評     価  

 
       
File No. 1173  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年03月13日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   中西 健二  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   最後の恋
最初の愛
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   北川 景子 [as 以登]
甲本 雅裕 [as 片桐才助]
宮尾 俊太郎 [as 江口孫四郎]
相築 あきこ [as 郁]
佐藤 めぐみ [as 津勢]
市川 亀治郎 [as 藤井勘解由]
伊藤 歩 [as 加世]
柄本 明 [as 永井宗庵]
國村 隼 [as 寺井甚左衛門]
 
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あ ら す じ    江戸時代、東北地方の小藩・海坂藩。組頭寺井甚左衛門の一人娘以登は、男にも勝る剣の使い手だった。ある春の日、咲き誇る桜の下で花見を楽しんでいた以登は、下級の身分ながら藩随一の剣士であるという江口孫四郎から声をかけられる。以前以登は孫四郎が通う道場へ手合わせに出向き、並み居る剣士を打ち負かしたものの、孫四郎は不在だったのだ。孫四郎は一度以登と手合わせしたいと言い、以登もまた同じ気持ちであった。
 以登の気持ちをくんだ甚左衛門の計らいで、数日後以登は孫四郎と竹刀を交えることになった。孫四郎の前になすすべもなく敗れた以登だったが、以登を女と見て侮るようなことなく真摯に向き合ってくれた孫四郎に対し、以登は淡い恋心を抱いた。しかし、以登にはすでに片桐才助という許嫁がおり、孫四郎にもまた縁談が持ち上がっていた。意に沿わない相手と結ばれるという運命に抗うことのできない以登は、孫四郎への思いを断ち切って、江戸で学問に励む才助の帰りを待つのだった。
 ところが数ヶ月後、藩主の命を受けて江戸城へ書状を持参するという大事な役目を負った孫四郎が、失態を演じた末に自害したとの知らせが以登の元に届いた。不審に思った以登は、折しも江戸から戻ってきた才助に事の詳細を調べるよう頼み込み、やがて藩の重臣藤井勘解由が、孫四郎の妻加世と密通していた事実を隠蔽するために孫四郎を陥れたことを知る。藤井のあまりに卑劣な行為を許すことができない以登は、ついに剣を手にして藤井との一騎打ちに臨むのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    北川景子チャン主演という一点に引かれて劇場へ臨んだ作品。時代劇ということもあり、初日の新宿バルト9は老若男女を問わない様々な客層の観客で満席状態だった。そして、私のように北川景子が目当ての観客にとっては、十二分に満足できるほど彼女を全面に押し出した内容だった。時代劇が初めての彼女の演技は、ちょっと窮屈そうには見えたのだが(笑)。
 藤沢周平の小説が原作であるだけあって、ストーリー自体はしっかりしているから安心して観ることができる。北川景子扮する以登と宮尾俊太郎扮する孫四郎は美男美女の組み合わせで、対する才助はいかに風采のあがらないという設定だとはいえ、演じるのが甲本雅裕ではあまりに落差が激しすぎる(笑)。
 冗談はともかくとしても、当時の風習に詳しくない私にはよくわからないのだが、殉死した孫四郎の妻でも許嫁でもない以登が、藩の重臣である藤井勘解由を討ち果たすなどという仇討ちが本当に存在したのか?偶然(あるいは必然か?)にも藤井の悪行が露見したから以登の行為は表沙汰になることはなかったが、もしそうでなければ彼女は死罪かそれに匹敵する極刑に処されていたのではないか?自らの命を賭すという危険を冒してまで孫四郎の無念を晴らす必要が彼女にあったとはちょっと考えにくい。それは美談かもしれないが、その反面自分の身はもちろんのこと、下手をすると父や母をも危険にさらしかねない無謀なことこの上ない向こう見ずな行動ではなかったのだろうか。そして、以登の性格からするとそのような無謀な行動に走ることもまた考えにくい。その点を除けば、極めてオーソドックスかつ無難に仕上がっていて、時代劇に慣れていない世代にも受け容れやすい佳作だと思う。