評     価  

 
       
File No. 1178  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2010年03月20日  
       
製  作  国   韓  国  
       
監      督   ヤン・イクチュン  
       
上 映 時 間   130分  
       
公開時コピー   二人でいる時だけ、泣けた。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ヤン・イクチュン [as サンフン]
キム・コッピ [as ヨニ]
イ・ファン [as ヨニの弟ヨンジェ]
チョン・マンシク [as マンシク]
ユン・スンフン [as ファンギュ]
キム・ヒス [as サンフンの甥ヒョンイン]
パク・チョンスン [as サンフンの父スンチョル]
チェ・ヨンミン [as ヨニの父]
 
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あ ら す じ    友人のマンシクの元で借金の取り立てをする男サンフン。彼は幼い頃に父スンチョルから家族が受けた仕打ちがトラウマとして残っており、未だに父への怒りと憎しみを抱いて生きていた。ある日サンフンは、ふとしたことから女子高生のヨニと出会う。借金の取り立てでは相手を殴る・蹴るの暴行を加えることに何のためらいもないサンフンだったが、なぜか自分を恐がることなく気持ちをストレートにぶつけてくるヨニのペースに引き込まれていく。
 サンフンの前では普通の女子高生を演じていたヨニだったが、彼女もまた家族に対してある種のコンプレックスを抱いていた。母が亡くなったことを未だに認知できずにいる父と、姉から金をせびり取っては罵る弟のヨンジェ。2人の前では気丈に振る舞うヨニもまた、サンフンといると素直な気持ちでいられるのだった。
 ある日、サンフンの下に付いて取り立てをするファンギュを頼って、ひとりの少年がマンシクの元で働くことになり、サンフンが彼の面倒を見ることになった。その少年とは、ヨニの弟のヨンジェで、ヨニには内緒でこの仕事を始めたのだった。そして、このことをきっかけに、今の仕事から足を洗おうと考えていたサンフンの運命は悲しい結末へと向かって動き出すのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    この作品が長編初監督作となるヤン・イクチュンが、製作・脚本・編集、それに主演の5役をこなした作品で、国内外を問わず18もの映画賞を受賞している。なんでも、この作品を製作するために家を売り払ってまで制作費に充てたという曰わくのある作品だ。R-15の指定制限が付けられているのが不思議だったが、おそらくは台詞の過激さというか汚さがその理由だと思われる。
 さすがに心血を注ぎ込んで作った作品だけあって、主人公のサンフンを演じたヤン・イクチュンのチンピラぶりが実に板に付いている。そして、相手役として必ずと言っていいほど驚くべき美形の女優が登場する韓流作品だが、今回のヨニを演じるキム・コッピは珍しく美人と言うよりは可愛い系の丸顔の女の子で、日本の女優にたとえるならば谷村美月あたりに相当するだろうか(決して谷村美月が美人じゃないなどという意味ではないのでお間違いなく)。
 サンフンもヨニも家庭に問題を抱えており、特に共に母親を失ったというトラウマを持つ2人が出会って、その他の点では全く共通するところのない2人が惹かれ合うという設定もごく自然に受け入れられる。他人に暴力を振るうことを厭わないサンフンが、ヨニの前では子供のように素直になれる姿が、観ていて非常に心地いい。だが、そんな穏やかな時間がいつまでも続くことはないだろうこともうすうす想像がついてしまうだけに、なおさらのこと2人が一緒に過ごす時間が愛おしく感じられる。2人が一緒に過ごす時間は悲しい終わりを迎えるのだが、きっとヨニは克服できるだろうという希望が感じられて、見る者もそこで一安心できる。ところが、それも束の間でさらなる試練が彼女に訪れるという畳みかけ方は、韓流の得意とするところだろう。