の種類も多岐にわたるアメリカに置いては、テレンスほど極端な例はともかくとしても、悪徳警官は少なくないのだろう。ドラッグ中毒でスポーツ賭博にどっぷりはまり、警察の証拠品からドラッグをくすねる、ドラッグを使用している一般市民を脅迫してドラッグを巻き上げる、挙げ句の果てには売人から金を受け取って警察の情報を横流しするなど、テレンスという男はありとあらゆる犯罪のデパートのような男だ。であるならば、次の興味は悪の道をひた走るテレンスが行き着く先は一体どこなのか、どこまで墜ちていくのかという点に切り替わった。そして、私の希望的予測では「麻薬組織の抗争に巻き込まれて表向き殉職」だったのだが、これまた最後に大きく裏切られてしまった。
 ここまで書けばおおよそどういう結末なのかが想像できるかもしれないが、他の作品ではめでたくハッピーエンドと言えるだろうが、ことこの作品に関してはカタルシスのカケラもなく、ただただ不愉快な気分を抱えることになってしまう。ただ、だからといってこの作品がつまらないとか駄作だとかいうわけではなく、むしろ典型的な悪徳警官に気まぐれな幸運の女神が微笑んで、罰されるどころかさらなる栄光を手にするという、現代社会を皮肉ったカリカチュアだと言えるだろう。ただ、個人的に私はこのような悪が栄えるような作品は好きではなく、あくまでもテレンスがたどり着く悲惨な末路(笑)を観てみたかったというのが正直な感想だ。